気をつけて、台所での熱中症 炎天下と同じくらい危険!

 
「照り焼きなすの温玉のっけ」をすすめる料理研究家の河瀬璃菜さん(三尾郁恵撮影)

 暑さもひと段落するとされる二十四節気の「処暑」にあたる23日はもうすぐだが、まだまだ残暑は厳しそうだ。日差しを浴びる屋外はもちろんだが、意外なところで気をつけたいのはキッチンでの熱中症。専門家によると、火を使って調理した場合、「炎天下にいるのと同じくらい危険」という。「手抜き」ではなく、電子レンジを上手に活用するなどして、無理せずこの季節を乗り切りたい。(小林佳恵)

湯気で湿度も上昇

 夏らしい食べ物といえば、そうめん。東京都市大の永野秀明准教授(環境工学)はガスコンロと電子レンジそれぞれを使ってそうめんをゆで、温度などを比較する実験を行った。

 ガスコンロの場合、調理している人の周りの温度は最高で65度。顔の皮膚の表面温度は37度以上、火に近い腹部の衣服の表面温度は60度以上にまで達した。

 「炎天下にいるような数字。腹部の衣服の表面温度に関しては、炎天下の駐車場に止められた車のダッシュボードと同じくらい。湯気で湿度も上がり、長時間とどまるのは危険だ」と分析する。

 一方で、電子レンジの場合、周囲の温度などはほとんど変わらない上、8分以上の時短にもなった。

 日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトの曽根美幸プロジェクトリーダーも、台所での熱中症の危険性を指摘する。

 曽根プロジェクトリーダーは、調理中は換気扇を回す▽エアコンで室温を調節する▽火を使う調理を電子レンジでの加熱に置き換えるなど調理方法や器具を工夫する-といった対策を呼びかけている。

楽々「レンチン」

 「特に夏場は、火を使うのは本当に暑い」

 このように話すのは、「りな助」の愛称でも知られる料理研究家の河瀬璃菜さんだ。河瀬さんは電子レンジで作る野菜の副菜「e-おかず」を提唱している。e-おかずの「e」は「electron(電子)」からとったという。

 発汗で失われやすいカリウムを多く含んだ夏野菜のナスを使った「照り焼きなすの温玉のっけ」(3~4人分)のレシピを教えてもらった。ナス4~5本をくし形切りにし、しょうゆ大さじ3、酒、はちみつ各大さじ2、適量のゴマ油と一緒にボウルに入れる。ふんわりとラップをかけて600ワットで5分加熱、ラップを外してさらに8分加熱。温泉卵と千切りにした大葉、白煎りゴマとともに盛りつければ完成だ。

 「e-おかず」は鍋でゆでるよりも、カリウムやビタミンCなどの水に流出しやすい栄養素が多く残るという。

 河瀬さんは「“レンチン”というと手抜きなイメージがつきまとうが、むしろ賢い選択肢と考えてほしい。罪悪感を感じず、楽できるところは楽をしていただきたい」とすすめる。

家事の負担減も

 電子レンジを使うことで、熱中症対策だけでなく、家事労働の負担減の効果を期待する声もある。

 経営コンサルタントの坂口孝則さんは「日本は共働きの家庭が増える一方で、家事労働の負担があまりにも多い。息苦しさを感じる人も多いのではないか」と説明する。

 その上で、「電子レンジは、効率的に栄養分が高い食事を作ることができるツール。空いた時間を家族のだんらんやスキルアップの勉強などに使うこともできる。日本社会全体で、もっと“適当さ”を許容しても良いのではないか」と提案している。