発表! 2019年卒「就職人気企業」トップ50社 採用コンサルタントが中身分析
提供:PRESIDENT Online2019年度入社の新卒採用選考が、6月1日より始まった。今の大学生は、どのような企業に魅力を感じているのか。19年大学卒業予定者を対象とした「新卒就職人気企業ランキング調査」の結果について、採用コンサルタントの谷出正直氏に聞いた--。
採用広報と企業広報で、学生人気を最大化
残業は、ないのが当たり前--。就活事情を長年見てきましたが、最近の学生は会社を見るときのポイントが大きく変わってきたなとひしひしと感じます。最も顕著なのが、残業や働き方に対する意識です。
私が就職した13年前は、残業は「あって当たり前」でした。しかし今の学生は定時帰宅が大前提で、残業はあってもほんの1~2時間という認識。多くの学生と話をしてきた肌感覚としては、月の残業時間が40時間を超えると聞くと、今の学生はその会社に対して「ブラック企業じゃないの?」という印象を抱くようです。
目につくのは銀行の人気下落
そんな時代だからこそ、今声高に叫ばれている働き方改革は、採用の面で大きな影響があるように思います。残業時間が以前よりどれほど減ったのか、その他どんな社会貢献活動をしているかというようなことも含めた広報活動が、採用活動でも大きな意味を持ち始めています。
こういった学生の意識の変化を前提としつつ、楽天みん就(「みんなの就職活動日記」の略称)が2019年卒の大学生を対象として実施した「新卒就職人気企業ランキング調査」(以下、みん就ランキング)の結果を見ていきましょう。
まず、目につくのは銀行の人気下落です。三菱UFJ銀行は前年9位から47位まで順位を落としました。また、他のメガバンクはランクダウンによりベスト50から姿を消しました。これは、17年、人工知能(AI)の活用による人員削減を公表した影響でしょう。
ただ、これがそのまま銀行の人気凋落を表しているかというと、そこまでではないという印象があります。というのも、みん就以外の就職ランキングを見ると、銀行はおしなべて順位を落としてはいるものの、みん就ほど大きな下落はしていないからです。
女子学生から絶大な人気のアクセンチュア
こういった人気ランキングというのは、調査対象や調査手法などによって差異が生まれるものですが、みん就ランキングはその中でも、学生のライトな意見が強く反映される調査と言われています。それはみん就が、就活生同士の情報交換ができる口コミサイトであるところに理由があります。
みん就ランキングには、学生の口コミや直近のニュースなどの影響が大きく反映されます。結果として、人員削減などのネガティブな報道があると、他の調査よりも順位が大きく下がりやすいのです。いわば、みん就は「就活生による企業ブランドイメージランキング」とも言えます。
同じ理由で、自社のPRを目的として通年行われる企業広報が充実している会社は、学生人気に反映されやすいです。例えば前年に続き1位の全日本空輸は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が所属していたり、東京五輪のオフィシャルパートナーになっていたりします。人事が行う採用広報に加えて、企業広報もうまくいっている会社の代表格と言えるでしょう。
働き方改革でいうと、「女性活躍」は学生注目のトレンドです。女性活躍を推奨し、情報を発信している企業は学生人気を上げています。前年37位から13位に順位を上げたアクセンチュアはその象徴で、特に女子学生から絶大な人気を集めています。まさに採用広報の賜物と言えるでしょう。
NTTデータも前年20位から8位に順位を上げていますが、これはITなどのテクノロジー企業でかつ大手であるということが有利に働いたのだと思います。将来に閉塞感のある現在、テクノロジーに強みがあるというのは会社の未来が明るい印象を受けます。
またNTTデータはインターンシップなどのプロモーション戦略もうまくいっていたように思います。AIや仮想通貨、自動運転といった「未来のテクノロジー」を連想させるキーワードを、今の就活生は前向きなイメージとして捉えると思います。
「未来に向けた前向きなイメージ」で順位を上げた電通
サッポロビールは、19年度新卒採用で、エントリーシートの選考にAIを活用すると発表しましたが、前年189位から32位へと大きく順位を上げています。新しいことへ挑戦する社風であることを、リアリティをもって伝えられている点が、学生人気を高めているのでしょう。
同じく「未来に向けた前向きなイメージ」で順位を上げたのが電通です。女性新入社員の過労死自殺など、働き方のイメージが最悪だった同社が前年23位から7位に順位を上げたことを、意外に思われる人もいるかもしれません。しかし、電通はこの事件を契機に本気で働き方改革に取り組んでおり、22時にはオフィスを完全消灯するなど、以前とは違う会社だということを発信しています。実際、ある電通のグループ企業では、新入社員はみな17時半に帰らせているという話も聞きます。そうすると、就活生の心象としては、「以前は大変だったけど、今は未来に向かって前向きに改革を進めている会社」というふうに見えるわけです。
逆に、少し陰りが見えるのが旅行業界です。JTBグループは前年4位から10位に、エイチ・アイ・エスは前年13位から33位に順位を落としました。これまで学生が抱く「旅は楽しい」というイメージが業界人気を支えていましたが、労務環境が厳しい業界でもあるという現実を、働き方改革の風が吹くなか、学生が認識し始めたということかもしれません。
まとめると、働き方改革をはじめとした最新のトレンドに乗り、かつ未来に向けた取り組みを提示できる企業が、現在の就活生の人気を集める企業と言えるのではないでしょうか。
(採用アナリスト 谷出 正直 構成=衣谷 康 写真=iStock.com)
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