焼き芋の「第4次ブーム」がやってきた 2倍の甘さになる家庭の器具って?

 

 割ったときの鮮やかな黄色、熱々の湯気と香ばしいにおい-。寒くなると恋しくなるのが焼き芋だ。最近では、濃厚な甘みにねっとりした食感のスイーツのような焼き芋が登場。専門店も人気で、ちょっとしたブームとなっている。(油原聡子)

 店頭にずらりと並んだ巨大なつぼ。ふんわり甘い香りが店の外まで漂う。

 焼き芋専門店「銀座つぼやきいも」(東京都中央区)は昨年6月のオープン以来、行列の絶えない人気店だ。扱うメニューは「つぼやきいも」と「アイスやきいも」の2種類と潔い。

 看板メニューのつぼやきいもは、つぼの中で90分から120分焼くことで、甘さを引き出す。店をプロデュースする博報堂クリエイティブ・ヴォックスの中島可奈子さんは「たっぷりの蜜と柔らかさが特徴です」と話す。

 焼きたてのつぼやきいもは、濃厚な甘さととろける食感でまるでスイーツだ。ねっとり系の食感で知られる品種「紅はるか」のなかでも、寝かせて甘味を増した熟成芋を使う。

 特注の常滑(とこなめ)焼のつぼで焼いた後は保温箱に。サツマイモの蒸気で30分以上蒸すことで、水分を逃さずしっとり感を実現させた。

 第4次ブーム

 庶民のおやつとして親しまれてきた焼き芋だが、今や百貨店でも売られるように。大丸梅田店(大阪市北区)には今年8月、「蔵出し焼き芋 imot(イモット)」がオープンした。昨冬は期間限定の営業だったが、今後は通年で展開する。しっとり系の「シルクスイート」や、ホクホクした食感の「鳴門金時」などを扱う。

割ってみると、ふわりと湯気が立ち上った=銀座つぼやきいも(酒巻俊介撮影)

 焼き芋の歴史をひもとくと、江戸時代にまでさかのぼる。一般財団法人「いも類振興会」によると、サツマイモが日本に入ってきたのは江戸時代。安くておいしい焼き芋は、江戸っ子の間で大流行に。その後、明治、戦後と2度のブームを経て、平成に入ってからは第4次ブームとされている。「安納(あんのう)芋や紅はるかといったねっとり系の品種が誕生し、若い人の間でスイーツ感覚で食べられるようになった。焼き方にこだわる店も増えました」と担当者。焼き芋機が開発され、スーパーなどで手軽に販売されるようになったことも大きい。

 家庭でおいしく

 自宅で甘い焼き芋を作るにはどうしたらいいのか。

 「サツマイモの甘味は、でんぷんを分解してできた麦芽糖です。70度前後でじっくり焼くのが甘味を引き出すコツ」と話すのは、東京ガス都市生活研究所統括研究員、松葉佐(まつばさ)智子さん。

 サツマイモは加熱すると、ベータアミラーゼと呼ばれる酵素が活性化し、でんぷんを分解、麦芽糖を作る。ベータアミラーゼが最も活性化するのが、65~75度だという。

 松葉佐さんのおすすめは、グリルを使った調理法だ。「短時間で加熱する電子レンジに比べ、グリルだと2倍の甘さになったという研究データがあります」と説明する。

 この冬、好みの焼き芋を探してみてはいかが。

つぼの中の七輪で、じっくり焼かれるサツマイモ=銀座つぼやきいも(酒巻俊介撮影)