【デキる男は住まいから】共働き世帯の理想の暮らし 家族を幸せにするトヨタ式「家事シェア」
こんにちは、香村薫と申します。片づけの講師として愛知県を中心に全国で活動しています。この連載では私がトヨタグループで学んだ仕事のメソッドをもとに、家族全員が“片づけ・家事がしやすい生活”を実現する方法をご提案します。
厚生労働省の調査によると、共働き世帯数は専業主婦世帯の2倍に上ります。でも、まだまだ女性が家事を担っている家庭が多いのが現状。それに対して「家族みんなで家事の方法を共有し、それぞれができることをする」のが“家事シェア”です。
人を責めるな、しくみを責めよ
「家族がモノを出しっぱなし」「夫に頼むぐらいなら自分でやった方がはやい」-。
家事シェアを提唱していると、そんな声をよく耳にします。私が職場でよく言われたのが「人を責めるな、しくみを責めよ」です。うまくいかない家事はしくみが合っていないだけなのです。
例えばタオルの使い方。
《新しいタオルを左から入れて、使うタオルを右から取る》
このように「先入れ先出し」で使うことを家族が認識できるようにすれば、全てのタオルの劣化速度を合わせることができますね。「こちらからとってね」と子供にもわかるようラベリングするのがポイントです。
また、洗濯機のスイッチをオンするタイミングも、しくみ化しています。
我が家では一日に2回洗濯を行うのですが、《夜、最後にお風呂に入る人》《朝、最後に家を出る人》がスイッチをオンする、とルール決めしています。これで、家族全員が洗濯機の操作を覚えました。
一秒をバカにしない
工場でよく言われていた言葉に「一秒をバカにしない」というのがあります。仕事では時間はとても貴重なのに、家に帰ると一秒どころか数時間何をしていたか思い出せないということはありませんか?リラックスする時間を1秒でも多く確保するためには、家事という仕事を時短する意識が必要です。
そこで、筆者が目を付けたのが「後始末的な家事」です。「食器を洗う」「油汚れを取る」といった後片付けは面倒そのもの。時短するために色々試しました。そんな中でぜひオススメしたいのが電子レンジ調理です。
筆者は「リードプチ圧力調理バッグ」を愛用しています。食材と調味料をこのバッグに入れて冷凍室に保存。使いたいときに電子レンジで加熱するだけという手軽さです。これにより、お鍋やオタマなどの洗い物、キッチンへの油の飛び散りなどもありません。家族の誰もが調理できるのも嬉しいポイントです。
言葉選びが大切
家事シェアをするにあたり、家族の協力は必要不可欠です。家事をパートナーに押し付けるのではなく、家族が自主的に動けるような言葉やしかけが必要になるのです。子どもの保育園へのお迎えなど複雑な流れを共有する場合は、イラストを使うとスムーズ。やるべきことを「見える化」するのが狙いです。
また、協力し合うときの第一声は「何かいいアイデアない?」と声がけするのがオススメです。
頼りにされて悪い気はしないもの。お互い意見を出し合ったアイデアであれば、ベクトルが同じ方向に向くのでもめることが少なくなります。家族のコミュニケーションが自然に増えるのも家事シェアの特徴ですね。
家事を分担することだけであまり楽しいイメージが無い「家事シェア」ですが、そこにトヨタ式を導入することによって、家事の使命感や達成感、家族への感謝や尊重など仕事で味わえるような喜びや、やりがいを家庭でも感じることができます。
私は、このトヨタ式家事シェアこそが現代の共働き世代のための理想の暮らしになると考えています。参考になりましたら幸いです。
【プロフィル】香村薫(こうむら・かおる)
ライフオーガナイザー
大学卒業後、トヨタグループ会社に入社。そこで学んだトヨタメソッドを家事に応用した「トヨタ式おうち片づけ」を提案。片づけサポート業務「ミニマライフ.com」を起業。全国での講演活動、個人宅での片づけサポートを行う。著書に「トヨタ式おうち片づけ」「トヨタ式超ラク家事」(ともに実務教育出版)「トヨタ式家事シェア」(主婦の友社)がある。NHKをはじめTVや新聞・雑誌などメディア出演多数。
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【デキる男は住まいから】はライフオーガナイザーでミニマライフ.com代表の香村薫さんが、トヨタ自動車のグループ会社で学んだメソッドを家事に応用し、ビジネスパーソンが今すぐ実践できる「家事シェア」のノウハウなどを伝授するコラムです。更新は原則隔週月曜日。
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