30年春闘 定年延長や60歳超の処遇改善が焦点 労組の要求広がる シニア社員活用へ
人手不足対策や技術継承などが企業にとっての大きな経営課題となるなか、定年延長や60歳超の処遇改善を進める動きが広がっている。今年の春闘では、労働組合側が働き方改革の一環として定年延長などを要求。一部企業ではすでに定年の65歳への引き上げが実現しており、今後もシニア社員の活用拡大や環境整備が進みそうだ。
サービス産業を中心とした産別労組のUAゼンセンは今年の春闘で経営側に65歳への定年引き上げや定年制廃止を求めている。流通・サービス業では人手不足が深刻化し、シニア社員の活用拡大が欠かせないからだ。経営側も一定の理解を示しているといい、各労使での協議を加速し、平成32年度からの実施を目指す。
また鉄鋼や造船重機などの労組で構成する基幹労連も65歳への定年引き上げの早期実現を目指す。主な狙いは技術の継承だ。定年延長の具体化に際しては賃金や退職金についても考えねばならず、基幹労連は労使による検討の場の設置を求め、議論を先行させるべきだとの姿勢を示している。
一方、一部企業ではすでに定年延長など具体的な施策が実現している。自動車大手のホンダは29年4月に定年を65歳に引き上げ、給与水準を50歳代の8割程度になるように設定。イオングループの総合スーパー、イオンリテールは今年3月に希望すれば70歳まで継続して働ける制度を始めた。
生保大手の明治安田生命保険は31年4月から定年を65歳に引き上げる。現在は60歳の定年後に1年ごとの契約で嘱託社員として再雇用しているが、定年延長では65歳までの雇用を保障。給与は職務に応じて嘱託社員の2~3倍とし、処遇も改善させる。日本生命保険も33年4月の定年の65歳への引き上げを目指す。能力が高い社員は65歳を超えても働けるようにすることも検討している。
定年延長や60歳以上の処遇改善は賃金引き上げと同様、消費拡大などにつながると期待される。政府も国家公務員定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討しており、官民で議論が広がりそうだ。
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