部下への指示が伝わらない…そんなはずでは?! 「自動思考」の罠の怖さを知ろう

 
※写真はイメージです(Getty Images)

 【藤田尚弓の最強の話し方】 気持ちがうまく伝わらない。悪気はないのに相手を不快にしてしまった。皆さんも、そんな経験はありませんか? この連載ではコミュニケーション研究家でアップウェブ代表取締役の藤田尚弓が、ビジネスシーンでの「最強の話し方」をご紹介していきます。

 第11回は、指示の出し方。指示どおりに仕事ができない部下がいるという人は、もしかすると指示の仕方が間違っているかも知れません。

 思った通りの仕事をしてもらうためには、適切に指示を与えることが必要です。部下が期待どおりの仕事ができるようになる「最強の話し方」を解説します。

◆あなたの指示は大丈夫?! 指示力チェックリスト

 ・わからないことは自分で調べてやれるタイプだ

 ・能力が低いと感じる部下が3人以上思い浮かぶ

 ・そのくらいは自分で考えてやってほしいと思うことがある

 ・途中経過の報告はなくてもよいと思う

 ・抜けや漏れが多い部下がいる

 ・指示してわからない部分がある場合はその場で聞くべきだと思う

 ・「任せる」が口癖

 ・「すごく多い」「なるべく早く」など抽象的な言葉を使うことも多い

 5個以上あてはまる人は指示の出し方を改善しましょう。

 「指示どおりにできない部下が悪いのだからそんな必要はない」と思う人は、自動思考の罠にハマっているかも知れません。

◆思いやりのある人でも部下のせいにしてしまう「自動思考」の罠

 休日の朝に目を覚ますと雨が降っていました。皆さんの頭にはどんなことが思い浮かぶでしょうか。反射的に「なんだ雨か。嫌だな」といった考えが浮かぶ人もいると思います。

 雨が降らなければ水不足になりますし、雨の日はゆっくり読書や掃除をするのにいい機会かも知れません。なのに「雨か、嫌だな」といった捉え方が浮かんでしまう。こういった現象を自動思考と言います。

 さて、部下が期待とは違った仕事を仕上げてきたとき、皆さんはどう思うでしょうか。

自動思考は合理的でない場合も多く、思いやりのある人でも「部下の勘が悪い」「能力が低い」と捉えてしまうことがあります。

 うまくいかなかった原因が部下側にあると考えてしまうと、次回も同じような失敗が繰り返される可能性が高くなるのをご存知でしょうか。

◆「原因の捉え方」と「失敗」の関係

 何か失敗があったとき、私たちはその原因を考えます。

 例えば、ある営業マンが大事な商談をまとめられなかったとしましょう。失敗したのは「景気が悪いからだ」「商品が悪いからだ」など、自分ではコントロールできない外部要因のせいにしてしまうと、次回も同じようなアプローチをしてしまいがちです。そのため同じような商談で失敗してしまう確率は高くなります。

 逆に「プレゼンの仕方がよくなかったかも知れない」「資料が不足していたかも知れない」など、自分がコントロールできる部分に原因を探した場合、同じ失敗は繰り返されにくくなります。

 部下が期待どおりの仕事ができなかったとき、咄嗟に「能力が低いせいだ」と考えてしまう人は要注意。指示の悪さに気がつくことなく、同じ失敗を繰り返しやすい状況だといえるでしょう。

 では、上司側が指示を改善するためには何から始めればいいのでしょうか。具体的なポイントを確認していきましょう。

◆伝わりやすい指示「7つのポイント」

(1)部下の経験や理解に合わせて指示の仕方を変える。

 中にはざっくりとした指示でも求めるものを汲み取ることができる人もるが、それが苦手な人=能力が低いわけではない。

(2)抽象的なものは具体的に。

 「もう少し増やして」→「あと400字増やして」、「なる早で」→「できるだけ早く、遅くとも〇日までには仕上げて」など。

(3)見本や参考を活用する。

 言葉だけでは伝わりにくいものや、経験の少ない仕事をさせるときには、見本や参考になるものを活用して具体的なイメージを共有する。

(4)求めるゴールを明確にする。

 どんなクオリティを求めるのか、期限はいつなのか、どんな点に注意したらいいのかなどを明確に伝える。

(5)「何か質問ある?」と聞いて安心しない。

 「質問ある?」と聞いて、「ありません」と答えるのは、わからない部分に気づいていない可能性がある。

(6)「権限移譲」と「丸投げ」を混同しない。

 「任せるよ」といった指導責任を放棄しない。権限を委譲してもスムーズにやり遂げられるようサポートをする。

(7)中間報告をさせ理解を確認する。

 これらの対策をしても、ミスコミュニケーションは起きる。中間報告をさせ、理解の間違いがあれば早い段階でフィードバックする。

 中には「上司が部下にそこまでする必要があるのか?」と思う方もいると思います。そういった気持ちになりやすいことが、実は指示の出し方で一番難しい部分なのです。

◆「自分も厳しく指導されたから…」はアウト

 仕事には厳しさも必要です。「教えてもらうのではなく自分で考えろ」「周りを見て察しろ」といった意見もあると思います。

 一方、部下は、あいまいな指示だけを頼りに「期待されているのはこんなことかな」と試行錯誤するわけですが、そんなやり方では当然ながらいい結果はでません。

 皆さんは自分が厳しく指導されたから、部下にもそう指導するべきだと思っていないでしょうか。そのやり方は仕事を完遂するうえで本当に合理的でしょうか。

 部下の経験や理解に合わせ、仕事がしやすいようにサポートする。これが指示をするときの最強の話し方なのです。

藤田尚弓(ふじた なおみ)

コミュニケーション研究家
早稲田大学オープンカレッジ講師 株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

【藤田尚弓の最強の話し方】はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんがビジネスシーンで活用できる会話術を紹介する連載コラムです。更新は月初木曜日。

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