子供のおもちゃ選び 困ったときは相談を おもちゃコンサルタントの丹波真理子さん
子供にはおもちゃで楽しく遊んでほしい。だけど、そのおもちゃ選びが意外と難しい-。そんなとき相談相手となってくれる「おもちゃコンサルタント」が千葉市にいる。「プチボナム」(同市中央区新宿)店長の丹波真理子さん(43)。「おもちゃには心や体を成長させる力があると伝えたい」と、電子ゲームにはないおもちゃのぬくもりを伝える。クリスマスを目前に控え、プレゼントに悩む大人たちに頼りにされている。(藤川佳代、写真も)
大きな木製の扉を開けると、木製玩具やボードゲーム、手作りを楽しめる蜜蝋粘土、光を透す色紙…。輸入物も含め約600種のおもちゃが所狭しと並び、童心を呼び覚まされる。
丹波さんが同店を開いたのは平成27年8月。きっかけは長女の出産だった。出産後間もなく、自身が紫外線アレルギーを発症し、外で遊ぶことが困難となり、室内で親子楽しく遊ぶ方法を探り始めた。
都内に住み、出産前は不動産会社に勤務していた丹波さんだが、再就職を考えたとき、待機児童問題に直面した。「おおらかにのびのびと育児がしたい」と、思い切って千葉市内に引っ越した。
ただ、気に入った品がそろう玩具店が千葉市にはなかった。幼児を連れて都内に買いに行くのも疲れる。そんな悩みをバネに代え、26年におもちゃコンサルタントの資格を取得。病院でのボランティア活動を通じ、おもちゃがつなぐ人と人の交流のすばらしさを知った。
小児病棟で日々の楽しみが電子ゲームだった子供たちが、週に一度の「アナログゲームの日」を朝から楽しみにしてくれた。外国製のボードゲームで、小学生が丹波さんを負かそうと、目を輝かせていた。
日々の治療に耐え、学校に通えず自分に自信が持てなかった女子中学生と、ゲームを通じて明るい表情を取り戻していく姿を間近で見ることもあった。こうした経験が高じ、「身近にないなら、おもちゃ屋さんを作ろう」と決心する。夫の理解も背中を押した。
開店して間もなく、通りかかった60~70代の女性2人組が店に入ってきた。「私たちには縁がないけれど」といいながら、帰りがけにシャボン玉吹きを買い、店の前の公園で遊び始めた。「2人は“遊ぶ”という気持ちを思い出したな」。丹波さんはうれしくなった。おもちゃは大人に対しても、コミュニケーションや認知症の予防・改善の助けになると実感した。
流行のキャラクター商品や電子ゲームは置かない、というのが丹波さんの方針。昔ながらの「アナログ玩具」にこだわる。「自分で遊び方を探しながら、達成感に巡り合えるのが楽しみになるおもちゃしか扱わない。子供の成長の栄養であり、そんなおもちゃとの出合いを増やすお手伝いがしたい」
12月、クリスマスの贈り物を求めて来店客は多い。年末年始はままごとセットや積み木などボリューム感のあるおもちゃが売れるほか、長い休暇用に毛糸などの手仕事キットを買い求める人も多いという。
「お客さんとぬくもりが伝わる距離で、玩具の魅力を伝えたい」。年末年始の最も忙しい時期を過ぎても、丹波さんはおもちゃを通して、子供たちの成長を見守り続ける。
問い合わせは同店((電)043・306・2055)へ。
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■おもちゃコンサルタント
東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)を運営する認定NPO法人「芸術と遊び創造協会」が認定。国内外の優良なおもちゃ、遊びを幅広い視点でとらえ、コンサルティングを展開している。認定者は約5000人おり、優良なおもちゃに関する消費者アドバイザー的な役割を担う。
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