【デキる男は住まいから】和室と押し入れの理想的な使い方は? お父さんを中心に大改造しよう

 

 皆さんのお宅に和室はありますか? 「和室&押し入れ」は、うまく片づけができない場所としてよく相談を受けます。特に押し入れは「布団を収納する」という目的で作られており、海外には無い特殊なサイズ。奥深いので「モノを押し込んでしまう」「取り出しにくい」と使い方に悩む方も多いようです。

 この場所をうまく使うには、家族みんなで片づけに取り組むことが必要不可欠。今回は、お父さんが中心となって行う「押し入れ大改造計画」を我が家の実例と共に、2回に分けてご紹介致します。

和室をどういう用途で使いたい?

 家族みんなで和室の用途を決める

 私の経験上、ひとりで押し入れの片づけに取り組むと5時間以上かかってしまいます。

押し入れは収納しているモノの量が多く重さもあるので、「片づけたい!」とやる気になっているお母さん一人では途中で挫折してしまうことも。そこで、お父さんからこんな声がけをして家族の意見を引き出してみてはいかがでしょうか。

 「和室をどういう用途で使いたいか?を一人ずつ言ってみよう」

家族みんなで決める

 なかなか家族から意見が出ない場合は、「これからの5年間を想定してみてね」とフォローするといいですね。この言葉、私もお客様のおうちでヒアリングをするときに必ず使います。すると、お子様から「子供部屋にしたい!」と即答するケースが多いのです。

 子どもにしてみれば、リビングやキッチンに近く、大人の気配を感じながら過ごせる和室を自分の部屋にしたい!という気持ちになるのもうなずけます。そうすると、押し入れの中には子供のモノを集約させるのがスムーズですよね。

 「和室を家族の寝室にしたい」というケースもよくあります。その場合は、押し入れには布団一式と家族の衣類を入れておくのがよいでしょう。

 このように、ある程度家族で和室の使い方の方向性をすり合わせてから片づけをスタートさせるとスムーズに進むのです。

 押し入れに空間を作る

 続いて、現状押し入れの中にパンパンに入っているモノをどうすればいいの? という課題に直面します。ここで、押し入れに入っているモノを俯瞰してみましょう。

 押し入れで場所を多く占めているモノの代表として

来客用布団

節句の飾り

 があります。これら2点を工夫することで、押し入れの片づけは一気に加速します。

 まずは来客用の布団です。

最近使ったのはいつか? 今後使う予定はあるか?

何セット置いておく必要があるか?

 など数字を使って話し合います。仕事でお客様にヒアリングするように、お父さんが上手く引き出してあげてください。

 そこで決まった枚数を圧縮して保管しておくといいですね。

 ちなみに、我が家では布団レンタルサービスを利用することで全ての来客用布団を手放しました。一泊であれば2000円程度からあり、2日前にオーダーすれば間に合うので便利ですよ。シーツを洗う・布団を干す手間も考えると高くないように思います。

香村家では布団レンタルサービスを利用

 節句の飾りについては、「年に1度しか使わない」のがネック。和室をうまく活用しようと思うと、そこに隣接する押し入れには「よく使うもの」を収納したほうがよいと思いませんか?

 そこで、「納戸」もしくは「いつか子供部屋にしようと思っている部屋」があるというご家庭は、そこに節句の飾りを移してみてはいかがでしょうか?

 私が携わったお客様の中で、和室がモノで溢れかえって何年もひな人形を出していない、というご家庭がありました。押し入れは立派な雛飾りで占領状態。その方に「2階の子供部屋で節句飾りを保管し、季節が来たらひな人形を飾る」ことを提案したところ、お子様は「その方がうれしい!友達にも見せてあげられる!」と大喜び。お母さんからは「節句のモノは和室に飾らなければならない、と思い込んで押し入れに収納していたけど、子供達は違ったのですね」と驚いておられました。

 節句の飾りはとても重たいので、移動させるときはお父さんが大活躍されていました。

 我が家にもかつて大きな雛飾りがありましたが、阪神淡路大震災で被災したご家族に譲りました。モノは無くなりましたが、代わりに飾ってくれている人たちがいると思うと嬉しい気持ちになりますし、記憶にもしっかり残っています。手放すことを検討するなら、「譲る」のもいいですね。

 今、我が家には節句の飾りはありません。そのかわりに節句の時期になると「節句イベント」に積極的にでかけるようにしています。家族で思い出を作る、という意味では、モノを持たなくても記憶に残す方法はあると考えています。

 次回の後編では、いよいよ片づけ作業に入っていきます。お楽しみに!

【プロフィール】香村薫(こうむら・かおる)

片づけの専門家
ライフオーガナイザー

大学卒業後、トヨタグループ会社に入社。そこで学んだトヨタメソッドを家事に応用した「トヨタ式おうち片づけ」を提案。片づけサポート業務「ミニマライフ.com」を起業。全国での講演活動、個人宅での片づけサポートを行う。著書に「トヨタ式おうち片づけ」「トヨタ式超ラク家事」(ともに実務教育出版)「トヨタ式家事シェア」(主婦の友社)がある。NHKをはじめTVや新聞・雑誌などメディア出演多数。

【デキる男は住まいから】はライフオーガナイザーでミニマライフ.com代表の香村薫さんが、トヨタ自動車のグループ会社で学んだメソッドを家事に応用し、ビジネスパーソンが今すぐ実践できる「家事シェア」のノウハウなどを伝授するコラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら