人を辞めさせずに成長させる 「マック&ユニクロ」の現場で培った人財育成
【マック&ユニクロ流人財育成】初めまして、有本均と申します。今回から始まるこの新連載では私の経験談を基に、「人材」育成について私が考えることを読者の皆さまにお伝えしていきたいと思います。
私は大学1年の時にマクドナルドでアルバイトを始めました。
当時のマクドナルドは店舗数が50~60店舗ほどで、全店の売上高合計が100億円を突破した頃でした。
◆ダメ店長だった駆け出し時代
元々は高時給の家庭教師のアルバイトを探していましたが見つからず、それまでのつなぎとして働き始めたため、家庭教師のアルバイトが見つかったら辞めるつもりでした。
そんな私がマクドナルドを続けたのは、アルバイトを始めて2カ月後に店長から呼び出され、時給アップの話が出たことがきっかけです。
ぶっきらぼうで人を褒めることが得意ではない店長が自分の事を評価してくれている…些細な事かもしれませんが私にとっては嬉しい出来事であり、この出来事があったからこそ今の私がいるのだと思います。
アルバイト時代を経て、1979年に日本マクドナルド株式会社へ入社。そして入社2年後には年商2億、80人のアルバイトを管理する自由が丘店の店長になりました。
アルバイト時代から憧れだった店長という役職に就き気合いは十分にあったものの、その時の私は本当にダメ店長でした。理想と現実のギャップにイライラし、すぐに怒ったり、アルバイトの女の子を泣かせたり…人がだんだん辞めていきましたが、原因が自分自身だということに、当時は全く気付いていませんでした。
◆ハンバーガー大学での経験が転機に
それに気付かされたのは、「ハンバーガー大学」で研修を受けた時です。
「アルバイトに感謝していますか?」「褒めていますか?」という質問が講師からあり、私はハッとしました。アルバイトに感謝していない、褒めてもいない。
私自身は『評価をされたことが嬉しくて、アルバイトを続けていたのに…』と、過去の体験やこの研修内容が自分を変える出来事となり、同時に人財育成と評価がどれだけ重要かということを認識できた時でもありました。
店長時代を過ごした後、スーパーバイザー・統括マネージャー・営業本部と現場を渡り歩きました。
その後、マクドナルドはサテライト戦略を打ち出し、年間300店舗の出店計画がありました。そのためにはスウィングマネージャーと呼ばれる、店長業務の一部を代行できるアルバイトリーダーを早期育成することが急務であり、研修の仕組みづくりを行うために、1998年にハンバーガー大学の学長に就任しました。
その後、ユニクロを展開するファーストリテイリングに転職。「ユニクロ大学」部長に就任し、マック時代の経験を基に研修カリキュラムの制定やマニュアルのDVD・ハンドブックの作成等に携わりました。
◆サービス業の未来を考え、社会を明るくしたい
ファーストリテイリングの退職後もサービス業に従事し続け、今後も現場主義を貫き通していくつもりでした。そんな中、2011年の東日本大震災による景気状況の悪化で、サービス業全体の活気が一気になくなってしまいました。
私は長年の現場経験とマクドナルド・ユニクロで教育の仕組みづくりに携わった経験を活かして「業界全体の活気を取り戻し、サービス業の発展に貢献したい。そしてサービス業の未来を変え、社会全体を明るくしたい」と考えるようになりました。
その想いからBCホールディングス株式会社代表の笠井大祐と共に、2012年4月に株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンを設立。
サービス業に特化した定額制研修サービス「グローイング・アカデミー」を中心に、人事評価制度・企業内大学の構築、従業員満足度調査、新卒研修等、サービス業界の発展に繋がるサービスを展開しています。
弊社のお客様の課題は人不足に関するものがほとんどです。
昨今、少子高齢化による労働人口の低下に伴い、有効求人倍率が高水準を記録し続け、人が採れない時代が訪れています。
◆「人不足」を解消し企業を成長させる
人不足を解消するために、多くの企業が、まずは採用することを重要視すると思いますが、私は『今いるスタッフを辞めさせずに育てる事が最も重要だ』と考えています。
スタッフを辞めさせずに育て、成長させることで、店舗のサービスが向上し、最終的には売上・利益の拡大に繋げることができます。
そのために欠かせないのが「教育」「評価」「労働環境」です。
私が経験してきたマクドナルド、ユニクロの2社に共通して言えるのは、人財育成を重要視しているということ。そして決めたことを徹底して継続するということです。これは大企業だからできるという事ではありません。
どのような業態や企業規模でも、「教育」「評価」「労働環境」を徹底することで既存のスタッフを成長させ、売上・利益に貢献できる人財に育てることができます。
今回の連載では「マック&ユニクロ流人財育成」と題しています。
私の過去の経験に基づき人財育成についてのノウハウをお伝えすると共に、読者の皆様が「人財」について考えるきっかけになればと考えています。
【プロフィール】有本均(ありもと・ひとし)
1956年、愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部入学後、大学1年からマクドナルドでアルバイトを始め、1979年、日本マクドナルド株式会社に入社。店長、スーパーバイザー、統括マネージャーを歴任後、マクドナルドの教育責任者である「ハンバーガー大学」の学長に就任。2003年、株式会社ファーストリテイリングの柳井社長(当時)に招かれ、ユニクロの教育責任者である「ユニクロ大学」の部長に就任。その後、株式会社バーガーキング・ジャパンの代表取締役など、外食・サービス業の代表、役員を歴任する。2012年、ホスピタリティ&グローイング・ジャパンを設立。マクドナルド、ユニクロ等を経験して得た「人財育成のノウハウ」を活かし、世界中のサービス業の発展を目指す。著書に「どんな人でも一流に育つしくみ」。
【マック&ユニクロ流人財育成】は有本均さんが人を上手に育て会社を成長させる人材育成のノウハウを伝える連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。
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