ニキビ、ちゃんと知って 正しい対処で「治せる」

 

 顔や胸、背中などの毛穴が詰まり、炎症を起こす「ニキビ」。思春期以降に90%以上の人が経験するとされる皮膚疾患だ。近年では初期の「コメド」と呼ばれる段階から使える処方薬も開発されており、専門医は「治そうと思ったら治せるということを知ってほしい」と訴えている。(加納裕子)

悪化しやすい夏

 夏はたくさん汗をかき、皮脂の分泌も増えてニキビを悪化させやすい時期。でも洗顔を繰り返し、肌を乾燥させれば悪化することもあり、ケアが難しい。

 「アン皮膚科クリニック」(大阪市淀川区)院長の廣本敦子医師(46)によると、ニキビは、毛穴の入り口が何らかの原因で詰まり、本来毛穴から出ていくはずの皮脂がたまった「コメド(白ニキビ)」から始まる。その後、アクネ菌や黄色ブドウ球菌などが繁殖し、赤く膨らんで悪化。重症化すると顔にニキビ痕が残ることもある。

 「かつては痛みや赤み、腫れのあるニキビが治療対象で、抗生物質で菌を抑える治療が一般的でしたが、今ではコメドの状態で使える薬があります」と廣本医師。この薬にはケミカルピーリングのように皮膚の表面を溶かして再生を促す作用がある。赤みやヒリヒリ感などの副作用もあるが、医師の指導で使い続ければ、3カ月程度で効果が表れる。廣本医師は「治療をすれば早く良くなるし、痕もましになる。早く治したいと思ったら、医師に相談してほしい」と話す。

皮膚疾患認識を

 ニキビは「青春のシンボル」とも呼ばれ、そもそも皮膚疾患という認識を持たない人も。製薬会社「マルホ」(大阪市)が昨年9~10月、全国の10~30代のニキビ経験者約1万人を対象に行った調査では、61・9%が「自然に治るもの」と回答し、46・2%が1年以内に「特に何も行っていない」とした。

 一方で、約92・6%が「ニキビに悩んでいた」と回答。ニキビがあると「外出頻度が減る」(32・8%)、「集中度合いが減る」(47・4%)など、日常生活に影響を及ぼしている実態も明らかになった。

 廣本医師によると近年、皮膚疾患とメンタルヘルス、腸内細菌の強い相関関係が注目されている。ニキビの主な原因はホルモンバランスの乱れや過剰な皮脂の分泌、肌の乾燥などだが、ストレスや栄養不足、睡眠不足、運動不足、便秘なども原因になるという。

 廣本医師が予防のために勧めるのは、毎日入浴して皮膚の表面の角質層を柔らかくし、毛穴を開かせてから丁寧に洗顔すること。入浴できない場合は、電子レンジで蒸しタオルを作り、2~3分顔に当てて毛穴を開かせてもよい。ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養をきちんと取ることも大切。ヨーグルトなど腸内細菌を増やす食べ物も効果的だ。