《特別編》老後2000万円問題に向き合う 資産運用系フィンテック10選(後編)

 
※写真はイメージです(Getty Images)

 後編ではサービス紹介を中心に書きたいと思います。まずはじめに、前編で取り上げた「少額投資サービス」のカテゴリーで1つ追加させてください! FOLIOがLINE Financial株式会社と一緒にリリースしたLINEスマート投資の「ワンコイン投資」というサービスについてです。

少額投資サービス

LINEスマート投資のワンコイン投資

 ワンコイン投資は、僕らFOLIOとLINE Financialが共同開発したLINEスマート投資のなかで提供される投資サービスです。投資に対するハードルを下げ、「少額積立投資」に的を絞ったサービスになるので、ここで紹介させていただくことにします。

 どんなサービスか、その特徴を書いてみます。まず、なんと言っても、普段使い慣れたLINEプラットフォーム上で利用できるサービスというのが大きな特徴です。まず、1回500円から500円単位で積立金額を選び、「週1回 お手軽プラン」「週5回 平日プラン」「週7回 毎日プラン」の3つから、自分にとって最適な積立頻度を選びます。手間のかかる口座振込は不要で、LINE Payのアカウントにチャージされている残高か、LINE Payに紐付け登録されている銀行口座から、積み立てた金額が引き落とされ、投資されるという仕組みです。運用手法として裏側で動いているのは、ロボアドバイザーの仕組みで、世界中の金融資産に幅広く投資できる国際分散投資の考えが反映されています。つまり、投資初心者でも簡単に長期・積立・分散の資産運用がはじめられます。

 自分たちのサービスなので、熱が入ってつい長くなってしまいました。自信をもって提供しているサービスなので、ついつい…。その点は、ご容赦くださいませ(笑)。

ポイント運用サービス

 2つ目のカテゴリーの「ポイント運用」とは、様々なサービスに付与されているポイントを投資や資産運用に活用できてしまうというサービスです。これまで投資とは無縁だった人も、自分のリアルなお金を使って投資するのは怖くて躊躇していた人も、資金を準備せずに、証券口座を開設することなく貯まっているポイントで疑似的に投資体験ができるのです。ポイント投資だけでは、将来に向かって資産形成をすることは難しいかもしれませんが、投資の入り口としてはとても有効な方法だと思います。ここでは、2つのポイント投資サービスを紹介してみます。「セゾンカード・永久不滅ポイントのポイント運用」と「楽天スーパーポイントのポイント運用」です。

セゾンカード・永久不滅ポイントの運用

 クレディセゾンが運営するセゾンカードのポイントを利用できるサービスです。セゾンカードをお持ちの人は知っていると思いますが、セゾンカードを利用して買い物などをすると、永久不滅ポイントが付与されます。この永久不滅ポイントを使って、ポイント運用ができるサービスです。ポイント運用できるのは大きく2コース。「投資信託コース」と「株式コース」の2種類です。投資信託コースは、さらに4種類のコース(日本株-TOPIXコース、アメリカ株-VOOコース、アクティブコース、バランスコース)に枝分かれしていて、ポイント運用という名に似合わず、かなり本格的な投資体験が行えるようになっています。

楽天スーパーポイントの運用

 楽天グループが運営する楽天スーパーポイントの運用サービスは、「楽天経済圏」という強い基盤を抱えているので、国内の代表的なポイント運用サービスと言えます。ユーザーは、お馴染みの楽天スーパーポイントを使って投資の疑似体験ができます。また、類似サービスとして、楽天証券が提供する「ポイント投資」がありますが、こちらはポイントで投資信託を購入することができます。このように手軽で身近なポイントを使って投資体験ができるのは、嬉しいですよね。

ロボアドバイザー

 3つ目のカテゴリーの「ロボアドバイザー」です。ロボアドバイザーは通称「ロボアド」と略されます。ロボの名が示す通りに、アルゴリズムが自動で資産運用を行ってくれるサービスです。ユーザーが、いくつかの簡単な質問に答えることで、それぞれの人に合った運用プランを作成してくれます。自分で考えて行うとなると相当に面倒な、資産運用の王道である「長期・分散・積立投資」を自動でやってくれるのが魅力です。実は、こうしたサービスは、既存の大手の証券会社や銀行が「ラップ口座」という名前でサービスを提供しています。しかし、ラップ口座は、最低投資金額として数百万円必要であったり、手数料水準が年間数%というサービスも多く、投資初心者が利用するには少しハードルが高いものでした。

 ロボアドは、最低投資金額が1万円や10万円程度というものが多く、手数料水準もおよそ1%なので、ラップ口座の小口化・低コスト化を実現したと言えます。このようにロボアドは、簡単にはじめられて、資産運用に手間暇、時間がかけられない人には、うってつけのサービスと言えるでしょう。もちろん、スマホからでもパソコンからでもはじめられて、いつでも運用動向をチェックできます。国内の代表的なスタートアップのロボアドバイザーと言えば、この2つのサービスの名前を挙げられるでしょう。それが「WealthNavi」「THEO」です。

WealthNavi

 WealthNaviは、ウェルスナビ株式会社が2016年7月に正式にリリースしたロボアドバイザーになります。様々なメディアで取り上げられているので、ロボアドに興味を持ったことがある人なら、目にしたことがあるのではないでしょうか。2019年6月19日時点で、預かり資産1500億円、申込件数22万口座を突破しており、ロボアドで国内最大手のサービスと言われています。

お金のデザインのTHEO

 THEOは、株式会社お金のデザインが運用しているロボアドバイザーです。サービスは、2016年2月から開始されています。お金のデザインの設立は2013年8月であり、日本のロボアド界のパイオニア的な存在と言えます。世界中のETF(上場投資信託)の中から、ロボアドが各人にあったベストなポートフォリオを構築し、国際分散投資を実現してくれます。

異業種による資産運用ビジネスへの参入

 最後の4つ目のカテゴリーです。昨今、日本の資産運用ビジネスのポテンシャルの大きさが注目されており、異業種からの参入が目立っています。特に大きな動きとしてはあげられるのが、大手通信会社のKDDIグループや、大手小売会社の丸井グループの参入です。後ほど触れる、「iDeCo」や「つみたてNISA」といった税制優遇制度を活かすことにも注力した参入が拡大しています。

KDDIアセットマネジメント

 KDDIグループが設立したアセットマネジメント(資産運用)会社がKDDIアセットマネジメントです。KDDIグループは金融ビジネスに力を入れており、カブドットコム証券、じぶん銀行、ライフネット生命などを通じて、巨大な金融コングロマリットを形成しようとしています。KDDIアセットマネジメントが提供するサービスでつみたてNISA対応している投資サービスが、「auスマートファンドシリーズ」です。このシリーズは、4種類の投資信託で構成されおり、つみたてNISAなので積立投資による「時間分散効果」と、国内外の株式や債券に幅広く分散投資することによる「国際分散効果」の2つが期待できます。

 そして、もう1つのKDDIアセットマネジメントのサービスが「auのiDeCo」です。これは、「スマホではじめる年金づくり」を謳っているサービスです。特徴として、スマホでの操作に特化していることです。スマートフォンアプリで、申し込みをするところから運用状況を確認したり、運用商品を見直したりなど、年金管理で重要になる機能が全てスマホで行えます。また、同サービスは、auユーザーではなくても使えるサービスです。

tsumiki証券

 tsumiki証券は、あの丸井グループが運営する証券会社で、積立投資を専門としてサービス提供を行なっています。できるのは、厳選された投資信託の積立だけなのです。選択肢が限られている分、ユーザーは迷うことがなく、とてもシンプルです。クレジットカードのエポスカードを持っていれば、クレジットカード払いで簡単に積立投資がはじめられてしまいます。そしてtsumiki証券が選んだ投資信託は、つみたてNISAの対象となっています。非課税の資産運用が、クレカで簡単にはじめられるのは、嬉しいのではないでしょうか。

番外編:2つの税制優遇制度

  iDeCo(イデコ)、つみたてNISAという言葉は、特に最近よく耳にするようになったのではないでしょうか?この2つとも説明するとかなり長くなるので、ここではなるべく手短に説明しておきます。まず2つとも税制優遇を受けることができる「制度」であって、何かの「商品」ではありません。なので、利用するものであって、買うものではありません。

iDeCo

 iDeCoは、「個人型確定拠出年金」のことで、法改正によって、原則として日本国民であれば誰でも加入することができるようになりました。加入すると、毎月一定額(この金額は人によって上限が異なります)を自ら選んだ投資信託や元本確保型の定期預金などで運用していくことになります。iDeCoは原則として、60歳になるまで自ら積み立てて運用したお金を引き出すことができません。60歳以降に年金として(選択した間隔で受け取る方式)または一時金として(一括方式)受け取れます。なお、投資信託で運用した場合は、その運用成果によって、未来の自分が受け取れる年金額は大きく変動する可能性があります。

 iDeCoのメリットとしては以下の3つがあげられます。

掛け金が全額「所得控除」

運用中に得た利益は「非課税」で再投資

年金として受け取る場合は「退職所得控除」「公的年金等控除」の対象

つみたてNISA

 これに対して、つみたてNISAとは「少額投資非課税制度」のことを言います。この言葉の通り、意味するのは、「投資で出た各種利益を非課税にしますよ」というものです。通常、日本では、株式や投資信託などの投資を行った際に出る売却益や配当には20.315%の税金がかかります。それを、「年間40万円までを上限に、20年間積み立てていくことを前提に非課税しますよ!」という制度なのです。 国として、国民に長期で積立投資をするインセンティブを作っているのです。

 以上、前編と後編を通じて、僕が選んだ資産運用フィンテックサービスの10選についてポイントだけ簡潔に紹介してみました。きっと、「もっと詳しく知りたい!」と思った方もいるのではないでしょうか。そんな方は、ご自身で掘り下げて資産運用系のフィンテックサービスの真髄を探ってみると良いかもしれません。

 「老後2000万円不足問題」の不安をポジティブに捉えようとするなら、何はともあれ「行動」するのが一番です。今や、フィンテックサービスで資産運用が簡単にできる時代。いろいろネガティブな情報はあるものの、手のひらの中だけで、誰もが情報収集できて行動にまで移せてしまうことを上手く利用できれば、ある意味、とてもいい時代なのかもしれません。

株式会社FOLIO

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2983号

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金融商品の取引においては、株価、為替、金利、その他の指標の変動等により損失が生じるおそれがあります。契約の際は、契約締結前交付書面等の内容を十分にご確認ください。

※LINEスマート投資はLINE Financial株式会社(金融商品仲介業者 LINE Financial株式会社 関東財務局長(金仲)第854号)の金融関連サービスです。同社は株式会社FOLIOからの委託を受け金融商品仲介行為を行います。

【プロフィール】甲斐真一郎(かい・しんいちろう)

「FOLIO」代表取締役CEO

京都大学法学部卒。在学中プロボクサーとして活動。2006年にゴールドマン・サックス証券入社。主に日本国債・金利デリバティブトレーディングに従事。2010年、バークレイズ証券に転籍し、アルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任する。バークレイズ証券を退職後、2015年12月に、手軽に資産運用、株式投資を楽しめるフィンテックサービス「フォリオ」を提供するオンライン証券会社「FOLIO」を設立。フィンテックの旗手として大きな注目を集めている。次世代型投資プラットフォーム・サービス「フォリオ」は、「ユーザー体験」「操作感・表示画面」に着目されており、テーマ投資という形で誰もが簡単に株式投資を楽しむことができるように設計されている。FOLIOはお金と社会にまつわる情報を発信するオウンドメディア「FOUND」も運営している。

甲斐真一郎さんがフィンテックと業界の最新事情と社会への影響を読み解く連載コラム【フィンテック群雄割拠~潮流を読む】をSankeiBizで掲載しています。アーカイブはこちら