さあ新年度! 目標達成をサポートする声掛けと励まし方 「残念な上司」にならないために

 
※写真はイメージです(Getty Images)

 【藤田尚弓の最強の話し方】 気持ちがうまく伝わらない。悪気はないのに相手を不快にしてしまった。皆さんも、そんな経験はありませんか? この連載ではコミュニケーション研究家でアップウェブ代表取締役の藤田尚弓が、ビジネスシーンをより良く切り抜ける「最強の話し方」をご紹介していきます。

 第8回は、目標達成をサポートするための話し方。

 皆さんの周りには、目標をたてたものの、取り組みを先延ばしにしている人はいませんか? この場合、上司が叱咤激励してもやり方を間違ってしまうと思うような効果は期待できません。4月は新しい目標をたてる人や、新年にたてた目標を見直す人も多い時期です。

 どの段階で、どのような声掛けをしたらいいのか。目標達成をサポートするための「最強の話し方」を解説します。

◆あなたの部下はどちらのタイプ?

目標のたてかたには大きく分けて二つのタイプがあります。あなたの部下はどちらのタイプでしょうか。

 (1)望ましい状態に近づこうとする

 「プロジェクトを成功させたい」「適正体重になりたい」など、望ましい状態に近づこうとするタイプ

 (2)望ましくない状態を避けようとする

 「プロジェクトで失敗しない」「太りたくない」など、望ましくない状態を避けようとするタイプ

 目標設定は(1)のタイプでしたほうが効果的です。もし部下が2のタイプだった場合には、ぜひ(1)に誘導したいところです。まずは安心感を与えるタイプの励ましから試してみましょう。

 例を挙げてみます。

 部下「今期こそ失敗しないように頑張ります」

 上司「昨年の○○でもいい結果を出せているし大丈夫じゃないか。仮に失敗したとしても、その理由を潰しながら次に活かせばいい。困ったときはサポートするから、成功できるよう頑張ろう」

 励ましの声掛けは重要ですので、もう少し詳しく解説します。

◆「残念な上司」と「優秀な上司」! 励まし方はこんなに違う

 重要な目標であり、達成が自分のためになるとわかっていても「無理そうだ」「どうやっていいかわからない」といった気持ちがある場合、目標に向けて努力を始めることができません。

 そんな部下を「残念な上司」は下記のように励まします。

 ・「気合で頑張れ」などの精神論を説く

 ・「君ならできる」など根拠のない励ましをする

 ・「俺が若い頃は…」などの武勇伝を語る

 励ましの言葉を多く使う割には、一時的な気休めにしかならないのが特徴です。

 これに対し、「優秀な上司」は下記のような形で励まします。

 ・「まずはここまでやってみよう」など達成可能な下位目標を設定する

 ・「こうやるといいよ」など自分が手本を見せる

 ・「ここは上手くできた、ここについてはこう改善しよう」といった具体的なフィードバックをする

 いわゆる励ましの言葉は使っていませんが、やれない原因を改善しているため効果が見られやすい声掛けです。

 「できる」と思えるように努力する、具体的なやり方を探すというのは、本来部下が自分でやるべきことです。

 しかし、ちょっとしたサポートによって成功体験を積ませることは、効率的な人材育成の一つ。「自分で考えろ」と突き放す前に、ぜひ一度試してみてください。

◆努力を継続させるための声掛け

 努力が成果に結びついていると感じられない場合、目標に向けて頑張り続けることは難しくなります。

 成果を感じることができる、下記のような指導をするとよいでしょう。

 《成果を感じさせるための3つの方法》

 ・成果が確認できるよう記録をする

 ・到達度が具体的にわかるよう数値化する

 ・大きな目標に取り組むときには小さなマイルストーンを設ける

 「前よりよくなってきたな」「成果がでてきるじゃないか」といった声掛けも有効です。努力が結果に結びつくと感じるだけでなく、「関心を持たれている」「期待されている」と思うことが、モチベーション維持に役立ちます。

 このような工夫をしてもうまくいかない場合には、その目標を本当に達成したいと思っているのか確認する話し合いが必要です。

◆目標は自分で決めさせないとダメという幻想

 ところで皆さんは「目標は自分で決めたほうが達成しやすい」と思っていませんか?

 大事なのは誰が目標を設定したかということではなく、目標にコミットしているかどうか。

 与えられた目標でも、自分が責任を持って本気で取り組もうと思えるものであれば達成はしやすくなります。

 当然ですが、自分で掲げた目標でも心からコミットしていない場合には達成しにくくなります。

 コミット不足を感じた場合、早めに面談の機会を持ったほうがよいでしょう。どこを変えればコミットできるようになるのか話し合ってもいいですし、現在の目標を心から取り組みたいと思える目標に調整していくというのもいい方法です。

 今回ご紹介したポイントは、部下のサポート、子育てにはもちろんのこと、自分自身が目標に向けて努力するときにも応用できます。ぜひ試して、実り多い新年度をお過ごしください。

 なぜ目標が達成しにくいのかを捉え、適切に対処していく。これが目標達成をサポートするときの最強の話し方なのです。


藤田尚弓(ふじた なおみ)

コミュニケーション研究家
早稲田大学オープンカレッジ講師 株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

【藤田尚弓の最強の話し方】はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんがビジネスシーンで活用できる会話術を紹介する連載コラムです。更新は月初木曜日。

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