定額制ブームがグルメにも コーヒー月3000円、ラーメンは8600円
電子書籍の読み放題や音楽の聞き放題などさまざまな分野で定額制サービスが展開されるなか、コーヒースタンドやラーメン店など飲食業界にも定額制が広がりを見せている。消費者にはお得感がある一方、店側は常連客の獲得につながると期待しているようだ。(油原聡子)
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定額制カフェの先駆けとして知られるのが、平成28年に東京・西新宿にオープンしたコーヒースタンド「コーヒーマフィア」だ。月額3千円(税込み)の会員になれば、「1回の来店につき1杯のコーヒー」が何度でも楽しめる。
西新宿店近くのオフィスビルに勤める会社員の男性(32)は4月から月額サービスの会員になった。1日に3~4回は利用するといい、「以前は自販機で毎日数百円使っていました。今は、月3千円でおいしいコーヒーが飲めるので便利です」と満足げだ。
もちろん、企業側にもメリットがある。同店を運営する「ファビー」の広報、加納美優子さんは「ランチや夜間のバルに来店いただくきっかけになります」。スマートフォンのアプリが会員証なので、来店頻度のデータなどが蓄積される。「スタッフとお客さまが顔を合わせる機会が増えるため、新商品がお勧めしやすくなります」と加納さん。
常連客に還元
定額制の波は、ラーメン店にも押し寄せている。
首都圏に16店舗を展開する「野郎ラーメン」は昨年11月から、月額8600円(税抜き)で1日1杯ラーメンを食べることができるサービス「1日1杯野郎ラーメン生活」を始めた。対象のラーメンは「豚骨野郎」など3種類。月に12杯ほど食べれば、元が取れる計算だという。
運営する「フードリヴァンプ」(世田谷区)の広報、黒木勝巳さんは「食べ盛りの常連の方に、サービスとして還元したいと始めました」と話す。ラーメンを頻繁に食べるのはハードルが高そうだが、「毎日食べても飽きないように、味付けを変えることができます」と黒木さん。卓上にはカレー粉やお酢など、無料の調味料がそろう。サービスを開始した昨年11月には、1カ月毎日来店した人が7人いたという。
利用頻度工夫を
毎日のランチに便利そうなのが、北九州市のダイニングバー「ナカガワスポイル」。月額540円(税込み)で、麺料理やご飯などが盛られたワンプレートランチが食べられる。みそ汁など有料のメニューもあり、月額会員費や有料メニュー代は翌月末にクレジットカードで決済される。
今後、定額制グルメは飲食業界に定着するのだろうか。実名型口コミグルメサイト「レッティ」の草深由有子・レッティグルメニュース編集長は「定額制グルメは、話題になりやすいネタの一つとして飲食業界で注目されているのではないか」と指摘。「消費者にとっては、どこまでお得なのかが重要。同じエリアのお店が組んだり、フードコートで取り入れたりと、消費者の利用頻度が上がるような工夫があれば広まっていくのではないか」と話している。
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男性会社員の昼食代は平均570円
男性会社員の1日の昼食代の平均が570円であることが新生銀行の調査で分かった。調査は今年4月にインターネットで実施。20代から50代の会社員やパート・アルバイトの男女約2700人が回答した。
それによると、男性会社員は昨年より20円少ない570円だったが、女性会社員は昨年より5円多い586円だった。
勤務日に昼食を含むお昼休憩にかける時間を尋ねると、男性会社員は平均30.2分。そのうち、昼食時間は平均21.6分だった。男性会社員の昼休憩の過ごし方(複数回答)で最も多いのが「インターネットの閲覧」で51.5%、次いで「昼寝や休息」が33.4%だった。
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