玄米 女性や高齢層を中心に人気広がる 栄養素が豊富、新品種も
健康志向の強い女性や高齢層を中心に、玄米の人気がじわりと広がっている。精米していない玄米は胚芽部分を中心に食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に入っている。白米に比べ劣るとされる食感を良くするなどの工夫がなされた新品種も登場、関係業界は市場拡大に向けて力を入れている。
◆コシヒカリなども
玄米は、もみ殻を取り除いたコメで、ぬかや胚芽が付いている。ぬかなどを除いた白米に比べ栄養素が豊富。カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラル分や、ビタミンE、ビタミンB1、B6など、ビタミン類も白米より数倍多く、また、バランス良く含まれている。一方、体への消化吸収が白米よりも劣るため、よくかんで食べることが求められる。
スーパー「サミットストア葛飾区役所前店」(東京)のコメ売り場には、秋田県産「あきたこまち」や新潟県産「コシヒカリ」といったブランド米をはじめ約10種類の玄米商品が並ぶ。白米とおおむね同様の値段だ。
健康意識の高い顧客を中心に好調な売れ行きだ。売り場の担当者は「雑穀などのブームに続き、1年ほど前から玄米の人気が高まってきた」と話す。
近くに住む80歳の主婦は「毎日の主食なので、なるべく体に良いものを選ぶ。最近、白米はあまり食べないようにしている」と棚を見て回っていた。
◆「金のいぶき」
栄養価が高い半面、玄米にはぼそぼそして食べにくいというイメージがある。しかし、「金のいぶき」は、もちもちした食感と甘みのある味わいが特徴だ。
宮城県の農業試験場で誕生。高機能玄米協会(横浜市)に加盟する食品メーカーなどが平成26年から販売しており、この1、2年で売り上げは大きく伸びているという。
金のいぶきは、胚芽の大きさが普通の玄米の約3倍ある。血圧を安定させる効果があるとされるアミノ酸の一種のGABA(ギャバ)やビタミンEなどの栄養成分を豊富に含む。食物繊維も豊富だ。
また、でんぷんのアミロースの含有量が少ないため、炊いた際の食感にはもちもち感があり、胚芽独特のぷちぷち感も味わえるのも特徴だという。
玄米食の普及を目指す同協会は、「金のいぶき」を使ったのり巻きやリゾットなど和風、洋風のさまざまなメニューをホームページで提案。担当者は「玄米がコメ消費量の低迷を下支えできれば」と期待する。
◆発芽でさらに甘み
健康食品メーカーのファンケル(横浜市)は、この品種を独自の製法で加工した「発芽米 金のいぶき」(1キロ入り1080円)を通信販売や店頭で扱っている。胚芽部分を発芽させることで酵素が発生し、栄養価が一段と高まり甘みも増すという。
生活習慣病が気になる中高年層を中心に定期的に購入する客が多い。担当者は「白米に少量を混ぜる雑穀に比べて、1食で多くの量を食べられるのも利点。さらに健康への良さを訴えたい」と意気込む。
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