満員電車にさよなら! 快適な「自転車通勤」のすすめ レジャー感覚で出社をもっと楽しく
身動きもできない満員の通勤電車。職場に着くまでに疲れ果ててしまいそうだ。痴漢がいたり痴漢に間違われたりもする。また冬場の電車は風邪をうつされるリスクも高い。通勤ってこんなに不快なものなのか? もっと毎日の通勤を快適なものにできないものか?
ならば、そんな通勤地獄の真っ只中のあなたに言いたい。自転車通勤にしてみてはいかがだろうか。まずは職場の条件を確認してみてほしい。自転車通勤禁止の会社ではないか、会社に自転車を持ち込めそうか、会社の近所に駐輪場はあるか、等々。
もしあなたの環境に問題がなければ、すぐにでも自転車通勤をおすすめしたい。満員電車に比べるとはるかに快適だ。スポーツの爽快感を通勤で味わえるなんて最高ではないか。そして距離や走り方にもよるがダイエット効果も期待できる。
そこで今回は、自転車通勤を楽しむポイントをまとめてみたい。自転車専門誌「自転車日和」(辰巳出版)の編集長の横木純子さん、カメラマンの村瀬達矢さんにお話を聞いてみた。二人とも自宅から会社まで自転車通勤をしているという。
▽「毎日が小旅行」のようなもの
自転車通勤の楽しさは、満員電車から解放されることだけではない。「電車通勤では発見できなかった道を発見できる」ということも楽しみ方の一つだ。偶然ふと見つけた、景色が綺麗な道や住宅街を敢えて走ってみたりもできる。真夏の炎天下では日陰の道を見つけることも楽しい。工夫次第では毎日が小旅行気分にもなれるのだ。
「桜の季節は特におすすめですよ! 満開の綺麗な桜の下を自転車で走る気分は本当に最高です」と村瀬さんが詩人のような目で語ってくれた。
では、通勤に適した自転車の選び方はどうだろうか? 筆者も自転車通勤の経験があるが、5キロ以内はママチャリで十分、20キロを超えるとロードバイクがいいといった自己基準があったが…。
横木さんがにこやかに答えてくれた。「通勤に何を求めるかによって変わってくるんです。スピードなのか、快適さなのか、ファッション性なのか。また凸凹な道が途中にあるのかないのか。求めるものは人それぞれですから」
▽まずは自分の通勤ルートを走ってみよう
ではそんな2人はどんな自転車で通勤されているのだろうか? 2人とも数台自転車を所有しているらしいが、村瀬さんは寄り道のしやすさ、そして備え付けの鍵やスタンドが付いていて「ズボラでいられる」という理由から、10キロほどの道のりをママチャリで通勤することが多いという。逆に自転車通勤にファッション性も求める横木さんは、ママチャリでは通勤しないという。
もし自転車を持っているのなら、一度通勤する時の道を走ってみるといいだろう。持っていなければ、ご家族やご友人から借りてもいい。また、走る予定の道を歩いてみるのもいい。スピードがもっとほしいとか、林道のような道があるとか、いろいろな発見や気づきがあることだろう。
それから通勤用の自転車を決めるのだ。速さがほしいのならロードバイク、未舗装路が多い場合はマウンテンバイクもいいだろう。
▽自転車通勤にあったら便利なもの
では、ライトや鍵といった当然の物以外で、自転車通勤の時に便利なものは何だろうか?
村瀬さんが答えてくれた。「パンク修理関連ですね。サドルの下やフレームにつけられる小型のバッグに入れておくと便利です。また空気がしっかり入っているとパンクの可能性は大幅に防げるので、普段から空気の入り具合をチェックしておくことは重要です」
一方、横木さんは、「ハンドルにつけるタイプのカップホルダーも便利ですよ! コンビニやカフェでテイクアウトしたコーヒーを気軽に入れられるので」と言う。
普段から自転車通勤をしている人だからわかる観点だ。さらには急な雨に備えてカッパやポンチョ、夏は着替えはもちろん汗拭きシートも携行するとよい。また、天気予報サイトによくある雨雲のチェックも習慣的に行うとよいとのことだ。
そして横木さんは穏やかに言う。「急な雨の場合などを除いて、天候が悪い日は乗らないほうがよいかと思います。自転車通勤の目的を『楽しく、気分よく』とする場合、過酷な状況で無理をすると長続きしないのではないかと…。それに雨は、ブレーキの消耗や錆びにも影響するなど、自転車にもよくありません」
「ただ、梅雨時など雨の日が続く時期もあります。そんな中、雨でもどうしても電車などを使わずに自転車で通勤したくなる時もあるかと思います。そういった場合はしっかりした雨具を使い、通勤後はしっかりと自転車を拭くなど、こまめなメンテナンスが必要ですね」
▽ハンドルにかけると危険なものも…
確かに、辛い満員電車による通勤から逃れて気分よく通勤するための自転車通勤だったはずなのに、自転車通勤でも過酷な状況でストイックに乗っていたのでは本末転倒になってしまう。もちろん肉体的にも精神的にも自分を鍛えぬく目的で自転車通勤を始める方はその限りではない。
それでは最後に、「気をつけたほうがよいこと」は何だろうか?
「ロードバイクに乗る時は、買い物袋をハンドルにかけることは本当にやめたほうがいいです! 袋が前輪に巻き込まれて顔から転びます。それで流血している人を何度も見ました」と村瀬さんが神妙に語る。
顔から落ちるのは本当に痛いどころではないので、絶対に気をつけたいところだ。
乗り方によっては、スポーツにもレジャーにもなる自転車通勤。まずは自分が「どんな風に自転車に乗っているか」をイメージしてみてほしい。疾風のごとく走っているのか、寄り道をしながら景色を楽しんでいるのか。他にも人それぞれあるだろう。いずれにせよ、「通勤が楽しくなる!」…このことだけは期待できそうだ。(ジャイアント佐藤/5時から作家塾(R))
《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。
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