親子で「朝活」 早起きでゆとり、向き合う時間も

 
強い光で起こしてくれる「inti4」

 仕事や学校が始まる前の時間を有効に使って勉強や趣味に取り組む「朝活」。アップル社を起こしたスティーブ・ジョブズ氏ら成功した経営者が朝の時間を大切に使っていることで、ビジネスの側面から語られることが多かった。近年は朝活に親子で一緒に取り組み、コミュニケーションの時間を増やすなどの試みが広がっている。(櫛田寿宏)

会話の時間増えた

 「自分の気持ちに余裕ができるので、子供と向き合う時間がしっかり持てています」

 1年ほど前に親子での朝活を始めた関東地方に住む40代の女性ブロガー、そりたさんは、小学校5年生の長男と午前6時から1時間、一緒に塾の宿題などに取り組む。そりたさんは午前3時半に起床、長男を起こす前にブログの執筆や洗濯、食事の準備をこなす。夕食は朝に作っておいたものを温めて出し、会話の時間を多くするよう心がけている。夜は9時に就寝するが、眠る前に一緒に読書を楽しむことも。

 朝活のコツは休日でも早起きの習慣を守ること。そりたさんは「用があるときは臨機応変にスケジュールを変えているので、不自由は感じません」と話す。

二人三脚で受験

 千葉県船橋市の税理士、山本憲明さんは昨年、大学1年の長男の受験に際し、毎朝1時間一緒に机に向かった。山本さんは長男が解いた問題集の採点をしたり、勉強の計画を立てたりした。高校2年の次男とも、夕食後などに会話の時間を積極的に持つようにしている。

 山本さん自身、会社勤めをしながら早朝に勉強し、税理士だけでなく気象予報士、中小企業診断士の資格を取得した。税理士事務所の代表を務める今も午前6時には起床し、家を出る前に文章を書いたりノートを整理したりする時間に充てている。「早起きのコツは、目を覚ましたらふとんのなかでグズグズしないこと。すぐに顔を洗ってトイレを済ませると気分もすっきりします」と語る。

 本郷赤門前クリニックの吉田たかよし院長は「早起きを続けると誠実に努力する行動パターンが身に付き、人生を充実させることにつながる」と強調する。朝型の生活にするには、まず早い時間に床につくこと。部屋は暗くし、眠れなくても目を閉じる。吉田院長は「子供なら3日ほどで朝型にリセットできます」と話す。リセットの期間中は昼寝をしないのがコツだという。

前夜の準備が大切

 朝活を成功させるためのツールも注目されている。ムーンムーン(熊本市中央区)の「inti4」は、強い光で目覚めを促す目覚まし時計。光に当たると脳内で覚醒に必要なセロトニンが活性化することに着目した。

 ロフトで販売している中高生向けの「学生to手帳」は、学校に行く前の朝の時間と放課後の時間帯を広く取った。特に朝は6時から予定を書き込めるので、朝活を始めるなら強い味方になってくれそう。

 「『朝4時起き』で、すべてがうまく回りだす!」の著者の池田千恵さんが製作した「朝活手帳」は午前4時から9時までのスケジュール管理をする手帳。前夜のうちにしておくべきことをメモする欄がある。池田さんは「前夜の準備が翌朝の質を左右します」と話している。

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 ■8割が「睡眠不足感じる」

 朝目覚めたとき8割の人は睡眠不足を感じている-。アサヒグループ食品(東京都墨田区)が働く大人を対象に行ったアンケートで、86.9%の人が睡眠不足と感じていた。ただ、より良い睡眠のために対策を講じているかを尋ねたところ、74.3%は「していない」と回答、問題解決は先送りになっている実態が浮き彫りになった。

 調査は昨年8月上旬、20~50代の有職者男女800人を対象にインターネットを通じて実施した。それによると、自分の睡眠に満足している人は16.3%。年代ごとにみると、20代は20.5%で最も高いのに対し、30代は13.5%で最も低く、この年代は仕事やプライベートに忙しくなることをうかがわせた。快眠のために使いたいアイテムでは、快眠枕(25.5%)、睡眠サプリ(16.5%)、マットレス(16.0%)の順だった。