横浜で2つのロープウエー案 桜木町駅-新港ふ頭 東京五輪前に開業へ

 
横浜にロープウエーが整備されたイメージ図。みなとみらいの景観を楽しみながら移動できる(横浜市提供)

 東京五輪・パラリンピックなどをにらみ、横浜市でロープウエーを建設する案が2つある。そのうちの一つが、横浜みなとみらい21(MM21)地区で、JR桜木町駅-新港ふ頭間を結ぶ計画案。もう一つは、横浜駅東口-山下ふ頭間を結ぶ構想案だ。実現すれば、開発が進む客船ターミナルの観光客受け入れ機能との連携が可能となるなど、観光促進や回遊性の向上にもつながりそうだ。

 いずれの案も、市都市整備局が臨海部の回遊性を高めるために交通ネットワークを強化しようと、「まちを楽しむ多彩な交通の充実」を掲げて、平成29年度に募り、選定した事業案だ。企業側が設置費や運営費を負担する。

 最短2分半で

 MM21地区のロープウエーの名称は「YOKOHAMA AIR CABIN(仮称)」。JR桜木町駅東口北改札から海上の遊歩道「汽車道」に沿って全長630メートルのロープウエーを整備して、新港ふ頭の運河パークと結ぶ。

 停留所は、同駅東口北改札と商業施設「横浜ワールドポーターズ」の隣接地にそれぞれ設ける。運河パーク側の停留所は、横浜ワールドポーターズや歩道橋「サークルウォーク」の2階部分と接続することも検討中だ。同じルートを徒歩で移動すると、片道15~20分ほどかかるが、ロープウエーを利用すれば最短2分半ほどで移動できる。

 支柱は、地上に2基(高さ約10メートル)、海上に3基(高さ約30~40メートル)を建設する。ゴンドラは36基作り、全基とも車いすの同乗が可能で、運行時間や運賃は未定という。

 設置・運営を担うのは、同地区の遊園地「よこはまコスモワールド」を運営する泉陽興業(大阪府)。市は、3月末までに同社と協定を結び、夏ごろに着工する予定だ。

 東京五輪・パラリンピック前の営業開始を目指している。観覧車やゴンドラの建設実績のある同社の広報担当者は「桜木町駅から横浜みなとみらい21地区への回遊性を高めることで、コスモワールドへの誘客効果や売り上げ向上にもつながれば」と話した。

 山下ふ頭にも

 MM21地区は商業施設などが点在しており、内陸側と海側をつなぐ移動手段が乏しいことが課題となっていた。市はロープウエーを整備することで、新港ふ頭に今年秋、開業予定の「新港地区客船ターミナル」からの観光客受け入れ機能との連携や、ターミナル方面へのアクセス機能を強化することで、さらなる観光振興の促進を期待している。

 横浜駅東口と再開発が進む山下ふ頭を結ぶロープウエーの構想案を提案したのは、YNP(藤木幸太社長)など一般社団法人「横浜港振興協会」を代表する共同体。YNPは同市を中心として港湾施設の管理・運営などを行う会社で、藤木企業(同)、小此木(小此木歌蔵社長)、川本工業(川本守彦社長)、横浜岡田屋(岡田伸浩社長)の計4社が出資している。横浜駅東口から市中央卸売市場、新港地区、山下公園・山下ふ頭をつなぐ。

 再開発が予定される山下ふ頭は客船1、2隻の着岸が可能になり、着岸した客船をホテルとして使う計画もある。ロープウエーができることで、観光客誘致につなげる狙いもある。

 同局によると、現状はまだ検討が進められている段階といい、具体的な内容については今後、協議をしていくとしている。

 【新港ふ頭】

 開港160年を迎える横浜の内港地区のほぼ中央に位置し、明治後期から大正期に建設された埠頭。総面積は37・4ヘクタール。横浜市は、横浜みなとみらい21地区全体を一層活性化させようと、新たに「新港地区客船ターミナル」を整備している。同ターミナルは地上5階建て、延べ床面積約3万300平方メートル。10万トン程度までの国際クルーズ船が発着でき、CIQ(税関、出入国管理、検疫)施設のほかに、ホテルや商業施設などを備える。