【健康経営 がんと向き合う】先端治療についてよく分かる話

 

 先日、保険診療と自由診療の違いや、自由診療の中に先進医療という枠組みがあることを紹介した。その他に治験という枠組みもある。先端治療という名前は、その自由診療の中の先進医療以外の部分を指す。ただ、こういった言葉は自分たちで勝手に命名しているだけで、決まった定義があるわけでもない。実際には統合医療、代替療法、民間療法なども同意義で使われていることが多い。(GMS・竹内規夫社長)

 簡単にいうと保険診療や厚生労働省で決められている先進医療、治験以外すべての治療が先端治療と名乗ることができるということになる。それらの善しあしを判断できる基準はないため、注意深い判断が必要だ。国の予算で行っているホウ素中性子補足療法や免疫細胞療法、PDTやトモセラピー、抗がん剤、分子標的薬などは他の条件下では保険診療で行える治療だが、違う条件で使う場合も自由診療で行うことが可能で、そういった治療も先端治療の名前で言われることもある。

 民間で行われている遺伝子治療、樹状細胞療法、NK細胞療法は有名だが、他にもペプチドワクチン療法、T細胞療法、マクロファージ活性化療法、高濃度ビタミンC点滴療法、オゾン療法などは有名だ。その他にも、サイマティクスやコロイドヨードなどさまざまある。

 先端治療と呼ばれる治療を行う際の注意点は、がんを小さくしたり、消したりするということに対して、手術や放射線に比べて優れているというわけではない、ということだ。

 例えば腎臓がんを治したいとする。手術の場合は腎臓を取るということになる。がんができたその臓器を丸ごと取るわけで、がんを体から取り除くということにおいては最も優れている。それを手術の代わりに先進医療で重粒子線を行ったり他の先端治療で行う場合は、手術よりも良い成績を求めるためではなく、切らずに済んだり、生活の質(QOL)を保てるというメリットがあるためだ。

 先端治療に期待することとしては、標準治療の補完的な役割だ。残念ながら手術、放射線、抗がん剤と言った三大標準治療だけでは、がんが治らないことも多い。再発や全身に飛んだがんについては、さらに厳しい。

 気を付けなくてはいけないのは、やはり金額のことだ。保険が効かないので、一般的には300万円近くは覚悟しなくてはならないことが多い。場合によってはもっとかかることも多々ある。それで良くなるという例もたくさんあるが、期待通りに結果が出ない症例もたくさんある。どの治療を選ぶかは慎重に見極める必要がある。

【プロフィル】竹内規夫

 たけうち・のりお 1978年、和歌山県生まれ。がん治療コンサルタント。2008年ごろから、がん患者をサポートする活動を開始。16年、がん治療専門のコンサルタントが、患者をサポートするGMSを設立し、社長に就任。