【ゆうゆうLife】外国人への社会保障 原則は同じ扱い 公平な制度設計が課題

 
働く外国人への合理的で適正な医療や年金の仕組みが課題だ

 外国人労働者の受け入れを拡大する「改正出入国管理法」が今月、成立したのを機に、日本の社会保障が見直しを迫られている。社会保障は「日本人も外国人も同じ扱い」が原則だが、海外に住む親族もカバーする医療や、長期加入が前提の年金をどうするのか。公平で合理的な設計が求められる。(佐藤好美)

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 日本で雇われて働く外国人は、働く時間や事業所の規模で加入する健康保険や年金制度が決まる。それは日本人と同じ扱いで、国籍による利用制限などはない。社会保障制度に詳しい中央大学の新田秀樹教授は、「日本は難民条約を批准しており、社会保障の扱いは内外無差別(日本人も外国人も同じ)が原則」と指摘する。

健康保険

 企業に勤めてその会社の健康保険に加入すると、収入に応じた保険料を納める。日本人も外国人も、収入が同じなら同じ保険料。受けるサービスも同じだ。その人に扶養される妻や子供、親など(被扶養親族)も、申請次第で健康保険が適用になる。国籍や居住地の規定はないので海外在住の親族も対象だ。

 課題になっているのは、「外国人の親族が病気治療で来日し、高額医療を利用して帰る」などのケース。また、海外での病気やけがには、申請すれば、治療費にあたる「海外療養費」が払い戻される。ただ、その人が本当に扶養されている親族かどうか確認は難しい。改正入管法の成立で改めて運用が疑問視されている。

 政府は「国籍」ではなく、「居住地」の要件を設け、海外在住の親族を被扶養の対象から外す方針だ。

 ただ、内外無差別の原則通りなら、語学留学中の日本人の子弟や、海外赴任に同行する家族も対象から外れることになる。自民党のワーキンググループは、「一定の例外を設ける」よう求めている。公平で合理的な制度設計ができるか、注目される。

年金制度

 年金を受給するには10年の加入期間が必要で、日本人も外国人も同じだ。だが、改正入管法の在留資格は5年が一区切り。5年で帰る外国人は、いわば“払い損”になってしまう。東京都内のある社会保険労務士は、「外国人が厚生年金に入っても、10年未満で帰れば老後の年金は受けられない。分かっていながら保険料を取るのはフェアでない」と言う。

 外国人は帰国する場合、年金権を放棄し、加入期間を精算する「脱退一時金」を受け取れる。だが、この社会保険労務士は、払い込んだ金額より低い一時金に、「安すぎる手切れ金。利子が付くぐらいに増やす必要があるのでは」とする。

 脱退一時金と似た仕組みに、かつて「脱退手当金」があった。結婚退社する女性が受け取るケースが多かったが、その後、専業主婦のための「第3号被保険者制度」ができて加入期間が延び、脱退手当金を受け取ったことを後悔する人が多い。いったん精算したことで、年金額が減ってしまうためだ。

 政府は、二国間で年金記録などを通算する「社会保障協定」を整備中。20カ国程度と結んでいる。今は受給のめどがなくても、いずれ自国の記録と通算できるかもしれない。「加入10年」を短縮せず、どう年金権につなげるか問われる。

 12月上旬、根本匠厚生労働相は会見で「外国人材自身の年金権を確保するという視点を考えることも必要」と述べ、次の年金制度の改正で検討する方針を示した。

国民年金・国保

 小規模の農林水産業などで働く人は、国民年金や国民健康保険(国保)に加入するが、日本人で国民年金保険料を納めていない人がいるのと同様に、外国人にも加入漏れがありそうだ。

 加入漏れにはトラブルがつきもの。無年金だと、病気やけがで障害を負っても障害年金が支給されない。国保に未加入だと、受診を我慢したり、医療費が未払いになったり、他人の保険証を使う「なりすまし」なども起きかねない。社会保障制度が整っていない国から来日している外国人もおり、加入の意味を含めて、今以上に十分な情報提供が必要だ。