ウエアラブル端末で職場の人間関係も可視化 オリックスが「働き方支援ツール」提供
人工知能(AI)などの導入で、生産現場やオフィスでの働き方が大きく変わろうとする中、オリックスグループが、身に付けた端末で社員の体調やストレス、行動を常時把握し、データから職場の状況や人間関係を可視化できる「働き方支援ツール」を開発、このほど試験導入企業の募集を始めた。社内のデジタル化によって、職場環境の改善につなげるサービスは国内で初めて。社員の健康管理サービスとともに、働き方改革の新市場として期待がかかる。
パワハラも早期発見
国内初の働き方支援ツールは、国の制度に先駆けてさまざまな働き方改革に取り組んでいるオリックスグループのIT企業、ユビテック(東京都港区、荒木克彦社長)が開発した。
生産性や企業価値を高めるための「健康経営」が注目され、ウエアラブル端末で社員の健康状態を把握したり、データを管理できるサービスはある。これに対し、同社の支援ツール「Next Work」は、腕時計型の端末を装着すると、心拍数の変化から割り出すストレス度、身体負荷、どこをどう歩いているかの動線のほか、加速度センサーなどによって転倒による異変を検知。管理部門のディスプレーや管理者のパソコン、スマートフォンなどにリアルタイムで表示する。日々の労働時間を含め、一連のデータを統計化することもできる。
ストレス度の数値が上がったときに、その社員が何をしているか-。会議中であるとか、何の作業をしているか、誰と話をしているかなどが、リアルタイム、あるいは事後に特定でき、パワハラや、負荷のかかる仕事を把握することができるという。
同社はIoT(モノのインターネット)ソリューションの開発や、電子機器、ソフトウエアの設計などを手がけており、こうした技術を応用した。商品化と同時に、試験導入するトライアル企業を募集し、同社内でも実証データの蓄積を続けている。
未来型のオフィス
実証実験中の同社内では、オフィスの間取りを示した大きなモニター上で、いくつもの緑の円が通路を移動したり、デスクにとどまったりしている。それぞれの円には社員の名前が書かれ、色が赤く表示されている円もある。医療機器ではないため、基準値はないが、「日々の蓄積データよりも、ストレス度が高くなるなどの変化があると、色が変わる設定にしてある」(同社)。
10メートル間隔で設置した受信機で、端末の情報を取得する。端末を付けた社員がオフィス内をぐるりと一周すると、緑色の円がディスプレー上を一周する。
導入企業では、出社時に社員が端末を腕に付け、一日を過ごすことになる。端末は、ベルトをきつく締めなくてもデータが取れるという。常に行動が監視される形になるが、食堂やトイレなどには、端末の情報を拾う受信機を置かないなどの工夫で、業務中以外のプライバシーを守ることもできるという。
サービスは、ウエアラブル端末が1台1万5000円、受信機が1台2万円、サービス利用料が1人月額2000円。
健康管理の新市場
一日の歩数、距離、消費カロリーなどの運動量や、睡眠時間を測定できるウエアラブル端末による健康管理市場には、健康器具メーカーが参入しているほか、電機メーカーも事業展開に乗り出している。
NECは今年6月、心拍データから感情を分析する「感情分析ソリューション」の提供を発表した。名古屋市立大と共同開発中の感情認識システムを活用、交感神経と副交感神経のバランスを分析し、「興奮や喜び」「憂鬱や疲労」などの感情変化の履歴を可視化、会話量なども把握できるという。
企業は、社員のストレスチェックが義務付けられているほか、深刻な人手不足や働き方改革の下で、職場環境の改善や、社員の健康管理の重要性は高まっており、新市場として急成長する可能性がある。(大塚昌吾)
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