あおり運転、被害どう防ぐ 「誰にでも起きる可能性」と専門家警鐘
茨城県守谷市の常磐自動車道で起きた、あおり運転殴打事件では「私も同じ被害に遭わないだろうか」と危機感を抱いた一般ドライバーも多かったのではないだろうか。あおり運転の被害は年々、増加傾向。専門家も「誰にでも起きる可能性がある」と警鐘を鳴らすが、では、どうやってあおり運転から身を守ればいいのだろうか。(手塚崇仁)
◇
■他の車を刺激しないよう心掛ける
一口に「あおり運転」というが、正確な定義は難しい。警察庁のウェブサイトでは「妨害を目的とする運転の態様」として、「前方の車両に激しく接近」「他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続」「執拗にクラクションを鳴らす」といった例が挙げられている。さらに「左側から追い越す」「車体を極めて接近させる幅寄せ行為」、前方の車が「不必要な急ブレーキ」「後ろの車両が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならなくなるような進路変更」することも挙げられる。
常磐道の事件では、運転中にあおられ、前に回り込まれて停止させられたうえ、降りてきた男に殴打されたために、容疑者はまず傷害容疑で逮捕された。あおり運転については暴行容疑での立件が検討されているというが、一般的にあおり運転が摘発される際には道交法の「車間距離保持義務違反」が適用されることが多い。内閣府の「令和元年版交通安全白書」によると、昨年1年間の摘発件数は前年の約1・8倍にあたる1万3025件にも上る。
それでは、あおられた場合、どのような対応をすればよいのか。元千葉県警交通捜査官で交通事故鑑定人の熊谷宗徳氏は「まずはあおり運転を受けないようにする『予防』が大切だ」と指摘する。自分が交通法規を守り、十分な車間距離を保ち、無理な車線変更を行わないなど「他の車を刺激しないような運転を心掛ける」ことだという。
■ドライブレコーダーを搭載
そのうえで、あおり運転に対する備えが重要になる。何より大切なのは車にドライブレコーダーを設置することだ。常磐道の事件ではドライブレコーダーの記録が警察の捜査にも利用されており、熊谷氏も「決定的な記録、証拠を得るために重要だ」と強調する。映像はテレビやインターネットでも流され、注目されたことから、あおり運転をしようとする人もドライブレコーダーを恐れるようになることが予想される。熊谷氏も「有効性が広く認知され、あおり運転の抑止としても期待できる」と話す。
ドライブレコーダーを車に搭載する人は増えている。ソニー損保(東京都大田区)がインターネットを通じて平成30年10月に実施した調査では搭載率が31・7%に上り、前年の同じ時期と比べ2倍以上に。損害保険各社も、従来の自動車保険に特約付帯という形でドライブレコーダーの設置を顧客に案内し、普及の推進を目指している。大手損害保険会社の担当者は、「事故発生時の映像が記録されているため、客観的な事実に基づく示談交渉が可能」と話す。
■ドアロック、窓は絶対に開けない
それでもあおられた場合は、どうするか。熊谷氏は「相手と同じ空間にいないことが大切」と話す。
常磐道事件のように、車を止められてしまい、相手が自分の車に近寄ってくることも予想されるが、これに対しては「窓は絶対に開けない」ことだという。相手が感情的になっている状態では話し合いは期待できず、逆に暴行などのきっかけとなる恐れがあるからだ。
自動車の窓は素手では簡単に割れないから、「ドアをロックし、毅然とした態度で110番通報をすること」が重要だ。
また「左車線に移動し速度を落として距離を広げる」「一般道やサービスエリアに待避する」など、相手と接触を避けるようにすることも重要。熊谷氏は「運転をする際に、頭の中であおり運転に遭ったときのシミュレーションをしてほしい」と呼びかける。