欄外は情報の宝庫、情報あふれる「時刻表」 謎のご注意が上越線ページに!?
時刻表は情報があふれている。JR線のダイヤ、路線図、運賃計算などの営業案内だけでなく、全国の私鉄、バス、そして航空機の時刻も載っている。全国の旅館、ホテルの名称や電話番号もある。それらの本文部分のほか、旅に必要な知識が欄外にも掲載されている。そこには謎の注意書きも含まれている。(鮫島敬三)
「国鉄監修 交通公社の時刻表」の昭和52年10月号の欄外情報を見てみよう。定期運行ではない季節列車の予定運転日、遠回りして目的地に向かう列車に乗る場合、短い方の経路の乗車券が使えるといった説明が随所に見られる。そして「高崎線・上越線・信越本線下り」のページには謎の「ご注意」がある。「土合駅の改札は下り列車に限り、発車10分前に打ち切りとなります」。いったいどういうことだろうか。
理由を明かすと、JR東日本の上越線にある土合駅(どあい=群馬県みなかみ町)の改札から浦佐や新潟方面に向かう下りホームまで10分ほどかかるためだ。高崎や上野方面の上りホームは、普通に改札口からすぐにあるが、下りホームはトンネルの途中にあり、延々と階段を下って行かねばたどりつけない。
駅の説明板によると、駅舎とホームの標高差は何と約70メートル。改札を抜けると、まず143メートル(階段24段)の連絡通路を通り、そこから一気に下る。真っ直ぐ下る階段は462段、長さは338メートルもある。湿度が高く、薄暗い。まるで秘密基地に向かうような雰囲気が一部のファンに受け、「日本一のモグラ駅」として親しまれている。もともとは谷川岳登山の入り口として知られていたが、現在は珍しい駅を見学しようと、休日ともなると大勢の観光客が訪れている。駅舎前の駐車スペースは様々な地域のナンバープレートをつけた車でいっぱいだ。
階段の途中には休憩用のベンチが設置されている。運動不足の人にはかなりのきつさだ。現在のダイヤで停車するのは普通列車のみで、上下5本ずつ。この駅を毎日利用している人はいるのだろうか。
なお、昭和52年当時は駅員がいたため、改札を打ち切るという表現だった「ご注意」だが、その後、無人駅となり、現在の欄外には「土合駅は改札から下りホームまで約10分かかります」に変わっている。こちらの方が分かりやすい。
東北本線・青函航路のページの欄外には「青函連絡船は連絡船または接続列車の指定席をお持ちの方が優先乗船になります」の記述も。北海道への交通手段で、まだ鉄道と連絡船が存在感を示していた時代らしい。この情報のおかげで、連絡船の積み残し客となるのを怖れ、常に函館発の列車の指定席券を入手していた思い出がある。
また、欄外情報で重宝したのは駅弁情報。どこの駅にどんな弁当がいくらで売っているかが分かった。神戸駅の「しゃぶしゃぶ弁当」は千円。当時、500円ぐらいが駅弁の相場だった中で、なかなかの高級感を出している。姫路駅の「あなごめし」(500円)、岡山駅の「祭りずし」(500円)など、どれもおいしそうだ。
主要特急、急行列車の編成、主な駅の構内図も載っている時刻表。これらを見るだけで旅に出た気持ちになれるといえば、大げさだろうか。
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