家計簿、スマホでも手書きでも 自分にあったスタイルで賢く

 
ロングセラーの「袋分けカンタン家計ノート2019」。項目ごとに予算を振り分ける袋が付いている

 外出先でも手軽に記録でき、銀行口座などとの連携もできるスマートフォンの家計簿アプリで家計管理する人が増えている。一方で、昔ながらの手書きの家計簿も一覧性に優れて使いやすく、根強い人気。平成31年用も書店に並び始めた。来年10月には消費税が10%に引き上げられるだけに、お金の出入りをしっかり把握し、賢く備えたい。(櫛田寿宏)

 入力の手間なし

 「以前は節約というと現金支出を減らすことばかり考え、生活の楽しさを見失うことがあった。でも、スマホの家計簿を使い始めてからは、予算を決めて旅行や趣味を楽しむことができている」

 東京都中央区に住む男性会社員(31)は5年ほど前からスマホの家計簿アプリを利用するようになった。入力の手間がかからない点が気に入っているという。

 ITを活用した金融サービス関連企業のマネーフォワード(東京都港区)が提供するアプリ「マネーフォワード」は、24年にサービスを開始。利用者は今月、700万人を突破した。同アプリは2650以上の銀行やクレジットカード会社などと連携。カードを利用すると履歴を自動的に取り込むことができる。

 「食費」「娯楽費」など、カテゴリーごとの自動振り分けや、レシートをカメラで撮影するだけで入力できる機能もある。食費などは過去の平均支出と比較して、無駄遣いを防ぐ有料のサービスもある。同社広報部の稲増祐希さんは「利用者にアンケートを行ったところ、アプリを使うことで月に平均2万円ほどの収支改善があったとの回答がありました」と話す。

 袋で予算管理

 紙の家計簿は自分なりのルールで記入することができ、ITが苦手な人にとっても使い勝手がいい。

 主婦と生活社(中央区)の「袋分けカンタン家計ノート」は、16年から続く人気の家計簿だ。1カ月の収支を4ページにまとめるシンプルな構成。さらに現金を入れておく紙袋が付いている。「食費」「教育費」などの袋にお金を入れておき、その範囲で使えば、無理なく予算を守れる。

 利用者のアンケートをもとに、毎年少しずつ改良を重ねてきた。同社の猪俣志保副編集長は「続ける満足感があることで、10年以上使っている人も少なくありません。単に記録するだけでなく、どうお金を使ったか、振り返ることができるように工夫しています」と説明する。

 消費税アップ前に

 家計簿に詳しい岐阜大の大藪千穂教授(家計分析)は「アプリは収支を自動的にグラフにするなど親切な機能が魅力的。スマホは持ち歩いていつでも操作できる。一方、紙の家計簿は収支が一覧できるので全体像が把握しやすい」とそれぞれの利点を説明する。

 消費税率の引き上げまであと1年足らず。過去の引き上げ前には、高額なものを買ったり、まとめ買いをしたりする「駆け込み需要」が発生している。大藪教授は「本当に買う必要があるのか、冷静に判断するのは容易ではない。しかし家計簿をつけて中長期的な視点を持てば、後悔することは減らせるのではないか」と話している。

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 ■記入ナンバーワンは徳島県民

 徳島県民はよく家計簿をつけていて家計管理も得意-。各都道府県のお金の生活習慣を調べるためソニー生命が行ったアンケートで、家計簿をつけているかを聞いたところ、徳島県民がトップで、自分は家計管理が得意と感じている人も最多だった。

 調査は昨年11月に実施、全国の20~59歳の男女4700人(各都道府県100人)から回答を得た。それによると、家計簿をつけているとしたのは、徳島が38%で1位。北海道、岐阜、岡山が36%で並んで2位だった。

 自分を倹約家だと感じている人の割合は大阪が68%でトップ。2位は64%の東京、3位は63%の愛知と鳥取で、都会が目立った。逆に浪費家と認識しているのは1位が44%の沖縄、2位は38%の岩手、石川で、こちらは地方が上位を占めた。お金に対しては、おおらかな地方、シビアな都会という傾向があるようだ。