多機能化進む「日焼け止め用化粧品」 スキンケアや美白も

 

 まもなくゴールデンウイーク。旅行など屋外で過ごす機会も増えるが、この季節に気をつけたいのが紫外線対策だ。日焼け止め用化粧品は年々進化しており、最近では紫外線防止効果だけでなく、スキンケアや美白効果をうたう商品も登場。多機能化が進んでいる。(油原聡子)

 民間調査会社の富士経済(東京都中央区)によると、日焼け止め用化粧品の市場規模は拡大傾向にある。平成26年には305億5千万円だったのが、29年は363億5千万円を見込む。担当者は、「インバウンド需要のほか、メーカー側が日焼け止めの使い分けを提案していることで1人あたりの使用個数の増加に結びついたのではないか」と分析する。

 市場が拡大するなかで各メーカーは毎年、処方の改良を重ねている。「落ちにくさ」を追求したのが、カネボウ化粧品の日焼け止めブランド「アリィー」だ。今年、汗や水だけでなく摩擦にも強く落ちにくい新機能を打ち出した。「落ちてしまう原因として、汗や水だけでなく、服やタオル、バッグなどによる日常的なこすれも影響していることが判明しました」と広報担当者。日焼け止めの塗膜に弾性を持たせることによって、摩擦に強くしたという。

 ◆美容成分を配合

 「日焼けしない」に加え、今は美容効果へのニーズも高まっている。

 資生堂の日焼け止めブランド「アネッサ」。今年の主力商品では、スキンケア成分の配合比率を50%まで高めた。アネッサの商品開発担当、広瀬智恵さんは「女性が紫外線対策をするのは、老化を防ぐため、という理由が多い。スキンケア成分を増やしたことで、今だけでなく未来の美肌を守ることにもつながる」と話す。乳液タイプのものでも、さらっとした付け心地で、べたつかないという。

 美白効果をアピールするのが、ポーラのブランド「ホワイティシモ」から4月に発売された日焼け止め美容液「薬用UVブロックシールドホワイトプラス」だ。シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑える「ビタミンC誘導体」やスキンケア効果のある成分を配合した。

 ◆スプレーで手軽に

 日焼け止めには、乳液タイプやジェルタイプなどがあるが、最近人気が高まっているのがスプレータイプ。インターネット通販大手「楽天市場」では、スプレータイプの3月の売り上げが前年同期比2倍と好調だ。運営する楽天の広報担当者は「手軽に扱うことができるのが、人気の理由のようです」と話す。特に、子供用のスプレータイプは紫外線対策と虫除けが1本でできるものなど、多機能なものが売れているという。

 気象庁などによると、紫外線量は2~3月に増え始め、5月から高い時期が続く。肌の老化の原因は、8割が太陽光によるという研究データもある。今、この時期から紫外線対策をしっかり行うことで、美肌を守ってみては。

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 ■使用シーンを考えて選ぶ

 日焼け止めはさまざまな商品が出ているが、どう選んだらいいのだろうか。ポーラ商品企画部の荻野和子さんは「その日どんな行動をするのか、まずは使用シーンを考えて」と話す。

 紫外線のなかでも、地上まで届くのはA波(UV-A)とB波(UV-B)。UV-Aは肌の奥まで届き、シワやたるみの原因になる。UV-Bは、波長が短く肌の表面で炎症を起こし、シミやソバカスの原因になる。

 紫外線防止効果は、商品に表示されている。UV-Aを防ぐ効果は、+で表示され4段階。UV-Bは、「SPF」で表示され、最も高いのが50+だ。荻野さんは「オフィスワークの人なら通勤時にはSPF20~30のものがお勧め。アウトドアなら、SPF50はあるものを選んでほしい」と話す。UV-Aは85%がガラスの窓を通過するとされており、室内でも日当たりによっては注意が必要だ。