厚労省、短時間労働者へも厚生年金の加入義務付け検討 中小の反発必至

 
厚生労働省が入る中央合同庁舎第五号館=東京都千代田区霞が関(中鉢久美子撮影)

 厚生労働省は、これまで厚生年金の加入義務がなかった従業員500人以下の企業のパートら短時間労働者にも対象を広げる検討を始めた。現在、加入義務があるのは週30時間以上働く人のほか、週20時間以上で賃金が月8万8000円以上などの条件を満たし、かつ従業員501人以上の企業に勤める人。企業の人数要件や賃金要件を拡大して保険料負担の担い手を増やし、少子高齢化の進展で圧迫される年金財政の安定化を図る考え。

 来年は5年に1度、年金財政の健全性をチェックする「財政検証」の年に当たり、厚労省は来春にも公表される検証結果を踏まえて制度改正案をまとめ、2020年度の関連法改正を目指す。

 今後、集中的に検討する会議を設置し、事業者からヒアリングするなどして検討を進める。

 現行制度でも労使の合意があれば500人以下の企業のパートの厚生年金加入は可能だが、改正されれば義務付けられることになる。加入義務を拡大することで、労働者側は老後に厚生年金を受け取れるメリットがあるが、保険料は労使折半のため、企業側の負担は増える。中小企業からは反発も予想される。

 日本の公的年金は原則20歳以上の国民全てが加入し、保険料を支払って高齢者への給付を賄う「世代間の仕送り方式」で成り立つ。人口構造に合わせた制度の見直しが避けられず、受給開始年齢の引き上げも議論される。

 国民年金と厚生年金の基礎部分は原則65歳からの受給だが、現在は個人の判断で60~70歳の間で選ぶことができる仕組み。60~64歳を選ぶと毎月の受給額は減額、66~70歳は増額される。

 政府は、働いて保険料を払う「支え手側」に元気なシニアを移行させたい考え。受給開始を遅らせた場合の増額対象を70歳超にも広げることで、長く働きたい高齢者に選択肢を増やす方向で検討している。