乗るログ

CR-Vに見た「最高レベルの普通」という価値 謎の“ホンダ天然水”携え山梨へ

SankeiBiz編集部

 今回はホンダのミドルサイズSUV、「CR-V」のハイブリッド車(HV)に乗り込み、所どころ深い雪が残る富士五湖周辺をドライブしてきた。4WDを武器に行く道を選ばない堂々とした走りと、重厚感のある乗り心地から浮かんだ言葉は「最高レベルの普通」だった。ホンダの《ドライブ用ドリンク》と合わせて紹介する。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)

ホンダのCR-V。今回はハイブリッドモデルの4WD車に試乗した
ホンダのCR-V。今回はハイブリッドモデルの4WD車に試乗した
すっきりとしたフロントシート周り
分厚いシートをはじめ、車内には堅牢な雰囲気が漂う
居住空間をたっぷり確保している代わりに、荷室がやや狭い印象を受けた
2Lエンジンと2モーターを組み合わせた「SPORT HYBRID i-MMD」を搭載
木漏れ日を浴びるホンダCR-V
CR-Vのサイドビュー。床下構造をかなりコンパクトにまとめているようで、意外にも乗り降りはしやすい
雪の積もった山中湖の湖畔とCR-V
ワイド感を主張するリヤコンビランプ。クロームパーツがまぶしい
ウインドースイッチ周り。ダッシュボードやドアトリムに木目調パネルをあしらっている
運転席周り。HVはボタン式ギアセレクター、ガソリン車はレバー式を採用している。ディスプレイはもう少し大きいと嬉しい
CR-Vの荷室。奥行きはやや狭い印象だが、それほど日頃の実用性に問題はないだろう
荷室側面のレバーを引くだけで後席を倒すことができる
景色が映りこんだCR-Vのボディ。サイドパネルの湾曲がよくわかる
18インチのアルミホイールを装着している。広報車はノーマルタイヤを履いていた
ホンダCR-V。メッキパーツを多用したホンダらしい顔つき
ボンネットの両端は隆起している。横から見ると日本刀のようにも見える
写真を撮ったり湖を眺めていたら、奥から可愛い白鳥がやってきた
これだけ広ければ十分
大きな収納スペースを持つコンソールボックス
サンルーフの操作スイッチ。もちろんスライド、チルトともに可能だ
山中湖周辺は深い雪に覆われていた
LEDヘッドライトとポジションランプ
地下駐車場に向かう狭い左カーブ。このサイズにもなると神経を使う
ホンダCR-V。ボディカラーは「ミッドナイトブルービーム・メタリック」。要はダークブルーだ
フロントシート周り。全体的にすっきりとしている
お歳暮代わりにホンダから届いた「ドライブウォーター」。ドライブ時間に合わせて必要な摂取量が、ボトルの容量で分かるようになっている。ちょうど彼らの活動を紹介するタイミングがやってきた

 RAV4やフォレスターと同等のボディサイズ

 「がっしりしてる」-。率直な第一印象だ。対面が狭い地下駐車場ともなれば、そのボリューム感は一層強調される。特にワイドな車幅からは、こちらに迫ってくるかのような威圧感がある。

 先に少しおさらいをすると、CR-Vは1995年にシビックをベースとした初代モデルが登場。当時のボディサイズは全長4385×全幅1750×全高1710mmで、車重は1430kgだった。今回取り上げる5代目は2016年に誕生したが、日本市場に導入されたのは2018年8月だ。今や4605×1855×1690mmの立派な体躯を誇り、試乗したHVの4WD車は車重が1700kgにも達する。

 ここ1年間で試乗したSUVの中でCR-Vとサイズ感が近いのは、トヨタ・RAV4(4600×1855×1685mm、1690kg)と、スバル・フォレスター(4625×1815×1715mm、1640kg)の2台だ。ちなみにどちらもHVで(フォレスターはマイルドHV)、駆動方式も4WDだ。

 CR-Vのエクステリアはかなり押し出しが強い。エッジが盛り上がったボンネット形状やボリューム感のあるバンパーなど、全体的に筋骨隆々で鎧を纏ったかのような力強さがある。前後のライト周りにクロームパーツをあしらったギラつき感は、オデッセイやインサイト、シビックなどにも共通するホンダらしいデザインだ。

 ただし、そもそもシティーユースを主眼に作られたSUVであり、武骨さの中にも伸びやかなラインや曲線を加えることで、スマートな印象も与えている。ホイールアーチを縁取る樹脂素材のフェンダーアーチは細めに仕上げることでオフロード感を薄めており、都会のシーンでも違和感なく溶け込める優雅な雰囲気も併せ持つ。金属の塊を切削したような平面加工のフェンダーは光の反射が美しく、同時にダイナミックさも与えている。

 独自の2モーターHVシステム

 動力源にはホンダ独自の2モーターHVシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を搭載している。これは3つのドライブモード《EVドライブ、HVドライブ、エンジンドライブ》を走行状況に応じて瞬時に切り替えながら、燃費と走行性能を高次元で両立させるというもので、ホンダにとって今後のグローバルな電動化戦略の主軸となるパワーユニットである(今後は「e:HEV」の名称で展開する模様だ)。筆者はこのHVシステムを新型インサイトで体験済みではあるが、CR-Vに搭載される「i-MMD」は初めて4WDを設定したことが大きな注目点となる。

 そんな情報をひと通り頭に叩き込み、東京・青山から山中湖を目指してスタートする。街中を流す程度なら、基本的にはモーターのみ使用するEVドライブとなる。アクセルを開けば、蹴り出しから315Nmを発揮するトルクのおかげでスーッと気持ちよく加速。エンジンは停止状態にあるため、停車中の車内は変な寂しさを感じるほど静まり返っている。

 グッとアクセルを踏み込めば、エンジンが介入してHVドライブに切り替わる。とはいえエンジンは駆動には加担せず、発電機として機能する。エンジンと発電用モーターで作り出した電気で、走行用モーターを回して走るという仕組みだ。これは日産ノートe-POWERで一躍有名になったシリーズ式と呼ばれるHV方式だ。さらに高出力走行をすれば、バッテリーからも電力が供給される。

 ハンドリングは見た目に反して軽やかで、操舵に対して気持ちよく素直に応答する。スポーティーな鋭い感覚ではなく、落ち着きのある穏やかな動きだ。とくに鈍重さは感じさせない。むしろこのドライブフィールを表現するには「重厚感」という言葉がふさわしい。視点は高く見晴らしもいい。大きなドアミラーの周辺には隙間を確保するなど視認性も良好。ヘッドライトに向かって両端が隆起したボンネットは、車両感覚もつかみやすい。

 外苑入口から首都高に合流すると、エンジンと車輪がクラッチを介して直結されて「エンジンドライブ」に切り替わる。145PS/175Nmを絞り出す2Lエンジンは力強さと滑らかさを備えており、少し踏み込むだけでもトラフィックの流れに余裕でついていくことができる。ロードノイズや風切り音は根こそぎ排除されており、マルチリンク式リヤサスの恩恵もあってか、路面の凹凸や不快な振動もカットするなど、車内は至って快適だ。

 ホンダ・センシングを標準装備

 今回は最上位モデル「EX・Masterpiece」に試乗したが、ホンダの運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ・センシング)」は全グレードに標準装備されている。実際に試した「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」は先行車を自動追従するだけでなく、前走車が停車すれば自車も停車する渋滞追従機能も搭載している。車線の中央を走行できるようアシストする「車線維持支援システム」も、ハンドルに軽く手を添えた安全な状況下で動作など確認してみた。ほかにも「衝突軽減ブレーキ」など9種類の先進機能で、ドライバーの安全を多方面から支えてくれる。

 中央道を経由して東富士五湖道路に合流するころには雪が目立ち始めた。すでに富士山の麓は一面の銀世界だが、除雪された道路はノーマルタイヤでも走行できる状態だ。とはいえ山中湖湖畔は深い雪に覆われており、車両を砂浜に降ろすことは諦めた。路面を確かめながら山の道も走ってみたが、前後輪のトルク配分を自動制御する4WDシステムは本当に心強い。多少の雪であれば4輪がしっかりとグリップしてどんどんと先に進む。トルクの配分量はメーター上でリアルタイムに表示されるので確認する楽しさがある。状況にもよるが、基本的には前輪に比重を置いたトルク配分だ。

 最低地上高は200mmを確保している。よほどの悪路でない限り、心に余裕をもって走り続けることができるのだ。トラクションが抜けやすい未舗装路では、初動から最大トルクを発揮するモーター走行が有効であることは、これまでの試乗を通して実感している。滑りやすい上り坂でも軽く踏んでやれば、即座にスッと反応して駆け上がることができる。実際、山形の雪道や特設のラフロードでたびたびその強みを体験している。

 広くて堅牢な室内空間

 インテリアは広々としており、後席は贅沢なレッグスペースが広がっている。厚みのあるシートは大柄な人でも余裕で受け止めそう。全体的にスケールの大きさを感じさせる空間作りからは、海外市場を強く意識していることが窺える。ただし、居住空間にスペースを割いたためか、荷室はやや奥行きを欠く印象。HVが採用するボタン式ギアセレクターは好みが分かれそうだ。筆者は車内を明るくしたいタイプなので、EX・Masterpiece専用装備の大型サンルーフは重宝した。開放感があり、きれいな山の空気で車内を換気すると非常に気持ちがいい。

 RAV4にはスポーティーさがあった。フォレスターは220mmの対地クリアランスや低重心のボクサーエンジン、全方位の視界の良さがもたらす運転のしやすさが好印象だった。CR-Vは「がっしり」という第一印象をそのままに、ゆったり重厚な走りが持ち味だと感じた。広大なキャビンと快適な肉厚シートは心にゆとりをもたらす。尖った個性はないかもしれないが、広範囲に「基本」をしっかりと作りこんでおり、常に「最高レベルの普通」を感じさせる堂々とした走りっぷりには、パッセンジャーを安心感で包み込む頼もしさがある。これといった欠点は見当たらないのだ。基本の部分をしっかりと作る-。クルマに限らずとても大事なことだ。HVより90kgも軽いガソリンモデルはどんな走りを見せるのだろうか…。そんな興味も沸いた試乗だった。

 ちなみに今回の取材では、いつも以上に水分補給を意識しながらドライブした。というのも、ホンダ広報部から同社が手掛けるミネラルウォーター「ホンダ・ドライブウォーター」をお歳暮代わりに頂いていたからだ(そして今回、ようやく封を開けるタイミングがやってきた)。実は冬の車内はエアコンなどの影響で乾燥しやすく、気づかないうちに体の水分が失われる「かくれ脱水」を引き起こすことがあるという。脱水症状になると集中力の低下や疲労を感じやすくなるそうで、それを防ぐためにも1時間ごとに200mlの水分補給が有効なのだという。このドリンクは「かくれ脱水」の存在を伝えて、皆さんの移動をもっと快適にすることを目的に生まれたそうだ。皆さんも「運転+ドリンク」を意識してみてはいかがだろうか。

【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。アーカイブはこちら

主なスペック(HYBRID EX・Masterpiece)

全長×全幅×全高:4605×1855×1690mm

ホイールベース:2660mm

車両重量:1700kg

エンジン:水冷直列4気筒

総排気量:2L

最高出力:107kW(145ps)/6200rpm

最大トルク:175Nm(17.8kgm)/4000rpm

モーター:H4/交流同期電動機

最高出力:135kW(184ps)/5000-6000rpm

最大トルク:315Nm(32.1kgm)/0-2000rpm

トランスミッション:電気式無段変速機

駆動方式:4WD

タイヤサイズ:235/60R18

定員:5名(一部ガソリンモデルは7名)

燃料タンク容量:57L

燃料消費率(WLTCモード):20.2km/L

ステアリング:右

車両本体価格:約436万円