【お金で損する人・得する人】2019年こそ家計管理革命 家庭を企業ととらえ「三種の神器」を持つ

 
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 ファイナンシャルプランナー(FP)の平野泰嗣(ひらの・やすし)です。私は、出会った人の「その人らしい幸せな人生」の実現をサポートし、世の中に「幸せの輪」を広げることをミッションに活動しています。

 本連載では、私たちが生活者として知っておくと得をする、あるいは知らないと損する社会制度や金融情報について、できるだけ具体的な家計に落とし込んで、お伝えしていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

「革命」を行えるかどうかに差が出る

 2019年5月から新元号となり、新しい時代が始まります。また、10月からは消費税が10%に引き上げられるなど、私たち生活者を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。「人生100年時代」というフレーズをよく耳にするようになりましたが、「人生100年」と聞いて、長生きを喜ぶよりも、先行きに不安を覚える人の方が多いのではないかと思います。

 その長い人生において、お金で損する人と得する人の差は「家計管理」の考え方の違いにあるのではないでしょうか。

 「家計管理」と聞いて、皆さんは、最初に何を思い浮かべますか?

 一般的な家計管理のイメージは、家計簿をつけて、支出管理(節約)しながら、貯金を増やしていくことでしょう。つまり、家計をやりくりするという意識です。

 けれども、支出管理(節約)を中心とした家計管理では、長い人生、息切れしてしまいます。また、ある程度、収入が上がってくると、家計は黒字になり、貯金ができるようになると、家計管理(ここでは、家計簿づけ)に対する意識も弱まります。とはいえ、今は黒字でも、将来の教育費や老後の生活費が不足する事態に陥ってしまうかもしれません。

 人生100年時代に対応するためには、家計管理に対する意識改革を行う必要があります。本当の家計管理とは、自分と家族が望む人生を送るために家計を管理することです。

 つまり、家計管理の第一歩として、自分と家族が望む人生=ライフプラン(人生の計画)があり、ライフプランを実現するために、収支を管理(家計簿づけ)したり、資産状況を把握したりするのです。

家庭を企業に置き換えてみる

 このコラムの読者は、ビジネスパーソンが多いと思うので、家計管理に企業の財務管理の視点を取り入れて考えてみます。

 企業活動は、経営理念に沿って、経営目標を達成するために事業計画を立案し、事業計画の達成状況を決算書で確認します。1年間の営業成績は損益計算書(P/L)で、決算期時点の財務の健康状態は貸借対照表(B/S)でチェックします。

 これを家計に置き換えると、経営理念は、どんな人生を送りたいかというライフデザインに置き換えることができます。そして、事業計画に該当するのが、ライフデザインに沿った、ライフプラン(出産・教育・住宅購入・旅行などの人生のイベントを時系列で表したもの)とマネープラン(収入と支出、資産状況の予測を時系列で表したもの)です。

 ライフプランとマネープランを作成し、その達成状況を家計簿でチェックしたり、住宅ローンや金融資産などの資産状況を確認したりしながら、最終的に自分と家族が望む人生を送れるようにすることが家計管理なのです。

三種の神器を持つ

 ライプランや家計簿と聞くと、なんとなく面倒だとか、ライフプランのイメージは頭の中にあるし、家計の状況も大体把握しているという人もいるでしょう。でも、企業に置き換えてみるとどうでしょう。事業計画は頭の中にイメージがある、財務状況を大体把握している…このような企業だと、厳しい経営環境の中、生き残れるかどうか心配です。

 私たちの生活においても、税・社会保障などの制度改革など、さまざまな生活を取り巻く環境が変わり、厳しさが一層増しています。

 その中で望む人生を送るとしたら、「ライフプランとマネープラン」(=事業計画)、損益計算書(P/L)=家計簿、貸借対照表(B/S)=家計貸借対照表(家計B/S)という家計管理の三種の神器を持つことが重要です。そして、経営者になった気持ちで家計管理について考えてみましょう。

 【経営者視点の家計管理のポイント】

・ライフプランとマネープラン
自分と家族が幸せに暮らすにためは、どんな要素があるのか。当面の目標は何か
・家計簿
収入を増やせないか。支出を減らせないか。そのための具体的な方法は
・家計貸借対照表(家計B/S)
金融資産は、上手く運用しているか。無駄な資産はないか。金利の低いローンに借り換えできないか

 家計貸借対照表(家計B/S)とは、家計にある資産(金融資産や不動産・動産など)と負債(住宅ローンやクレジットカードなど)を一覧にしたものです。経営者視点の家計管理については、別の機会に詳しく解説したいと思います。

生産性向上にはフィンテックとアウトソーシング

 仕事や日々の生活で忙しくて、夫婦2人もしくは、1人で家計管理するまで手が回らないという人も多いでしょう。企業でも、人手不足の中、売上アップや業務改善など生産性の向上が求められています。企業で生産性向上を実現するための方法として、ITの活用と外部資源の活用(アウトソーシング)があります。

 金融とITを融合したフィンテック(FinTech)などのIT技術の進展により、インターネットによるさまざまな家計管理サービスの活用が考えられます。

 家計簿アプリも単に日々のお金の記録をするものから、カードの利用状況や銀行口座の資金移動を記録して、家計簿を自動的に作成するものや、証券口座や住宅ローンの残高まで、自動的に集計するサービスもあります。家族状況や収入・支出・資産状況などの家計情報から、ライフプランをシミュレーションするサービスなどさまざまです。このようなサービスを活用すれば、日々の家計簿づけの手間から解放されます。

 また、保険や投資運用についても、いくつかの質問に答えると、自分に合った保険や運用商品を提案してもらえるロボットアドバイザーも登場しています。これらのサービスは、効率的に保険や運用商品を選択するための選択肢の一つといえるでしょう。

 フィンテックを活用して得られた家計情報をいかに活用するか、保険や運用商品も、さらに自分に合った最適な選択をしたいという場合は、外部専門家を活用(アウトソーシング)すると良いでしょう。手前みそになりますが、FPは家計管理の専門家です。企業に経営コンサルタントが必要なように、家計にも家計コンサルタントが必要です。

 家計管理は、自分と家族の人生を豊かにするために行うものです。従って、家計管理に時間や手間を取られてしまっては本末転倒です。家計管理の生産性を高めて、自分の生活時間をより有効に使う(働く、学ぶ、生活を楽しむ、スポーツをするなど)ことが大切です。

 【家計管理革命のポイント】
1.意識改革:節約・貯蓄ではなく、ライフプランを実現するために行う
2.企業財務の視点:三種の神器(ライフプラン、家計簿、家計B/S)を持つ
3.生産性向上:フィンテックとアウトソーシングで自由な時間をつくる

 人生100年時代、先行きは不透明ですが、ライフプランを持ち、家計の現状が常にわかる状態にあると、不安な状態が和らいだと感じているそうです。家計管理革命が上手くいくと、不安が解消されるだけではなく、夫婦円満にもなります。2019年の新時代の幕開けに、家計管理革命を起こしましょう。

平野泰嗣(ひらの・やすし)

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ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
中小企業診断士
FPオフィス Life & Financial Clinic共同代表

1971年生まれ。東京都出身。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。中小企業を支援する公的金融機関勤務。人事部時代に働く人のライフプランの重要性を感じ、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。2006年に同じくFPの妻・平野直子とともに独立系FP事務所を開業。出会った人の「その人らしい幸せな人生」の実現をサポートし、世の中に「幸せの輪」を広げることをミッションに、FPとして活動。お客様と一緒に作成した未来設計図(ライフ&マネープラン)は1000件を超える。中小企業診断士として、個人事業主、経営者のライフプラン支援も行っている。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。毎月第2・第4水曜日掲載。

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