GW10連休、良くも悪くも「どうしよう」 ツアー大人気、収入減も
天皇陛下が譲位する4月30日と皇太子さまが即位して改元が行われる5月1日に加え、2日を休日とする特別法が昨年12月の通常国会で成立し、今年の4月27日~5月6日のゴールデンウイーク(GW)は10連休となる。長期の休みがなければ行くことができない秘境や離島が注目を集める“特需”の一方で、出勤日数の減少が給料に響く労働者や、学校・幼稚園などが休みになって影響を受ける子育て家庭からは不安の声も漏れる。(橋本昌宗、植木裕香子)
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「昨年10月にGWを10連休にする案が出て以降、問い合わせが殺到している」。こう話すのは、東京都小笠原村観光協会の担当者だ。
村内の中心地、父島は本土から約1千キロ離れている上、空港がないため行くには船で約24時間かかる。船の便の都合で、往復すると島に到着した日に帰ったとしても3日、次の便で帰るなら6日を要するため、観光目的で行くのは長期の休みがなければ難しい。気候が温暖なため、例年は5月でもウエットスーツなどを着用すれば海に入ることができるという。
南アフリカや南米などの「秘境ツアー」も活況を呈している。旅行会社「ファイブスタークラブ」(東京都千代田区)によると、秘境ツアーの場合、目的地到着まで片道1日かかるケースもあり、旅行期間は平均8~10日。客層は「時間に縛られない旅好きな人」(同社)が多く、例年のGWは、4月時点でも空きのあるツアーもあったという。
だが、今年のGW出発分については昨年末時点ですでに「ほぼ完売」に。暦通りしか休めない会社員からの申し込みも目立ち、「今までにないほどの盛況ぶり」とうれしい悲鳴をあげる。
ただ、喜んでいる人ばかりではないようだ。川崎市の建設作業員の男性(52)の勤務先では給料は出勤日数で計算される。急ぎの仕事でない限り休みは暦通りになることが多いといい、「10連休がすべて休みになれば、丸々収入に響く。どこにも行かず、お金を使わず静かに暮らすしかない」。
夫と共働きで、小学3年の娘と幼稚園に通う息子がいる東京都大田区の女性会社員(41)も、「私も夫もどれだけ休めるか分からない。2人とも実家が遠いので、子供が家にいる10連休は、職場に無理を言ってどちらかが休むしかなさそうだ」と話す。
旅行サイト「エクスペディア」の日本版を運営する「エクスペディア・ジャパン」が昨年10月、20~50代の男女を対象に行った今回の10連休についての調査では、「うれしい」が54%、「うれしくない」が46%と評価がはっきり分かれた。「うれしい」と答えたうち多かった業種は公務員(82%)、学生(67%)、会社員(66%)と続き、暦通り休める人が歓迎している傾向にある。一方で「うれしくない」は「医師・弁護士・会計など専門家」(75%)、「主婦・主夫」(57%)、「パート・アルバイト」(56%)など、休みが賃金に直結したり、休みづらかったりする人が多かった。
第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストは「10連休中は全体的に消費行動が増えることが予想されるが、運送や飲食、介護など慢性的に人手不足の業界では働き手を集めにくくなることが予想され、悩みの種になりそうだ」と話している。
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