オーダーブックで読み解く外為市場

新型肺炎の感染拡大懸念で強まる円買い 巻き戻しの可能性にも注意

OANDA FXラボ編集部

 先週の為替相場は新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大への警戒感により、安全資産とされる円が底堅い推移となりました。また、週明けにはイラクの米大使館へのロケット弾攻撃が報じられたこともあり、円買いが強まり、1米ドル=109円台を割り込む水準まで下落する動きとなりました。

 今週も引き続き新型コロナウィルスに関する報道に為替相場が影響を受けることが想定されます。感染拡大が報じられればリスク回避の円買いが強まり、一方で鎮静化に向けた報道が出てくると、リスク回避の動きの巻き戻しに転じる可能性が考えられそうです。

 また、中東情勢やトランプ米大統領の弾劾裁判等に関する最新の報道にも注意したいところです。

 経済イベントとしては、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まります。市場予想では政策金利は据え置きとの見方が中心となっており、サプライズとなる決定の可能性は低いと考えられますが、声明文の内容や米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見から、今後の政策金利に関する手がかりが出てくると米ドルを中心に大きなインパクトとなる可能性があります。

 上値の重い動きが続く可能性

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は上値の重い推移が続き、1米ドル=109円台前半まで下押しする動きとなった後、週明けには108円台まで下落となりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、下押しにより、損失(含み損)を抱え、苦しくなった買いポジションが増えており、反発したところでは、やれやれ売り(損益分岐点に戻ってきたことによる安堵の決済の売り)が増え、上値を圧迫することが想定されるほか、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売り注文(損失の拡大を防ぐための決済注文)が増え、下落を後押しすることが想定され、上値の重い推移が続く可能性が考えられそうです。

 本格的な下落基調に転じる可能性も

 先週のユーロドルは、後半に下押しが強まり、1ユーロ=1.1米ドルに迫る水準まで下落しています。

 OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が59%まで増加する中、その多くが含み損を抱えており、下押しが続くと、これらのポジションの損切りの売り注文が増え、さらなる下押しに注意が必要な状況と考えられます。

 また、テクニカル分析では、安値を結んだトレンドラインを割り込む動きとなっており、本格的な下落基調に転じる可能性も浮上しており、今週も上値の重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。

 値動きが収縮、均衡がいずれに崩れるか

 先週のポンドドルは前半こそ底堅い推移となったものの、終盤には失速し、方向感の鈍い動きとなり、終わってみれば値動きが収縮するような動きが続きました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、値動きが収縮するような動きが続いていることもあり、現在の価格を中心に直近の価格レンジで構築されたポジションが多くなっています。

 このため、直近の価格レンジを上下のいずれかに抜けるような動きとなると、売買のいずれかのポジションの損切り注文が増え、価格の動きを勢いづかせる可能性が考えられそうです。

〈OANDAのオーダーブック〉

オープンポジションはここに注目

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

 これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

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  • 第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
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OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

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