合計で40軒超、中華街がタピオカの“聖地”に
タピオカ入りドリンクの人気を背景に、横浜中華街(横浜市中区)では、ここ数カ月でタピオカドリンクを販売する店が急増した。現在では少なくとも合計で40軒超に上り、低価格志向の観光客を狙って、閉店した中華料理屋の跡地などに専門店が次々とオープンしており、中華街はタピオカの“聖地”と化している。そうしたなか、一過性の熱狂で終わらせまいと、各店舗は知恵を絞っている。
中華街に一歩足を踏み入れると、つるつるとした黒い球体が入った飲み物の看板が目に飛び込んでくる。「台湾タピオカ専門店」「タピ放題」などと書かれた看板やのぼりが掲げられた店舗は、女性客やカップル客らでにぎわっていた。
点心から切り替え
以前からタピオカドリンクを扱っている店はあったが、屋台式や間借り店舗、専門店の出店が相次ぎ、現在では計44軒の店がある。このうち専門店は24軒。店先で友人とタピオカドリンクを飲んでいた自営業の岩井優さん(33)=千葉県=は「昨年、来たときと比べると、急激に増えたと感じた。タピオカドリンクばかりだ」と驚く。
タピオカドリンクの人気を商機と捉え、業態を切り替えた店舗も多い。そのうちの一つが、善隣門の近くにオープンした、中国タピオカドリンク専門店「答案 ANSWER TEA(アンサーティー)」だ。中華料理店「皇朝」系列の点心の店「明朝」の跡地に、皇朝グループが中国から同店を逆輸入。元々は肉まんなどの点心を販売していたが、4月にリニューアルオープンした。
低価格志向に合わせ
同グループは、他店との差別化を図ろうと、人工知能(AI)を導入した斬新なサービスで客を楽しませている。客が専用のカップのカバーに書き込んだ願い事をAIが読み込み、その願い事がかなうかどうかといった回答が、容器に印刷されるというものだ。運営会社の担当者は「味が良いことが最優先で、プラスお客さま自身が楽しめる体験を提供したいと思った。今後、店舗数を拡大し、認知度を高めてブランディングを進めていく」とし、タピオカのさらなる浸透を図る。
中華街最大級のエンターテインメント施設「横浜大世界」の玄関口には、「タピオカ大世界」と書かれた横断幕がつるされている。同施設では7月にオープンした専門店など2店舗が営業中だ。
近年の中華街は、客の低価格志向に合わせて、店舗の入れ替わりが激しい。すでにブームの終焉(しゅうえん)を見据え、別の業態にかじを切ることを検討する声もある。
ブームが去れば…
中華街を中心にビジネスを展開する林運輝さん(29)は、6月に台湾タピオカドリンク専門店「茶精●(=尹のノを取り下に火)(ちゃせいれい)」を善隣門沿いにオープン。林さんは「中華街は食べ歩き商品を展開するのに適している」と評価する一方、「競争が激しい。すでにタピオカは飽和状態だ。ブームが去れば、店の業態を臨機応変に変えていく」とし、新たなサービスの提供やビジネスモデルを模索している。
横浜中華街発展会協同組合理事長の高橋伸昌さん(60)は「半年間で店舗数は倍以上に増え、中華街はタピオカの聖地といわれるようになった。観光客の客層も広がった」と歓迎する。だが、現状の問題点も指摘し、「飲み残しや空の容器のゴミ問題がある。明らかに放置されているゴミの量が増えた」と語る。
週末やイベントの後などに、路上などに容器や飲み残しが放置されるほか、ゴミ箱周辺に容器があふれる事態となっている。そのため、中華街の店舗を取りまとめる同組合は、タピオカドリンクの容器などのポイ捨てを防ごうと、食べ歩き商品を販売している店舗を対象に、ゴミ箱の設置などを促す活動を9月から開始した。
ポイ捨て防止の啓発チラシを配布し、ゴミ箱の設置などを呼びかけているほか、早朝のゴミ清掃活動を通じて、現状の改善を試みている。高橋さんは「商品を渡す際に客への声掛けや、他店のものも含めてゴミの回収に努めてもらいたい。街全体が協力し、容器などが放置される事態を防いでいく必要がある」と訴えた。
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