「日本の城」ランキングは名古屋城、松江城が躍進! 入場者数V字回復の城も
日本人のみならず訪日外国人にも人気の観光スポットである城。ライトアップはもちろん、各自治体はプロジェクションマッピングなど最新技術を使った演出にも力を入れている。そんな日本の城の中で、もっとも検索されている城はどこか。阪急交通社がこのほど、最近1年間で検索された城の名前ランキングを発表した。同ランキングは同社サイト内の2018年4月1日~2019年3月31日のデータを基に調査したもの。
名古屋城が大幅にランクアップ
1位は姫路城、2位は竹田城(跡)、3位は松本城という結果に。これは前回の2017年の調査結果と変わらず、不動の人気ぶりを示している。一方で、前回11位以下だった松江城が7位、犬山城が10位とともにベスト10入りを果たした。
名古屋城は前回の10位から6つランクアップし4位に入った。名古屋城の2018年度の入場者数は前年を上回る220万人超で、これは過去3番目に多い数字という。検索数だけでなく実際の入場者数も増えていることになる。
では、今回ベスト10入りした城の歴史や特徴、そして見所を振り返ってみよう。
1位 姫路城<兵庫県>
日本初の世界文化遺産であり、国宝や重要文化財にも指定されている姫路城(ひめじじょう)が、前回調査に続き1位。シラサギが羽を広げたような優美な姿から、「白鷺城(しらさぎじょう)」という愛称でも呼ばれている。城のある風景を楽しむだけでなく、地下階、地上6階ある大天守の中に入って展示物から城の歴史を学んだり、最上階からも眺めを楽しむことができる。
日没後から午前0時まで毎日ライトアップされており、夜間に訪れるのもおすすめ。千姫が休息所としていた「化粧櫓」や、怪談『播州皿屋敷』でお菊が投げ込まれたとされる「お菊井戸」など、天守閣以外にも気になるスポットも多数。
2位 竹田城<兵庫県>
竹田城跡(たけだじょうあと)は、兵庫県朝来市(あさごし)の古城山(こじょうざん)山頂、標高約353.7メートルにある。約400年前に廃城し、石垣のみが現存している。城の周辺に濃い霧が発生することがあり、雲海に浮かんでいるように見えるため「天空の城」と呼ばれ、近年人気が沸騰。
竹田駅付近にある「情報館 天空の城」前の広場では、ソフトクリームの周りを大きなわたあめで囲んだ「もふもふソフト」が土日祝限定で販売されている。雲海に見立てたふわふわのわたあめがフォトジェニックだと観光客に人気のよう。
3位 松本城<長野県>
長野県松本市にある松本城(まつもとじょう)。現存する12天守で最古である可能性が出てきたと最近話題になった(これまで五層天守閣としては最古としていた)。松本城の魅力は、白漆喰と黒漆塗の下見板で覆われた外観の美しさにあると言われており、背景に広がる北アルプスも含めて一見の価値あり。
松本城に関する様々なクイズが出題される「国宝松本城クイズ」、江戸時代の姿を再現するVR(仮想現実)が楽しめる「ストリートミュージアム」など、スマートフォン向けアプリも提供されている。また、城内には兜や忍者の衣装を身に付けた「おもてなし隊」がおり、一緒に記念撮影もできる。
4位 名古屋城<愛知県>
名古屋城(なごやじょう)は、徳川家康が天下統一のため最後に築いたと言われる。名古屋駅から電車で約10分と立地が良い。2018年6月から本丸御殿が全面公開され、三代将軍家光が名古屋城に宿泊する際に贅の限りを尽くして建てられたという「上洛殿(じょうらくでん)」も見学することができる。また、名古屋城に隣接するエリアに城下町を再現した商業施設「金シャチ横丁」が新たにオープンし話題を呼んでいる。
5位 彦根城<滋賀県>
ゆるキャラ「ひこにゃん」でも有名な滋賀県彦根市にある彦根城(ひこねじょう)。彦根城は戦のために築城されたとされているだけあり、天守では隠し部屋や狭間(弓矢や鉄砲で狙撃するための穴)を見ることができる。城内には、約400本の紅梅・白梅が植えられた梅林があり、例年3月中旬から下旬に花を咲かせる。また、表御殿を復元した建物である彦根城博物館では、藩主の居間や茶室などを見学することができる。
ひこにゃんに会えるのもこの城の魅力。ひこにゃんは彦根城にほぼ毎日登場する。Facebookアカウントなどで登場場所と時間を発表しているので確認してみよう。
6位 五稜郭<北海道>
北海道函館市の中心地にある五稜郭(ごりょうかく)は、江戸幕府の役所として幕末に造られた西洋式城郭だ。稜堡(りょうほ)と呼ばれる5つの角があり、星型の形をしている。堀の内側は約12万5500平方mメートル、実に東京ドーム約3倍の広さを誇る。
貸しボートショップがあり、手漕ぎボートで堀をぐるりと一周することも可能。隣接する五稜郭タワーに登れば、その特徴的な星型を写真に収めることができる。
7位 松江城<島根県>
島根県松江市のシンボルともいえる松江城(まつえじょう)は、2015年に国宝に指定されて話題になった。現存する12天守閣のうちのひとつで、築城から400年以上が経過している。戦乱の時代に建てられ、城内には附櫓(つけやぐら)や急こう配の階段など、敵の侵入に備えてさまざまな技巧が用いられている。最上階では、松江城の街並みをぐるっと360度眺めることができる。遊覧船も出ており、堀から松江城を仰ぎ見て楽しむのもよい。
8位 大阪城(大坂城)<大阪府>
2017年度まで3年間連続で入館者数が最多となり、その数は大阪市の人口も超えたという大阪城/大坂城(おおさかじょう)。再建、改修を経て、1997年に国の登録有形文化財に指定された人気観光スポットだ。8階建ての城内は博物館と展望台になっており、大阪城に関する展示やシアター、ミュージアムなど見どころ満載。最上階には展望台があり、大阪の街並みを一望できる。城内にはエレベーターが設置されているため、高齢者や車椅子の方も安心して観覧可能。 重要文化財に指定されている櫓は2019年3月2日~2019年11月24日の土日祝限定で特別公開されている。
9位 弘前城<青森県>
弘前城(ひろさきじょう)は、青森県弘前市の弘前公園内に建つ城で、1627年(寛永4年)に落雷によって本丸御殿などが一度焼失してしまったが、1810年(文化7年)に再建された。園内には天守以外に辰巳櫓(たつみやぐら)、未申櫓(ひつじさるやぐら)、丑寅櫓(うしとらやぐら)がある。これは、天守から見た方角を12支で示したもので、それぞれ南東、南西、北東に位置している。
弘前公園では4月20日~5月6日には「弘前さくらまつり」、8月1日~7日には「弘前ねぷたまつり」が開催される。この時期に合わせて訪れてみるのもよいかもしれない。
10位 犬山城<愛知県>
小高い山の上に建てられた城、犬山城(いぬやまじょう)は、1537年に織田信長の叔父、織田信康が築いたと言われる。犬山城は年間入場者数が5年連続で記録更新となる人気ぶりで、2018年12月には初めて60万人を突破したという。
犬山城はもちろん、三光稲荷神社にあるピンクのハート型の絵馬、芳川屋の季節のフルーツパフェなど、周辺にインスタ映えが期待できる要素が多く、一時は低迷していたという入場者数がV字回復したと話題になっている。
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ひとつひとつの城をこうして見ていくと、不動の1~3位を除き、4位~10位の城はその演出や話題づくりでSNSの投稿や口コミを集め入場者数増加につなげているようだ。その結果として検索数が伸びていると言えるかもしれない。日本各地にたくさんの城が建てられたが、校外学習や研修旅行以来訪れたことのない人も多いだろう。ゴールデンウィーク(GW)に改めて訪れてみてはいかがだろうか。(SankeiBiz編集部)
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