複合施設「横浜ハンマーヘッド」オープン 客船ターミナル・ホテル・商業施設 横浜港に7隻着岸実現
横浜港新港ふ頭(横浜市中区)に、客船ターミナルとホテル、商業施設が一体となった複合施設「横浜ハンマーヘッド」がオープンし、新たな“名所”が誕生した。11万トンを超える客船の着岸が可能で、横浜港は暫定的に大型客船7隻の同時着岸ができるようになった。市などは訪日客の取り込みや宿泊客の獲得など、港街全体のさらなる発展に期待。貿易港としての役割が中心だった横浜港が観光・エンターテインメント分野の拠点へと変わり始めている。
同施設の名称は、大正3年ごろに整備された、新港ふ頭のシンボルである港湾荷役専用クレーン「ハンマーヘッドクレーン」に由来する。運営する地元企業グループの代表である横浜岡田屋の社長、岡田伸浩氏は「世界でも珍しい商業施設、客船ターミナル、ホテル(が一体となった施設)を官民一体となって開発した。建物は完成したが、これからが長い物語の始まり」と話す。
体験・体感型店舗
施設は地上5階建てで、延べ床面積は約3万平方メートル。施設内は1、2階が吹き抜けとなっており、港の倉庫を改築したような空間が広がっている。
1、2階の商業施設ゾーンには、体験・体感型をテーマとした計25店舗が入る。ガラス張りの工房で、お菓子の製造工程が見られたり、お菓子作りを体験できたりする店舗や、タピオカ専門店、人気ラーメン店5店舗などが入居。札幌ラーメン店「白樺山荘」の伊藤律店長は「外国でラーメンが認知され始めているなか、訪れた外国人客にラーメンを味わってほしい」と話す。一部店舗のテラス席や2階のデッキには、ペットの同伴も可能だ。
3~5階はヨコハマインターコンチネンタルホテルの姉妹ホテル「インターコンチネンタル横浜 Pier8(ピアエイト)」が入居。客室は173室。海に浮かぶ立地ならではの眺望は、解放感にあふれ、船の上にいるような感覚を味わえる。
商業施設ゾーンを隔てた1階の一部に、税関による手荷物検査、出入国管理、検疫などを行う客船ターミナル(CIQ施設)が入る。約4200平方メートルの広さがあり、出入国などの手続きをスムーズに行うことができる。
世界最大級の港
かつて、物流拠点として使用されていた新港ふ頭は、旅客ふ頭としても客船を受け入れていたが、規模は大きくなかった。そこで、より大型の客船や多くの訪日客を迎え入れようと、桟橋の長さを延伸し、岸壁も深くした。最大11万~12万トンの客船が着岸でき、すでに英国籍の豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5875トン)が寄港したほか、国内の客船「ぱしふぃっく びいなす」(2万6594トン)も寄港した。
暫定的な受け入れも含めれば、横浜港には最大7隻の大型客船が同時着岸可能となった。市が目指してきた「世界最大級の港」に一歩近づいた形だ。市によると、今年は客船が190回着岸する見込みで、来年は260回の予定という。来年5月の大型連休の時期には、国内で初めてとなる客船6隻の同時着岸も予定している。
また、同施設の正面からみて右手の海上には、長さ約15メートルの桟橋が設置されており、水上バスや小型船の発着が可能。来年中には、公園「ハンマーヘッドパーク」がオープンする予定で、市民も楽しめる港として魅力が増しそうだ。
同施設は、市が進める新港ふ頭の事業の一環で、平成29年に新港地区でクルーズ拠点の開発を推進する事業案を公募し、横浜岡田屋を代表とする企業グループに決定。構成企業は、YNP、T・Yホールディングス、横浜グランドインターコンチネンタルホテル、野村不動産-の計4社。今後、近代港湾発祥の地としての歴史ある風景を継承しながら、この地から新たな文化の創出を目指している。
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