片手で栄養…スポーツ羊羹がブーム 京の和菓子店社長が自ら開発

 
スポーツ時の栄養補給に「鼓月」が開発した羊羹「anpower」

 和菓子の代表格「羊羹(ようかん)」。濃いめのお茶に合わせて、ゆっくりいただきたいところだが、スポーツ時の栄養補給食として、「スポーツ羊羹」がひそかなブームとなっている。マラソンやトライアスロンなどの最中に、片手で気軽に栄養補給ができる商品を和菓子メーカー社長が開発し、発売。気軽さだけではなくおいしさも追求した。2020東京五輪・パラリンピックを控え、注目が集まっている。(大渡美咲)

 「千寿せんべい」などで知られる京都の和菓子メーカー「鼓月(こげつ)」から今月、スポーツ向け羊羹「anpower(アンパワー)」が発売された。発案したのは鼓月の中西英貴社長(47)だ。

 中西社長は社長業のかたわら4年前から、本格的なトライアスロンレースに参戦するアスリート。水泳、長距離走、自転車…、長時間にわたる過酷なレースを耐え抜くための補給食はアスリートの命と言っても過言ではない。

 中西社長はこれまでに、競技中にさまざまな補給食を試してみた。しかし、なかなか自分の口に合ったものに出合うことはできなかったという。

 「昨年5月にトライアスロンよりハードなアイアンマンレースに初参加した際にゴールまで14時間かかった。補給食はどうしても欠かせない。疲れているときにはおいしいものが何よりも力になる。欲しい補給食がないなら自分が作ればいいんだと思いつきました」

 さっそく商品開発に取りかかり3年の月日をかけて「anpower」を開発した。

 商品はタンパク質の豊富な小豆の力に加え、抗酸化作用があるとされるポリフェノールを吸収しやすいように低分子化したライチポリフェノール(オリゴール(R))を100ミリグラム配合、必須アミノ酸や塩分などスポーツ時に必要な成分を補給できるようになっている。そして、なによりもこだわったのが味。通常の羊羹と同じように上生菓子に使う上質な小豆で、和菓子職人が丁寧に自社工場で炊き上げた餡(あん)で作っている。

 中西社長はマラソンやランニング、登山、ロードレースなどさまざまな場面で利用してほしいといい、「100%自己満足の自分のために作ったこだわりの商品なので、自信を持ってお届けすることができます」と胸を張っている。

 ■健康志向…菓子メーカーなど続々参戦

 適度な甘みがあり、その形状からも口に運びやすい羊羹。スポーツ羊羹の市場でも、味のバリエーションが増えたり、菓子メーカーの“参戦”が相次いだりして、活況を呈している。

 スポーツ羊羹の先駆けでもある「井村屋」(津市)では定番のあずき味に加え、チョコレート味の「カカオ」を発売した。

 昨年、和菓子の老舗「虎屋」(東京都港区)が、東京五輪・パラリンピックのメイン会場に隣接する青山にスポーツに特化した店舗「TORAYA AOYAMA」を令和3(2021)年までの期間限定でオープンさせた。店内でヨガ教室を開催するほか、小ぶりなスティック型の羊羹をスポーツ時の栄養補給にと勧めている。北海道旭川市の和菓子店「福居製餡所」も走りながらでも食べられる「マラソンようかん」を新発売した。

 健康志向の高まりに加え、今年9月に日本で開催されるラグビーワールドカップや東京五輪を控え、ますます人気となりそうだ。