「ダメOL」が起業して3億円をゲット! 異色のビジネス書が脚光を浴びるわけ
資産もコネもないOLが度重なる苦難を乗り越え巨万の富を手に入れる-。ドラマのようなサクセスストーリーと侮ってかかると、このビジネス書の真価を見誤るだろう。働き方改革が叫ばれるなか、キャリア探しを模索するミレニアル世代の女性の支持を集め、「女性部下に読ませたい」という男性読者も増えているそうだ。新刊が話題を集める気鋭の女性起業家に話を聞いた。
◆実家が経営破綻、新卒の大ポカで減給…
『ダメOLの私が起業して1年で3億円手に入れた方法』(講談社)。4月27日の発売日にいきなりアマゾンで新着17位にランクイン。大手書店の店頭でも、話題の書籍コーナーで本書を手に取る女性の姿が目立つ。
著者の成井五久実(いくみ)さん自身、「賛否両論が起きやすい攻めたタイトルにしました」と苦笑いするが、確かに内容も「目指すキャリアを持った男性と恋をする」「自分より綺麗な女友達を作る」など、エッジがきいている。だが、成井さんは「私のストーリー丸ごとが人にパワーを与えることにつながるのではないか。保身を乗り越えてでも、伝えたい想いがあった」と強調する。
実際、まだ若い半生にして波乱万丈だ。1987年に福島県の資産家に生まれた成井さんは何不自由なく育ったが、中学生時代に父親の会社が破綻。一家離散の危機を救ったのは臨床心理士としてカウンセリングルームを経営していた母親だった。人生最初の試練に、「自分も一矢報いたい、と思ったことが起業の原点かもしれない」との言葉には、若い女性らしからぬ覚悟がにじむ。
単身で上京して女子大を卒業後、女性経営者として「憧れの存在だった」南場智子社長が率いるディー・エヌ・エー(DeNA)に入社したが、今度は「大失態で新卒初の減給処分を受けたんです」。広告営業での業務ミスでウン千万円の穴をあけてしまったのだ。
◆男性に女性の情報を届けるWEBメディアを創設
再び奈落の底に落ちたが、学生時代に起業サークルにも在籍し、ずっと抱き続けた起業の夢が支えになった。新規事業の経験を積むため、やはり著名な女性実業家の経沢香保子氏(現キッズライン社長)が創業したトレンダーズに転職した。
そして、「世の中には男性が女性の情報を得られる場所が少ない」と感じたことから、男性向けのWEBメディア「JION」を創設。女性の視点で男性にトレンドを届ける試みが当たり、ユーザーを着実に獲得して軌道に乗せた後、最終的に運営会社を売却。「田舎出身、女子大卒、貯金なし」の元OLは3億円を手にした。
本書は、成井さんの実体験を通じて、女性ならではキャリアアップ、昇進術を紐解き、「頭一つ抜けるための超実践的ノウハウ」を紹介している。
働き方改革が叫ばれ、フリーランスなど自分の好きなことで簡単に稼ぐ風潮もある中、「あえて本気で大きな勝負をして“バリキャリ”を追求する人もいることを世間に伝えたい」と成井さんは言葉に力を込める。
◆「そろそろ私たちが世代交代を」
OL層に売れているだけでなく、「まだ社会に出ていない女子大生の反響が大きかったのが意外で面白かった」そうだ。女性ならではの心理やホンネが赤裸々につづられ、心理学に基づいた分析も紹介されており、女性部下の考えていることがつかめないというビジネスマンにも「きっと参考になるのでは」という。
成井さんは現在はPR会社「ベクトル」グループの子会社のCEOを務めている。自分と同じ女性起業家を支援する活動も行っており、ファンドの設立も目指している。
産業界では女性経営者も徐々に増えているが、成井さんが影響を受けた南場氏や経沢氏、産業競争力会議の民間議員も務めたワーク・ライフバランスの小室淑恵社長など、知名度もあるが一握りのフロントランナーが牽引する構図が長く続いてきた。
「そろそろ世代交代し、新陳代謝していかないと」
夢は経沢氏が2012年に記録した上場時の女性トップ最年少記録を破ること。臆せず語る瞳がキラリと輝いた。(SankeiBiz 柿内公輔)
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