【近ごろ都に流行るもの】「イエベ・ブルベ判定」 私をきれいに見せる色、スマホで診断
日本人の肌色は、黄色がかったイエローベース(イエベ)と赤や青みをおびたブルーベース(ブルベ)に大別され、それぞれに合うメークや服の色系統は全く異なるという。では、自分はどちらなのか? 専門家による高価なカウンセリングなど、これまでは判定機会も限られていたが、化粧品大手がスマホ撮影で瞬時に解析できる無料サービスを始め、一気に身近に。似合う色が見つかり、春の装いに役立ちそう。男性もちゃっかり調べているらしい?(重松明子)
「イエベ・ブルベ診断したことありますか?」と、知人が聞いてきた。ありませんと答えると、やおらスマホを向けられ、カシャッ。「はい、ブルベです」。画面には、今撮られた私の顔写真とともに推奨色の口紅が表示。指で触れると唇に色が乗り、「お試し」できる。へえ~、面白い。
これによると、ブルベはローズピンクなどの青系が肌になじみ、逆にイエベに合うオレンジ系は、顔から浮いたりくすんでみえてしまうそうだ。あまり使わずに放置している口紅やほお紅を思い出し、「そうだったのか」と腑に落ちた。
カネボウ化粧品「コフレドール」は2月、スマホによるイエベ・ブルベ診断をスタート。3月発売の春の新色口紅の売り上げは前年同期比1.5倍と絶好調で、顕著な販促効果が表れている。
担当の本多陽子マネジャーは、「『自分らしさ』を大切にする今の女性たちが求めているのは、流行色ではなく自分をきれいに見せてくれる色。専門職の指標だったイエベ・ブルベへの関心が一般に広がり、スマホ診断ができたら使ってみたいという声が事前調査で98%にものぼっていました」と話す。
同社の化粧品研究の知見を、世界的なメークアプリ「YouCamメイク」の仕組みに搭載。写真から肌や目の色などを分析→イエベかブルベかを判定→購入すべき色を伝える-という流れだ。
でも、手持ちの「逆色」を処分するのはちょっと待って。似合わない色に重ねづけすると似合う色に変わるという異色の口紅「チェンジャーカラー」(イエベ用・ブルベ用、各2916円)も同時発売。今どきの「もったいない」志向にマッチしている。
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コーセー「ヴィセ」も、スマホ撮影で診断できる日本初のパーソナルカラー判定「パソカラ」を1月30日に開始しており、利用者は3月末までに70万人を突破した。
連動して、黄と青を5段階に調整したアイシャドー「マイヌーディ アイズ」(1296円)が好調だが、化粧品とは一見無縁な男性も、診断を利用しているという。「スーツなど、洋服の色選びの参考にされているのではないかと推測。男性にもパーソナライズのトレンドが来ていますね」と広報課の佐藤仁美さん。
導入した仕組みは、IT企業のデジタルガレージ(東京都渋谷区)とカラー診断を手がけるスタイルワークス(東京都港区)が共同開発した「イロフィット」だ。デジタルガレージの担当者は「コンピューターの機械学習を活用することで客観性を担保。オンラインでどこででもサービス展開でき、判定結果に基づいた商品が提案できる」とメリットを強調した。
従来の対面式カラー診断の場合、専門知識を持つ人材確保が必要なうえ、利用者も限られる。この課題を解決する新たな接客サービスとして、アパレルや美容院、メガネ店などへの導入が検討されるとともに、黄色人種全体への汎用(はんよう)性があることから、海外展開も視野に入れているという。
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ただ、カネボウ化粧品の本多マネジャーは「イエベ・ブルベ判定はグローバル基準で考えると、非常にセンシティブなテーマ」とも指摘する。日本人にはピンときにくいが、扱い方次第では、「肌の色」による差別問題に発展する恐れもあるからだ。
イエベ・ブルベはあくまで肌色の目安にすぎず、美しさの指標ではない。しかしインターネット上には、肌のタイプによって優劣をつけたがるような無根拠な書き込みも散見される。
自分に似合う色が分かれば、それでいい。余計な意味づけは大きなお世話でしょう。
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