暑さがやわらぎ過ごしやすい季節になってきました。この時期にオススメなのが家族や友達と行くキャンプ・BBQ。親も子も楽しみながら家事に取り組むアウトドアでの様子を観察していると、トヨタで学んだ「ムリ・ムラ・ムダを省く」がキャンプ場では徹底されていることに気づきます。みなさんも、ムリ・ムラ・ムダを省いて家事シェアへの意識を高めてみませんか?
BBQにはムリがない
キャンプ場では、子供達が自然と「何をすればいい?」と声をかけてくれます。普段なら頼んでもやってくれない食器洗いも、自ら率先してやってくれます。
一体なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
- 自然の中にいることで家事の担当制がリセットされ、「誰がやってもいいこと」と感じる
- ほかに遊ぶ道具が無いので「家事すら遊びの一環」という気持ちになる
のではないでしょうか。
この感覚を忘れずに、ぜひ家でも続けて家事に参戦してもらいたい!と思いますよね。家でも家事を楽しみながらやってくれるチャンスは必ずあります。ポイントは2つ。「新しい家電を買う」と「お父さんが楽しむ」ときです。
その家電を「選ぶ→開梱する→使ってみる」をお父さんと子供とでやってみてください。
これが洗濯機であれば「お父さんが説明書を片手に操作を知り、子供が使ってみて、最後にお母さんに教える」となり、自然と家族全員が操作を覚えるのです。
一度覚えてしまえば、誰が洗濯機のボタンを操作しても良いわけで、そこに”ムリ”は存在しなくなります。BBQにおける「誰がやってもいい」「楽しい(=遊びの一環)」という理想的な状況が家事にも生まれるわけです。
BBQにはムラがない
キャンプ場で食事を作るとき、お父さんが腕をふるっているご家庭を多くみかけます。
“家では作らないのにBBQなら率先して食事を作る”
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、BBQでは基本は焼くだけ というとてもシンプルな調理法だからです。多少味が薄かろうが、少し焼き過ぎだったとしても、一口食べれば家族みんなが「おいしい!」と言ってくれる。様々なことが受け入れられるというところが、「よし!オレが作ろう!」という気持ちに繋がるのではないでしょうか。
ところが、家で作っている料理は手順が多く複雑で、お母さんの頭の中にある手順書の通りに作らないとクレームを言われたりする場合も。そこで、しくみ作りが苦手なお母さんに変わって、工程を部下に尋ねるように聞き出してみましょう。お父さん独自の手順書を作る要領です。複雑だと思い込んでいた調理も、ムラを省くことで意外と作れるようになりますよ。
BBQにはムダがない
皆さんはキャンプ場にモノを持って行くときに、「少しでも荷物を軽くしよう!」という気持ちになりませんか? キャンプ場ではクルマに積んだ食べ物や食器などを自身のキャンプサイトまで運ぶ必要があります。
モノが多いと運ぶのが大変ですし、余ったモノは持ち帰らなければなりません。
自然と「モノがムダにならないように、使い切れるギリギリの量を持って行きたい」と考えます。つまり、BBQをするときに自分で“断捨離”をした結果、その場で使われることのないムダなモノが無い状態となるのです。
ムダなモノが無いだけで、やる動作は明確になります。焼いた食べ物は持ってきたお皿に入れ、それを食べるだけ。
例えば「そのお皿は来客用だから勝手に使わないで!」なんてことは起こらないのです。これ、そのまま家でも同じことが言えます。家にモノが多いから、何かやるときに時間がかかったり、制約が多くなるのです。
「これが壊れたらまた同じものを買う!」と断言できる“本当に必要なモノ”に囲まれると、家の中でもキャンプ場と同じように自然と家族が手伝いたくなる環境になります。
私のところに片づけの相談にいらっしゃる方で一番多いのが「家族が『モノの多さをなんとかしよう!』と言ったので初めて本気で片づけようと思いました」という奥さんです。
今回は、家の中にある「ムリ・ムラ・ムダを省く」ことでキャンプ場でのファミリーシーンのようにみんなで楽しみながら家事シェアできるきっかけづくりをお伝えしました。どなたかのお役に立てれば光栄です。
【デキる男は住まいから】はライフオーガナイザーでミニマライフ.com代表の香村薫さんが、トヨタ自動車のグループ会社で学んだメソッドを家事に応用し、ビジネスパーソンが今すぐ実践できる「家事シェア」のノウハウなどを伝授するコラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら