働き方改革で「進化」するオフィス系文具 新機能で売り上げ2倍も

 
ミーティングボックス(奥)とライフスタイルツール=東京都渋谷区の渋谷ロフト

 「働き方改革」の広がりを受けて、地味だった「オフィス系文具」に新製品群が登場、売り上げを伸ばしている。職場で自由に席を選ぶフリーアドレス制やテレワークなど、残業時間を減らしつつ生産性を上げる試みが官民で進むにつれ、文具の機能やデザインが“進化”している。(牛田久美)

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 ◆電子化でより自由に

 フリーアドレス制は主に情報通信業界で平成17年ごろから導入が始まった。他業種の職場では紙の資料が多く、あまり浸透しなかったが、パソコンの普及とペーパーレス化の進行で状況が変わったようだ。今では流通、機械、輸送、不動産など多業種に広がりを見せている。

 霞が関の官庁街でも電子政府を推進する総務省行政管理局が27年、個別の机を撤廃。職員は登庁後、ロッカーからパソコンを出し、その日、最も話をする同僚の近くに座る。机とイスを動かすだけで他チームとも即座に話ができ、意思決定が迅速になった。取り組みは同省統計局などにも広がり、企業や自治体から約2500人が視察に訪れた。

 一方、ペーパーレスを実現したのは損害保険大手「損保ジャパン日本興亜」特約火災保険部。紙の契約が中心だった保険業界で電子化を推進。紙資料の保管空間を1人引き出し1杯に定め、文書約258箱分を一斉廃棄した。すっきりした職場でレイアウトも変更。「動きが円滑になって社員同士の交流が増えた」「改革は、トップダウンでぶれないことが成功のポイント」と語る。

 ◆文具の売り上げ2倍

 こうした職場の変化を受け、東京都内の雑貨専門店「渋谷ロフト」では、オフィス文具の売れ筋が変化した。「この1年、持ち運びやすさに着目した新製品が次々に登場したと思ったら、3月、それらの売り上げが前月比145~200%に伸びた」(同社広報・渉外部、高橋祐衣さん)

 スマートフォン、パソコンなどをまとめて持ち運べるA4判バッグ「ミーティングボックス」(3500~3800円)は55%増。底板付きで机上で自立する。「ミーティングバッグ」(2880円)は80%増。27種から選べる。

 赤、紺など鮮やかな色の「ライフスタイルツール」(1400~2900円)は93%増と2倍近くに。収納時はすっきりした紙箱。着席し、箱を立てて開くとペン、ハサミ立て、付箋(ふせん)などデスク小物が展開する。

 自宅から取引先への直行直帰などによる「時短勤務」や、電源カフェ、シェアオフィス、郷里の実家などでの「遠隔勤務」(テレワーク)増を受けて、極小の文具セット「XSステーショナリーキット」(3千円)は100%増。修正テープ、ハサミなど6種は小さいが使いやすい。

 ◆どこでも仕事

 離席時に荷物を見守るモニタリングアラーム「トレネ」(6800円)は、空港のラウンジやカフェなどで仕事中、急な電話やトイレでも荷物を置いて離席できる。スマホと連携させて荷物の上に置くだけ。スマホを持ったまま離れると自動で警戒状態に入り、荷物が振動するとアラームとLEDで周囲に知らせる。

 昨秋、インターネットを使って開発費などを調達するクラウドファンディングで、市場調査を目的として購入希望を募ったところ、3時間で目標額を達成。3カ月間で目標の10倍以上の約608万円に達した。

 文具製造大手「キングジム」広報室は「開発中、利用者はいるのか半信半疑だった。こんなに市場が大きいと思わなかった」。店頭販売も好調という。