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問題の根底には足裏退化!? #KuTooの裏で…広がる足裏健康志向

 蒸し暑い夏。女性の下半身をストッキングから解放してくれるフットカバー。でも、脱げやすいのが玉にキズ。靴の中で丸まっただけで、なぜこんなにも不快になるのか? 足裏には全身の立位・歩行バランスをつかさどるセンサーや筋肉が集中し、現代人はその機能が衰えがちという。女性のセクハラ告発「#MeToo」にならって、職場でのヒール・パンプス強要の苦痛を訴える「#KuToo」運動が議論を呼んでいるが、問題の根底には足裏の退化があった!? (重松明子)

※画像はイメージです(Getty Images)
足指をふみしめる力だけでかかとを上げて…。足裏の筋トレを指導する中村格子医師(右)=東京都渋谷区の「Dr.KAKUKOスポーツクリニック」
足裏から全身に悪影響を及ぼす「脱げる」を克服して大ヒット中、「脱げない」フットカバー。実はメンズ用もある
アーチを形成する固有筋を鍛える、足指ストレッチを指導する中村格子医師(右)=東京都渋谷区
ムック本の付録の足半。かかととつま先が地面に付いてアーチが整うらしい
中村格子医師(本人提供)

 「ふくらはぎに力を入れずに、足指で床を踏みしめる力でかかとを上げてみて」「…難しいですね」

 東京・代官山の「Dr.KAKUKOスポーツクリニック」。院長の中村格子(かくこ)医師が、椅子に座った30代女性に足裏の筋力トレーニングを指導していた。「これができればアーチが整い、ハイヒールでも美しく健康的に歩けます。脚も太くなりませんよ」

 82万部超のロングセラー「大人のラジオ体操」シリーズの著者として知られる中村医師は、自らも7~9センチのハイヒールを愛用している。

 職場での女性に対するヒール・パンプスの強制は性差別だとして先月、禁止する法整備を求めて厚生労働省に署名が提出された「#KuToo」。この運動への見解を求めたところ、「足指や足裏の力が衰えている女性の多さが、根底にあるのでは」と、医師の視点で指摘した。

 「子供の頃から長時間靴を履き、歩くのはフラットな所ばかりの現代生活。足指や足裏の筋力が正常に鍛えられず、縦横のアーチが未発達な人が増えています」

 本来、ハイヒールを履いた状態はバレエのルルベ(つま先立ち)と同じ。「この姿勢が正しく保て、自分の足形に合う靴を選べば苦痛もなく、ハイヒールでもいくらでも歩けますよ」と、軽やかにルルベで横歩きしてみせた。大切な足裏力を鍛えるセルフトレーニング方法は、自著「究極のストレッチ」(日経BP)でも紹介している。

 フットカバー「脱げない ココピタ」(3足1080円など)は、「脱げない」機能を強調したCM展開を始めた今年上半期、前年同期比6倍以上の売れ行きだ。

 「脱げる悩みにお応えしたいと、5年前から研究に着手。足の動きと生地の伸縮の実験を重ねて昨年商品化し、今年は全国的なプロモーションに注力。大ヒットにつながった」と、製造元・岡本(本社・大阪市)マーケティング企画部の大塚美和さん。

 独自開発のシリコン製「コの字型ストッパー」がかかとを保持して足の動きに追従する構造で、特許出願中。9月には、タイツとの重ね履きでつま先を防寒する秋冬用も発売予定だ。

 同社は5月、前出の中村医師監修のもとで実証実験を行い、靴の中でフットカバーが脱げた状態で歩くことによる健康への影響を調査した。

 それによると、脱げたフットカバーは歩行時の異物として全身を制御する足裏の神経(メカノレセプター)の働きを妨げ、足指の緊張を高めて足裏の荷重が不均等になる。その結果、姿勢がゆがみ、全身の疲労や不調につながると結論付けた。小石などが靴に入った場合も同じ。不快さは足裏からの警告だった。

 足裏の健康志向で、日本古来の「足半(あしなか)」と呼ばれる短い草履も復活。明治維新の頃まで合戦や農作業、飛脚の長距離走行などで広く愛用されていたそうで、東京・上野公園の西郷隆盛像も履いている。

 つま先とかかとが地面に着く短さのため、土踏まずのアーチが自然と作られ、地面をつかむように歩くことができ、姿勢が整う。そんな評判から足裏トレーニング器具として注目されているのだ。

 ネットショップを検索すると、古風な草履など多数の商品にヒットした。そのひとつ。「山田豊文式 履くだけで美姿勢! 足半ダイエット」(宝島社、1944円)は、ゴム草履の足半が付録のムック本だ。説明文には、「足半を履いて美姿勢を保つことで、体幹強化や血流改善、代謝アップ、痩せやすい体づくりにもつながります」とあった。

 そんなうまい話が…いぶかりつつも、「購入」をポチッと押してしまった。