社員に運動習慣を 社員証で運動量チェック 歩いた結果が寄付に

 
研究所での勤務中に階段を上るサントリーウエルネスの船木亜由太さん=京都府精華町

 企業が社員の健康管理に積極的に取り組むことで、生産性の向上や医療費の削減につなげる「健康経営」が注目される中で、社員に運動習慣を身に付けてもらう工夫が広がっている。歩いた歩数に応じて環境団体などに寄付するイベントで社会貢献に結び付けたり、運動量を測定する活動量計と社員証を一体化して意識を高めたり、取り組みはさまざまだ。

 ◆7万歩を達成

 サントリーグループは昨年10月の1カ月間、世界のグループ企業の社員が歩数を競うイベント「ワン サントリー ウオーク」を開いた。31カ国・地域の7千人超が参加。その中で、1日平均約7万5千歩を達成し世界1位になったのは、京都府精華町の研究所に勤めるサントリーウエルネスの船木亜由太さん(27)だ。

 このイベントは、歩いた結果が各自の応援したい団体への寄付につながるのが特徴。会社は総額20万ドル(約2260万円)の寄付金を用意し、参加者は自然環境や飲み水などに関わる日本、米国、スイスの3つの団体から1つを選ぶ。それぞれの団体を選んだ参加者の歩数を合計し、多い順に寄付金を分配する。

 ◆勤務時間中も計測

 船木さんが選んだのは米国の「チャリティー・ウオーター」という団体。「自分が頑張って団体に貢献しようと、やる気が出る」。勤務時間中はエレベーターを使わず階段を上り下りし、仕事の後はまっすぐジムに向かう。夕食後は自宅近くをウオーキング。休日はほぼ終日運動した。

 歩数はスマートフォンのアプリで計測し、筋トレなど他の運動は10分を千歩と換算。データは毎日、社内のシステムに入力される。人事担当者は「健康増進と同時に社会的な価値を生み出すのが狙い」と話す。

 ◆入退室やコピーで

 健康機器メーカーのタニタ(東京)は今年1月から、歩数や消費カロリーを測る活動量計と社員証を一体化した。以前から全社員に活動量計を配布していたが、確実に身に着けてもらおうとの狙いだ。社内での入退室やコピー機を使うときの認証に必要なので、一日に何度も見ることになる。本社の各フロアには社員のランキングを表示する。「自然に意識が高まり歩数は増加傾向」と担当者。

 このほか体組成計を社内に設置し、定期的に体脂肪率などを測定するルールを導入。測定していない社員には注意喚起のメールが届く。こうした仕組みをパッケージにして、他の企業や自治体にも販売している。