就活ルール当面維持 企業に順守義務なく形骸化も
29日の就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議で、現行の就活日程が当面維持されることが正式に決まった。現場の混乱は一時的に回避された格好だが、今回のルールはあくまでも政府からの要請であり、企業側にルールの順守義務や違反した場合の罰則はなく、日程前倒しのハードルは下がったともいえる。既に通年採用を導入する企業も少なくなく、ルールの形骸化がさらに進む可能性がある。
政府は29日、新たな就職・採用活動ルールの策定に向けた関係省庁連絡会議を開き、採用活動解禁などの日程について、学生らの不安に配慮し、現在の大学2年生が対象となる2021年春入社の学生は現行日程を維持することを正式決定した。22年春入社組以降も、当面は現行日程を維持する方針を確認した。中長期のルールの在り方は未来投資会議で議論を続ける。
新たな就活ルールでは、現行日程を当面維持することのほか、政府からの要請が企業側に周知されているか経団連などを通じて調査することや、学生らへのアンケートで実態把握を行うことも決めた。政府側からにらみを利かせ、新ルールの順守を促す狙いだ。
ただ、新興企業を中心に通年採用の導入は進んでいる。ファーストリテイリングは、傘下のカジュアル衣料品店ユニクロで、2011年から通年採用を開始。学年や新卒・中途、国籍を問わずにオープンに募集し、一定の選考を通過した人には「ユニクロパスポート」が発行され、3年以内にいつでも最終面接を受けることができる。大学1、2年生で内定を得て、長期留学をしてから入社することも可能だ。
楽天は、海外の技術系の学生を対象に3年前から通年採用に踏み切った。インドや中国を中心とした海外出身者が新卒採用技術者の8割に達している。フリーマーケットアプリ国内最大手のメルカリも、学生からの応募を受け付ける「採用サイト」を通年で開き、入社式を年2回実施した。
就活ルールが就活早期化への一定の歯止めにはなっているものの、グローバル人材の獲得競争は激しくなるばかりで、ルールの形骸化は避けられない状況。経団連の久保田政一事務総長は、29日の会議後、記者団に「政府が関係者を集めて、いろんな意見を聞いた上でのルールだから重みは違う」と述べ、企業側はルール順守の方向に向かうとの見方を強調したが、採用活動は個別の企業が自己責任で行うものでもあり、新ルールの実効性は不透明だ。(桑原雄尚)
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