オーダーブックで読み解く外為市場

大荒れ「新型コロナ」相場 金融緩和でも沈静化見通せず

OANDA FXラボ編集部

 先週の為替相場は、引き続き肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感が強まり、リスク回避色の強い相場となり、円やスイスフランで底堅い推移が続きました。今週も序盤から、円買いが進み、月曜の午前に一時1米ドル=101円台まで下押す動きとなりました。

 また、先週は米連邦準備制度理事会(FRB)が新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速への対応として緊急の利下げを行ったことで米ドルが弱い推移を続けています。

 このほか、先週は、米国同様に、オーストラリア、カナダなどで政策金利の引き下げが行われており、今後は欧州中央銀行(ECB)や日本銀行の金融政策の動向に注目が集まっています。

 今週はユーロ圏の金融政策を決定するECB理事会が予定されています。市場では利下げなどの金融緩和が予想されていますが、さらなる緩和余地も少ないと考えられ、市場が想定する程度の金融緩和が発表されたとしても、単純にユーロの売り材料とならない可能性が十分に考えられます。

 いずれにせよ、政策金利の発表時やラガルドECB総裁の記者会見中にはユーロを中心に不安定な推移となる可能性があるため、注意が必要となりそうです。

引き続き上値の重い推移に要注意

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は、安値を切り下げる動きが続き、一時1米ドル=104円を割り込む水準まで下落する動きとなりました。さらに今週に入り、序盤から101円台まで下押しするスタートとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、下落基調が続いたことにより、含み損を抱えた買いポジションが多く、反発したところでは、損益分岐点に戻ってきたことによる安堵の決済の売り、安値を切り下げる動きとなった場合は損切りの売り注文(損失拡大を防ぐための決済注文)が増えることが想定され、上値の重い状態が続く可能性が考えられそうです。

 また、短期間で大きな変動となった後だけに不安定な推移が続くことも十分に考えられ、神経質な動きが続くことも想定され、難しい相場が続きそうです。

底堅い推移が続く可能性あり

 先週のユーロドルは、底堅い推移が続き、週明けには一時1ユーロ=1.15米ドル付近まで上昇する動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いており、含み損を抱えた売りポジションが目立つ状況となっており、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買い、下値を探る場面では、これらのポジションの利益確定の買いが下支えとなり、底堅い推移が続く可能性が考えられそうです。

 また、木曜日に予定されているECB理事会の結果次第では、上下に大きく揺さぶられる可能性も考えられ、不安定な推移となる可能性があるため、ECB理事会後の動きに注目したいところです。

もう一段の上昇余地も

 先週のポンドドルは下落基調から一転し、一時1ポンド=1.3米ドルを上抜ける動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、上昇が続いたことで含み損を抱えた売りポジションが目立つ状況が続いており、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが上昇を後押しすることが想定され、もう一段の上昇余地は残されているようにも見えます。

 また、下押ししたところでは、これらのポジションの利益確定や損益分岐点に戻ってきたことによる決済の買いが下支えとなることが想定され、底堅い推移が続く可能性が考えられそうです。

〈OANDAのオーダーブック〉

オープンポジションはここに注目

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

 これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

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OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

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