健康寿命延ばす土台できた 大阪・健都に国循移転
大阪府吹田、摂津両市にまたがるJR東海道線岸辺駅前で進む「北大阪健康医療都市(健都)」に7月1日、国立循環器病研究センター(国循)が吹田市北部から移転開業する。両市と府は、国循の移転が決まった平成25年から周辺に医療機関などの集積を本格化させてきた。最大目標は、自立した生活ができる「健康寿命」を延ばすこと。中核施設の開業で、健都のまちづくりは節目を迎える。(張英壽)
昨年から入居が始まっている15階建てと20階建ての高層マンション「ローレルスクエア健都ザ・レジデンス」。入居者は、手首に腕時計のような端末を24時間着けている。端末には、スマートフォンと連動して使うことができる「スマートウオッチ」のような機能があり、睡眠時間や歩数、心拍数を計測し、国循に送信。国循はインターネットを通じて入居者にデータを伝え、希望に応じて医療従事者が3カ月に1回、健康のアドバイスを行う。
マンションを開発した近鉄不動産によると、入居者は高齢者だけでなく、30~50代の世帯も多く、計画している824戸のうち、今年5月末までに518戸が契約。睡眠中も端末を装着する必要があるものの、一定程度利用されているという。
健都が立地するのはJR岸辺駅前の旧国鉄吹田操車場跡。甲子園球場7個分余りに相当する約30ヘクタールには、このマンション、国循のほか、市立吹田市民病院、研究機関と企業の誘致を目指す健都イノベーションパーク、24時間対応で無休の調剤薬局が入った複合施設などが整備されてきた。
国循は「循環器病の予防と制圧」の拠点を目指しており、全国に6カ所ある国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)の一つだ。西日本に唯一立地し、研究、外来診療に加え、一般市民の健康維持にも関与する。
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「健康寿命の延伸に向けた予防・医療をさらに推進するとともにオープンイノベーションの展開による研究開発に全力を挙げていく」
国循が移転にあたり公表した冊子には、小川久雄理事長がそう明記している。館内のセンターでは、企業などが最先端の施設を利用し、国循の研究成果を共有。革新的な技術や製品開発につなげ、吹田、摂津両市も連携する構えだ。
ただ、健都には課題もある。目標である「国際級の複合医療産業拠点(医療クラスター)」の一翼を担う健都イノベーションパークには、医療機器メーカー「ニプロ」の進出が決定し、国立健康・栄養研究所(東京都)が移転の方針を決めたが、大部分の区画のめどが立っていない。
健康寿命の延伸への青写真も示されていない。吹田市北大阪健康医療都市推進室の担当者は「国循などと協議する土台はできた」とするが、具体的な取り組みはこれからになる。
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張英壽(ちゃん・よんす) 平成29年7月から大阪府吹田市や摂津市など北摂地域を担当。健康や医療についてはあまり取材してこなかったが、国循の健都移転に伴う情報収集の中で、関心を持つようになった。
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