【5時から作家塾】健康だけでなく幸福な時間も 人気を集める自然素材のおやつ定期便

 

 いま、欧米各国ではベジタリアンが急増している。特にアメリカでは飽食文化から健康志向へと潮流が変わりつつある。オーガニック食品を扱う店が増え、無添加食品を求める消費者が増えているのだ。

 日本にもこの傾向は広まっており、オーガニック食品の売上がゆるやかに伸びている。たいていのスーパーには、野菜や果物などの無添加食品売り場が設置されている。

 そんなブームを背景に、静かな人気を集めているサービスがある。「snaq.me(スナックミー)」は、無添加の素材だけを使った「おやつ」の通販サービスである。人工着色料、香料、保存料、化学調味料、ブドウ糖、精製した白砂糖、マーガリン、ショートニングといった、市販のお菓子に使われる原料を一切使っていないのが特長である。

 常時100種類以上ある菓子類から、ユーザーの好みに応じた8種類を「おやつBOXセット」(1980円)として定期的に自宅に配送する。サイクルは4週間もしくは2週間に一度。

無添加の素材だけを使ったおやつの通販サービス。希望に応じた8種類の商品が定期的に届く

 気になるのは、お菓子のラインナップ。株式会社スナックミー広報部の廣濱舞さんに聞いてみた。

 当社のおやつは、「リアルフード」だけを使っています

 「どのお菓子も人気ですが、中でも評判が高いのがプレミアムドライパインです。市販のドライフルーツは砂糖で甘味をつけますが、スナックミーでは、パイナップルを乾燥させただけで添加物は使っていません。噛めば噛むほど素材の甘さが沁み出してくるので、ドライフルーツは苦手というお客様も『おいしい』と言ってくださいます」(廣濱さん、以下同)

 筆者もこのドライパインを試食してみたが、パイナップルの甘さがほどよく、とても美味しかった。

砂糖を使用せずに素材の甘さを引き出したプレミアムドライパインは、人気ナンバー1のおやつ

 「米粉を使ったクッキーやマドレーヌも人気です。サクッとした食感で、小麦粉を摂りたくない方にも好評です。そして、あられもファンが多い商品です。『あられっこ』というシリーズで、もち米(玄米)を揚げており、塩、とうもろこし、黒糖、じゃがいもの4種の味があります。原料は、有機栽培の宮城県産「みやこがね」。日本で最高級銘柄のもち米です。その中でも農薬も化学肥料も使わずに育てたものを原料に使用。味付けに使うのも国産小麦・国産大豆から作った有機醤油と有機黒糖です」

有機栽培の宮城県産餅米「みやこがね」を原料とするあられ。4種類の味が楽しめる(あられっこ玄米揚げ しお)
有機栽培の宮城県産餅米「みやこがね」を原料とするあられ。4種類の味が楽しめる(あられっこ玄米揚げ 黒糖)

 他にもフルーツクッキー、かりんとう、野菜チップス、フレーバーナッツ、ビスコッティ、フロランタン、チョコポップ、ディップスナック、カステラなど、すべてスナックミー独自のおやつである。

 「ご注文いただくのは、若い女性が中心です。自分へのご褒美やちょっと疲れた時に召し上がる方が多いようです。また、小さなお子さんがいるご家庭でも安心して食べられると好評を得ています」

 2016年に始まったスナックミー。幼い娘さんのために市販のおやつを買おうとした社長の服部慎太郎さんが、スーパーで手に取ったお菓子の原材料欄を見て、その添加物の多さに驚いた。「できれば子どもに食べさせたくない」「もっと安全で美味しいおやつを作れないのか」との思いが創業のきっかけだ。

 「当社のおやつは、リアルフード(本物の食物)だけを使っています。そのため、製造に苦労することも多々ありました」

 50社すべてNG 一度はあきらめたものの…

 バウムクーヘンも商品化に苦労した一つだ。バウムクーヘンの本場・ドイツには国立ドイツ菓子協会という団体があり、製造基準が厳密に定められている。その条件をクリアしなければ、バウムクーヘンとして販売することは認められない。材料は、小麦、バター、卵、砂糖のみ。添加物は一切使用しない。

本場ドイツの伝統製法で作られたバウムクーヘン。原料は小麦、バター、卵、砂糖のみ

 「本物のバウムクーヘンを作りたい、とバイヤーが協力してくれる洋菓子メーカーを探しました。しかし、『製造量が合わない』『うちでは難しい』『ショートニングや添加物入れないと無理』と断られ続けました。量販店向けに製造しているところは、一度に作る量が膨大であることや、添加物を入れないと賞味期限が短くなり、流通に向かないという理由でダメでした」

 50社に依頼した結果、すべてNG 。一度はあきらめたものの、「本物」を作りたくて、再度チャレンジをする。またしても断られ続けるが、ようやく石川県にあるバウムクーヘン専門店が「作ってみましょう!」と引き受けてくれる。

 「このお店は、マーガリンは一切使わず、バターのみの製法にこだわり続けています。ドイツの伝統製法である、材料を個別に撹拌する『別立て製法』なんです。そのため、しっかりした食感と濃厚だけど優しい後味が残ります」

 外部の専門メーカーへ委託する場合もあれば、自社で製作するおやつもある。スナックミーには専属のパティシエがおり、ユーザーからの感想やリクエストに応じて、毎月、新作のおやつを作っている。

 同社にはスナックミー以外にいくつかのブランドがあり、プロテインバーも販売している。その一つ「クリアバー」はナッツやドライフルーツを主原料に、タンパク源として日本では珍しいエンドウ豆を原料に使っている。エンドウ豆はタンパク質の吸収効率が高く、アレルゲン物質を含まないので、大豆に代わる植物性プロテイン源として欧米では注目されている。

日本では珍しいエンドウ豆をタンパク源に使ったプロテインバー。いま女性の人気を集めている

 「プロテインを自然に摂りたいというお客様のリクエストに応えて作りました。ヨガやストレッチ、筋トレ、ウォーキングなど、運動する女性によくご利用いただいています。まとめ買いをする方も多いです」

 ちなみにスナックミーでは、オフィスへの定期配送サービスも行っている。

 「オフィスの外へ買いにいく手間がはぶけるので、仕事時間を有効に使うことができ、好評です。福利厚生、健康経営への意識の高い企業さんに導入していただいています」

 気分転換に小腹がすいた時に、ちょっとつまみたいのが、おやつ。原料と製法にこだわったおやつは、健康だけでなく、生活に幸福な時間をもたらしてくれるはずだ。(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

【プロフィール】5時から作家塾(R)

編集ディレクター&ライター集団

1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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