高収入の男性ほど「地雷」に要注意?! 家庭内トラブルを抑える話し方
【藤田尚弓の最強の話し方】 気持ちがうまく伝わらない。悪気はないのに相手を不快にしてしまった。皆さんも、そんな経験はありませんか? この連載ではコミュニケーション研究家でアップウェブ代表取締役の藤田尚弓が、ビジネスマンの「最強の話し方」をご紹介していきます。
第13回は、「家庭内トラブルを抑止する話し方」がテーマ。
妻の離婚意識に関する調査によると「夫の仕事を原因とする離婚意識」で最もリスクが高いのは、夫の年収が1500万円以上の層なんだそうです(リスクモンスター株式会社調べ)。
夫の年収が高いのになぜ離婚したくなるのか?と不思議に思うかもしれませんね。そこには、たとえ年収が高くても仕事を理由に家庭を顧みなくなった夫への妻の不満が見え隠れします。活躍するビジネスマンこそ、家庭での話し方を見直したほうがよいかも知れません。
◆「仕事」が理由の家庭内トラブル…あなたも該当しませんか?
急に仕事が入り、家族と食事に行く約束を守れなくなった。連日残業や付き合いで家のことを手伝えない。仕事が忙しく、なかなか休みがとれない。
このようなシーンで妻が不満をぶつけてきたとしたら、あなたはどのように考えるでしょうか。
(1)仕事なのだから怒るのはおかしいと思う。
(2)自分も大変なことをわかってもらえないことにいらだつ。
(3)家族のために働いているので責められるのはおかしいと思う。
これらのどれか1つでもあてはまった人は注意が必要です。話し方に気をつけないと、家庭内トラブルを引き起こしてしまう可能性があります。
◆「仕事なんだから仕方ないだろ」に妻がキレる3大理由
(1)原因帰属の違い
期待した行動をしてもらえない場合でも、私たちは「どうしようもない理由があった」と認識すると寛容な態度をとります。
ただ、男性にとって仕事は「どうしようもない理由」かも知れませんが、女性にとっては自己都合で仕事を優先したように見えてしまうこともあります。
期待する行動をとってもらえない理由が自己都合である場合、私たちは相手に対して批判的な態度をとりがちです。
「仕事なのだから怒るのはおかしい」と思っているとき、原因の捉え方が違う妻は「開き直るのはおかしい」と感じるのです。
(2)家事や育児に対する潜在的な不満
日本の男性が家事や家族ケアにあてる時間は、1週間でたったの46分。これはアメリカ、ドイツ、イギリスの半分以下の時間です(出典:ニューズウィーク日本版2016)。
家事や家族ケアにあてる時間を圧迫する原因の一つである「仕事」を理由にされると、妻は潜在的な不満を喚起しやすくなります。
「俺だって大変なのに」と思うかも知れませんが、そんなときは妻も家庭内労働が大変だと感じているのです。
(3)言外のメッセージ
言葉には、言外のメッセージやニュアンスを伝える力があります。
「仕事なんだから仕方ないだろう」というフレーズには「期待を裏切ることの正当化」「理解しないことへのいらだち」「責めるような態度への批判」といったニュアンスが含まれています。そんなつもりはなくとも、言われた妻はこの部分に過敏に反応し、言い返したくなるのです。
このような「地雷」は日常に使いがちなフレーズの中にも潜んでいます。具体例と対策を見てトラブル回避の勘所をつかんでおきましょう。
◆「地雷」発動メッセージと回避フレーズを学ぶ
・具体例その1…「○○でいいよ」
解説しましょう。妻に「今日の食事はなんにしよう?」と問いかけられた際のNG例です。「○○でいいよ」という言い回しをすると、それほどよくないけれど妥協して○○というメッセージが伝わってしまいます。作るのに手間がかかるものに対して「○○でいいよ」と言われると、提供する側は大変さを軽んじられている気がして気分を害しやすいのです。
地雷回避フレーズは…「例えば、○○なんかいいね」
「○○がいいな」という言い方もよいのですが、忙しいビジネスマンは家庭の様子に疎いものです。妻はすでに作るものの選択肢を頭の中に浮かべているかも知れません。的外れなリクエストを伝えてしまった場合でも「例えば」をつけることで妻の意向を尊重できます。
・具体例その2…「○○だったんだよ」
解説しましょう。妻から「なんで毎日飲んで帰るのよ!」といった攻撃をされたときのNG返答です。なんでというフレーズを使われると、脳はつい理由を探してしまうものです。しかし批判の意味をこめて使っている「なんで」に理由を返すと言い訳と解釈され、対立コミュニケーションは解決しません。
地雷回避フレーズは…「心配かけて悪かった」
妻が「なんで~なの!」というフレーズを使ってきたときにあなたが「正論」を返すのは危険です。正当な理由がある場合でも、心配をかけたことだけは謝ってしまったほうが得策です。それで攻撃的なコミュニケーションを緩和することができます。
妻が感情的になっているときには、“共感ワード”を多用するのがコツです。
「心配するのもあたりまえだよな」「不安になるよな」といった気持ちに寄り添う言葉を、妻に聞こえないくらいの声で独り言のようにつぶやきましょう。理由説明はなるべく後にするのが正解です。
◆時間帯で注意したいのは「夜」
眠いけれど、いつもの時間に起きて家を出る。嫌な仕事にも取りかかるなど、私たちは一日中なんらかの自己コントロールを行っています。
自己制御に必要なエネルギーは有限ですので、使い過ぎると一時的に枯渇して思わぬ言動に繋がってしまうこともあります。
妻とのトラブルで気をつけたい時間帯は夜です。お互いに制御エネルギーが減ってきているということを考え、不毛な言い争いは避けるようにしてください。
ビジネスに集中し、家庭内でくつろぐためにも話し方に少しだけ気を配る。ほんの少しの努力を積み重ねることが家庭内トラブルを防ぐ最強の話し方なのです。
藤田尚弓(ふじた なおみ)
早稲田大学オープンカレッジ講師 株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。
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【藤田尚弓の最強の話し方】はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんがビジネスシーンで活用できる会話術を紹介する連載コラムです。更新は月初木曜日。
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