東日本大震災から8年 SNSやドローン、技術での「備え」に広がり
甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から8年が経過した。その後も大規模な自然災害は全国各地で相次ぎ、普段からの備えの重要性が一層強く認識されている。近年は、大震災後に急速に普及した会員制交流サイト(SNS)や小型無人機ドローン、仮想現実(VR)など、テクノロジーを活用した「備えと対応」が広がりをみせている。
高層ビルの被害調査に
さまざまな産業分野で活用が進んでいるドローン。災害対応でも、人が立ち入り困難な場所の状況把握で特に威力を発揮する。ヘリコプターに比べ低空飛行できるほか、音が小さいため、被災者らの精神的負担が少ないなど、多くのメリットがあるからだ。
自治体からの要請に応じ、損保ジャパン日本興亜(東京都新宿区)はドローンのチームを全国に派遣している。機体は19機、パイロット6人の態勢で、電源車を備える。ドローンは当初、自動車事故の損害調査という保険業務が目的だったが、大規模災害の対応にも活動範囲を拡大したものだ。平成28年の熊本地震や昨年の北海道地震では不明者の捜索を行っている。
同社の高橋良仁技術部長は「常に機材を整備している。高山に登るなどハードな現場が多いのでスタッフの気力、体力を養っておくのも重要」と話す。
昨年2月に発足した神奈川県大和市消防本部の「消防ドローン隊」は、同本部のほぼ全職員がドローンを操縦できる態勢を目指している。発足時操縦できたのは20人だったが、職員定数(231人)の半分近い100人にまで増やした。担当者は「どんな状況でもドローンで情報収集できる態勢にする」と話す。
ドローンは本部と市内5カ所の拠点に2機ずつを配備、予備機1機も含め計13機で運用する。
「やさしい日本語」
電話がつながりにくくなり、ホームページもアクセスが集中し閲覧するのが難しくなる災害時。東日本大震災後、スマートフォンの普及とともに急速に広がったSNSは、伝達手段として有力だ。最近は、日本語での意思疎通が不得手な外国人へ配慮も進んでいる。
160の国・地域から来た約10万人が暮らす横浜市は、災害時にはツイッターなどで情報提供する。英語などでの発信を予定しているが、同時に、理解しやすい「やさしい日本語」も準備している。
「やさしい日本語」は、日常会話ができるレベルの人なら理解できるよう、かみ砕いた表現方法。通常なら「水を入れる容器をご持参の上、ご参集ください」と書くところを、「水(みず)を入(い)いれることができる入(い)れもの(袋(ふくろ)やペットボトル)を持(も)って、集(あつ)まってください」などと表記する。
一方、SNSは災害の際、デマや流言が飛び交う問題も指摘されている。昨年9月の北海道地震の際も、本震の後に「大きい地震が来る可能性が高い」などとする情報が流れ、自治体は情報を否定した上で冷静な行動を呼びかけた。
立正大心理学部の西田公昭教授は、人が右往左往する様子を楽しむ愉快犯が最初に発するとしても、「その情報の真偽を確認したい人がシェア機能を使って拡散するので広まってしまう」と指摘する。「確認できない不確実な情報は拡散しないと心がけておくことが重要」と話している。
マンネリ打破
防災訓練の役割は重要だが、訓練を重ねるうちにマンネリ化しがちだ。そんな時、VRを活用して煙や家具転倒の怖さを疑似体験すると、意識が高まることが期待できる。
東京消防庁は専用車を開発し、啓発に取り組む。8人まで参加できる「VR防災体験車」を開発。115インチ大画面で地震と火災、風水害を疑似体験し、何らかの対策が必要だと実感できる。昨年4月から運用を開始し、年末までに都内各地の防災訓練などに出向き約4万8千人が体験した。「本当にリアルで怖かった」「家庭での備えを見直したい」など意識の向上に役立っている。
関連記事