年末の為替相場は、米中貿易交渉における第一段階の合意内容に対してトランプ米大統領の署名が近いとの期待感から楽観的な相場となる場面もありました。しかし、年初には米国とイランの軍事衝突への警戒感が強まったこともあり、主要通貨の中では、安全資産とされる円の買いが強まりました。また、「有事のドル買い」により、円以外の主要通貨に対してドルが買われたことにより、ユーロやポンドが相対的に弱い推移となりました。
今週も引き続き、中東情勢に注目が集まり、本格的な軍事衝突となると、さらにリスク回避の流れが強まる可能性も考えられるため、最新の報道に注意が必要です。
今週は米国で雇用統計やISM非製造業景況指数の発表が予定されているほか、ユーロ圏では消費者物価指数の速報値などの重要経済指標の発表が予定されています。
市場の注目が中東情勢に集まっているため、反応は限定的となる可能性も考えられますが、中央銀行の金融政策に影響の大きい経済指標だけに、市場予想との乖離が大きいと市場が過敏に反応する可能性も考えられます。このため、発表前後の値動きには注意が必要です。
さらなる、下落余地もあり
では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。
オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。
ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。
先週のドル円は下押しが続き、1米ドル=108.00円を割り込む水準まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が60%とやや高く、先週の下押しにより、その多くが含み損を抱えている状況に陥っています。安値を切り下げる動きとなった場合は、買いポジションの損切り注文(損失の拡大を防ぐための決済注文)が増え、下落が勢いづく可能性が考えられ、さらなる下押しにも警戒が必要な状況と考えられます。
上昇基調が続くかどうかに注目
先週のユーロドルは、昨年12月中旬の高値を切り上げる動きとなったものの、後半は失速する動きとなりました。大きな流れでは安値、高値を切り上げる上昇基調が続いており、今週も底堅い推移が続くかどうかに注目したいところです。
OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いていたこともあり、含み損を抱えた売りポジションが多いですが、先週後半の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションも増えており、売買の力が均衡する状況となっています。
ここで踏ん張り、反発に転じると、苦しくなった売りポジションの損切りの買いが増え、反発が勢いづく可能性があるのに対し、下押しが続き、安値を切り下げるような動きとなると、買いポジションの損切りが増え、下落が勢いづくというシナリオも考えられそうです。
よって安値を結んだラインなどを目安に下落を食い止めることができるかどうかに注目したいところです。
年末の安値水準を守れるか
先週のポンドドルは前半こそ底堅い推移となったものの、昨年12月の英国総選挙後の高値を更新することはできずに後半は失速する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、後半の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが比較的多く、下押しが続くようであれば、これらのポジションの損切りの売りが増え、下落を後押しする可能性が考えられます。
直近の安値を結んだトレンドラインや年末の安値水準の1.29米ドル付近を割り込むような動きとなると、苦しくなった買いポジションの損切りの売りが出やすくなると考えられるため、下押しの際はこれらの水準に注意が必要となりそうです。
〈OANDAのオーダーブック〉
オープンポジションはここに注目
相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。
これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。
例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。
損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。
オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。
オープンオーダーはここに注目
前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。
オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。
損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。
世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?
トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。
OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。
これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。
※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。
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- 第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
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