オーダーブックで読み解く外為市場

クリスマス休暇前で値動きが荒くなる可能性 米中第1段階合意でも要警戒

OANDA FXラボ編集部

 先週は米中貿易協議の第1段階での合意成立への期待感が高まり、また実際に合意に達したことや英国の総選挙にてジョンソン首相率いる与党・保守党が過半数を獲得したことなどにより、市場のリスク許容度が拡大し、安全資産とされる円は弱い推移となりました。

 ただし、中国の米国産農産物の購入等に関して不透明な部分も残されており、終盤にかけては、期待が失速する展開となり、神経質な動きが続いています。

 このため、今週も、米中の貿易交渉に関する最新の報道に注意が必要な状況が続きそうです。

 経済イベントとしては、日本銀行の金融政策決定会合やイングランド銀行(BOE)の金融政策の発表が予定され、注目が集まりそうです。

 また、クリスマスの前週ということもあり、徐々に市場参加者が減少していくことが想定され、値動きが荒くなる可能性にも注意が必要です。

 1米ドル=108.40~109.75円付近の価格帯に注目

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は鈍い動きが続きましたが、木曜日以降は米中貿易交渉の第1段階の合意への期待感、英国の総選挙の影響を受けて、1米ドル=109.70円付近まで上昇する動きとなりました。ただ、終盤には1米ドル=109円台前半まで押し戻され、週末を迎えました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、1米ドル=108.40~109.75円付近の水準で構築されたポジションが売買共に多く、価格がこの水準を上下に抜ける動きとなると、売買のいずれかのポジションが苦しくなり、損切り注文(損失を増やさないための決済注文)が増え、価格が抜けた方向に勢いづく可能性を見出すことができそうです。

 このため、ドル円はこの1米ドル=108.40~109.75円付近の水準を上下いずれに抜けるかに注目したいところです。

 ユーロドルは上値に重さ残る可能性

 先週のユーロドルは、底堅い推移が続いた後、金曜日には英国の総選挙の結果を受け、一時1ユーロ=1.12米ドル付近まで上昇しましたが、終盤に失速し、1ユーロ=1.11米ドル台前半まで押し戻されています。

 OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いたこともあり、含み損を抱えた売りポジションも多いですが、直近では、先週末の下押しで含み損を抱えて苦しくなった買いポジションが増えており、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、下落圧力が強まる可能性を見出すことができます。

 このため、安値を切り下げる動きとなった場合には、これらの買いポジションの損切りを絡めたさらなる下押しにも、注意が必要となりそうです。

 含み損を抱えた買いポジションが増加中

 先週のポンドドルは、英国の総選挙の結果を受け、1ポンド=1.35米ドル台まで急騰する動きとなった後に1.33米ドル台まで押し戻される動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、金曜日の終盤にかけての下押しで、含み損を抱えて苦しくなった買いポジションが増えており、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、下落基調が強まる可能性を見出すことができそうです。

 ただし、短期間で大きな変動となった後ということや、今週は英国でBOEの金融政策委員会、雇用統計、消費者物価指数、国内総生産(GDP)改定値、小売売上などの重要イベントが続くことから、結果次第で不安定な推移が続く可能性があり、読みにくい相場が続きそうです。

〈OANDAのオーダーブック〉

オープンポジションはここに注目

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

 これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

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  • 第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
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OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

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