【5時から作家塾】AIアシスタント「Alexa」、病院や医療分野での活用進む

 
アレクサを基盤としたエイバ・プラットフォーム

 「アレクサ」と呼びかけて、天気予報や交通情報の収集、アマゾンでの商品の購入、宅配の注文などが行える、米アマゾンが開発した人工知能(AI)アシスタント「アレクサ」を搭載したスマートスピーカーの、医療分野における活用が進んでいる。

 イギリスでは国民保険サービスとアマゾンが提携

 イギリス政府は7月、英国民保険サービス(NHS)とアマゾンの提携を発表し、NHSのウェブサイト上にある医療情報をアレクサ経由で取得できるようになると発表した。

 たとえばユーザーが「アレクサ、偏頭痛はどうやって治すの?」「アレクサ、インフルエンザの症状は?」といった質問をすると、NHSのサイト上にある正しい医療情報を簡単に知ることができる。イギリス政府は、すべての患者が自宅にいながらにして、病気や治療法についての正確な情報を簡単に入手できるようにするのが目的だとしている。

 アメリカでは病院での採用も始まる

 アメリカでは病院での採用も始まっている。ロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ病院は2月、アレクサを組み込んだ病院向けのプラットフォーム「エイバ」の試験的導入を発表した。当初は14の病室にエイバを搭載したスマートスピーカー「アマゾン・エコー」を設置、その後108まで設置室数を増やしている。

 患者は声掛けするだけで、スマートスピーカーをナースコールとして使うことができる。たとえば「アレクサ、トイレにいきたいので看護師さんを呼んで」といった具合だ。

 患者からのリクエストは内容によって自動的に振り分けられ、看護師や看護助手など、適切な担当者の携帯電話へと送られる。たとえば、「痛み止めがほしい」という内容であれば看護師へ、トイレ介助が必要という内容なら介護士へ直接通知される。担当者がすぐに応答できない場合は、エイバは次に登録されている病院関係者へリクエストを回す。

 またエイバ搭載機器は他のアレクサ搭載スマートスピーカーと同じように使うこともできる。つまりテレビのチャンネルを変える、好きな音楽を流す、ニュースや天気予報を聞くといった一般的な操作が可能だ。

 アレクサの利用はもちろん強制ではなく、使用するかどうかは患者の選択に任されているが、試験的に設置された病室のほぼ全員が利用しており、概ね好評だ。患者の要求が適切な担当者の携帯電話に直接送られるため、間に人が入らず、より迅速に必要なケアを受けることが可能になったためだ。

 またアレクサは複数言語に対応しているため、自分の母国語の音楽を楽しむ患者もおり、入院生活の気分転換に貢献しているようだ。

 さらに看護師が別の看護師の支援を求める際にもアレクサは役立っている。たとえば、集中治療室で手が離せない看護師が、「アレクサ、看護師に消毒機器を持ってくるように伝えて」と呼び掛け、活用しているという。

 シーダーズ・サイナイ病院では、今後さらに多くの病室にスマートスピーカーを設置することを検討中だ。

 範囲が広い音声アシスタントの利点

 アマゾンはこの他にも複数の医療機関と提携し、アレクサの導入を進めている。大手処方箋サービスのエクスプレス・スクリプツでは、会員は音声で処方箋の発送スケジュールを確認したり、発送されたら音声通知を受け取るよう設定したりすることができる。また、数多くの病院と連携するスウェディッシュ・ヘルス・コネクトとアトリウム・ヘルス(どちらも米国のヘルスケアシステム)では、アレクサを使って近くのアージェントケア(夜間や週末に診察を受けられる施設)を探したり、予約を入れたりすることが可能だ。

 アレクサを含む音声アシスタントの利点は、パソコンやスマートフォンなどの機械の操作方法がわからなくても、音声で簡単に指示できるところだ。たとえば、スマートフォンで動画を見ようと思えば、まず動画アプリを開き、検索ワードを入力する必要があるが、アレクサなら「アレクサ、パンダの赤ちゃんの動画を見せて」というだけで済む。また手を使ったり、端末を持ったりする必要がないので、病気や怪我で手が使えない、ベッドから起き上がれないといった人にも便利だ。

 アマゾンのアレクサ以外にも、グーグルのグーグルアシスタント、アップルのシリなど、今後医療分野におけるこれら音声アシスタントの活用は、さらに進んでいくと思われる。(岡真由美/5時から作家塾(R)

【プロフィール】5時から作家塾(R)

編集ディレクター&ライター集団

1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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