“寝かしつけ”の大きな味方! 「絵本プロジェクター」が脚光 ストレス軽減で育児楽しむ

 
タカラトミーの「天井いっぱい!おやすみホームシアター」(希望小売価格7538円)。ディスク状のフィルム(手前)を内蔵のLEDライトで照らし投影する

 暗くした寝室の天井に映像を投影し、朗読やBGMで子供を眠りへと誘う「絵本プロジェクター」が注目されている。寝かしつけに苦戦している子育て世帯の育児ストレスを軽減し、余裕を持って子供との時間を楽しむ手助けとなるようだ。(玉崎栄次)

スムーズに入眠

 「絵本を3、4冊読んでも寝ないことも…。親子でくたくたになってしまう」

 横浜市の女性会社員(31)は長女(2)の寝かしつけに苦戦する日々を送っていた。午後9時にベッドに向かうが、寝付くのは10時過ぎだ。そこで、SNS(会員制交流サイト)などで口コミが増えていたセガトイズの絵本プロジェクター「ドリームスイッチ」を使ってみた。

 部屋の明かりを消し、専用のプロジェクターをセット。長女のお気に入りのアニメ「ちいさなプリンセス ソフィア」が天井に映し出される。登場人物が穏やかな声の朗読に合わせ、ゆっくりと動く。最後は、ミッキーマウスが眠るように促してくれる。これを見ながら、子供はスムーズに寝るようになった。

 ドリームスイッチには「シンデレラ」や「トイ・ストーリー」など、講談社のディズニー絵本から30話が用意されている。1話10分ほどだ。女性は「子供が寝るのを楽しみにするようになった」と話している。

子育て社員が開発

 「自分のような共働き世帯の負担を解消できればうれしい」。ドリームスイッチを開発した土屋貴由(きよし)さん(38)が語る。開発当時、自身も5歳と3歳の子供の寝かしつけに悩まされていた。土屋さんは同社が販売している家庭用プラネタリウムの担当。そのノウハウを子供の寝かしつけに応用できないかと考えた。

 子育て中の社員らで開発チームを作り、1年間をかけて100人の子供に延べ1千回の試験を実施。映し出される映像の大きさや時間、登場人物の動きや朗読の速度と、子供の寝付きとの関係などを検証した。昨年11月の発売から5カ月間で目標を大きく上回る4万台以上を売り上げた。

スマホ用も

 ドリームスイッチの他にも、絵本プロジェクターはさまざまなタイプが販売されている。タカラトミーの「天井いっぱい!おやすみホームシアター」は、ライトでディスク状のフィルムを下から照らして投影。子守歌やクラシック曲に合わせ、星座が映し出される。

 手軽さを求めるなら、スマートフォンのLEDライト部分に小型プロジェクターを装着して絵本を映し出す「おそらの絵本」(ライブエンタープライズ)がある。投影される絵本は「おおきなかぶ」など12種類(別売り)。朗読機能はないが、スマホでダウンロードする無料アプリにBGMが用意されている。

 リクルート発行の「ゼクシィBaby 妊婦のための本」の尾花晶(おばな・あき)編集長は「1人で育児に向き合っている母親は少なくない。テクノロジーを使った育児アイテムをうまく利用することでストレスを軽減し、余裕を持って子供と接することができるようになる。育児を楽しむ手助けにしてほしい」と話している。

 ■子育て世帯の3割、「30分」

 子育て世帯は寝かしつけにどれくらいの時間を費やしているのだろうか。情報サイト「マイナビニュース」が昨年7月、子育て中の女性151人にアンケートを行い、最も長くかかったケースを尋ねたところ、「1時間」という回答が最多で34.4%に上った。次いで「2時間」が19.2%、「1時間半」が10.6%と続いた。「3時間」との回答も6.6%あった。

 ただ寝かしつけにかかる平均時間では、「30分」と答えるケースが最も多く32.5%。次いで「15分」(18.5%)、「10分」(14.6%)と続いた。