【5時から作家塾】中国旅行会社、雪不足に加えて新型コロナウイルスで大ピンチ
中国で起こるスキーブーム
「新型コロナウイルス感染が沈静化しても、旅行業の再開はいちばん最後にされることが多いので、再開は3、4カ月先になるかもしれません。そこまで企業体力が持つかどうか不安です…」と語るのは、中国遼寧省瀋陽の旅行会社経営者だ。この会社は数年前から日本向けのスキーツアーが好評で、今年も北海道や長野、山形、岩手など、各地のスキー場へのツアーを企画していた。
今、中国ではスキーブームが起こりつつある。正確には、2022年の北京冬季オリンピックへ向けて、政府が主導してブームを作り出していると言ったほうが正しいかもしれない。中国政府は、オリンピック成功のため「スキーヤー5000万人計画」を打ち出し、スキー愛好者や指導者育成に力を入れているからだ。
一方、日本のスキー、スノーボード人口は、バブル崩壊直後の1993年の1860万人をピークに減少し、2017年は620万人で、近年は横ばい傾向となっている(『レジャー白書2018』)。中国のスキー愛好者とされるのは、約1500万人(2016年・中国国家体育総局)と日本のピーク時に近いか、すでに大きく超えていると推測される(補足だが、中国はスキー場へ行く人全体をカウントしているようで、見学者も含まれ、実際のスキーヤーやボーダーはもっと少ないと考えてよい)。
春節前後の降雪に期待した旅行会社
訪日外国人の中では中国人が頭一つ抜けて多く、個人旅行の解禁も進んでいるため、2019年の中国人の個人旅行者と団体旅行者の比率は、およそ7対3となり、団体旅行者の割合は減っている。
それでも団体旅行の最大の強みである団体割引が使える点が大きく、中国の旅行会社各社は知恵を絞り、団体割のメリットを生かせるパッケージを作り提供している。スキーツアーもその1つとなる。
冒頭の瀋陽の旅行会社Aでは、昨シーズン800人ほどがスキーツアーで来日し、日本でスキーを楽しんでいる。今シーズンも昨年シーズン以上の需要が見込めると踏み、秋から広州や上海など中国全土で説明会を開催して見込み客を募り、12月からのスキーシーズンに備えていた。
しかし、今冬の日本は例年にない雪不足だった。そのため、12月は北海道を除き多くのツアーがキャンセルとなった。それでも、冬最大の稼ぎ時である春節前後の降雪に期待しつつ、東京や富士山観光などへ切り替えてツアー離脱者を最小限に抑えるなどして切り抜けてきたようだ。
新型コロナウイルス感染拡大で崩れる
だが、その期待は、新型コロナウイルス感染拡大でもろくも崩れた。中国政府は、1月27日から海外への団体旅行を全面停止する決定を下した。
A社は28日からの山形蔵王へのスキーツアーを計画していたが、飛行機自体がキャンセルされたため、当然ながら訪日できずとなった。2月、3月のスキーツアーもすべてキャンセルとなり、キャンセル料を宿泊予定だったホテルなどと交渉することに。そこで思わぬトラブルが発生した。
2月末に岩手のスキー場を訪れるツアーもキャンセルとなり、宿泊キャンセルを伝えたところ、1か月ほど先にもかかわらずキャンセル料50パーセントが引かれて返金されたという。
このホテルは、スキー客向けの非グループ系の単独ホテルで、宿泊約款を根拠に正当なキャンセル料を受け取ったと主張した。
新型コロナウイルスは、台風や大地震などの自然災害ではないが、中国政府が禁止したことによる止むを得ずなため考慮してくれないか、と重ねて交渉するも返金には応じられず。結果、日本の協力者に仲介してもらい、なんとか10パーセント返金上乗せのキャンセル料40パーセントで落ち着いたとのこと。
一般的な日本のホテル、キャンセル料金はどうなっているのか
この話を取材して、日本の一般的なホテルのキャンセル料金はどうなっているのか、知人である世界展開する5スターホテルの現役スタッフに尋ねると、「ホテルグループであればグループ統一のキャンセルポリシーを定めてホームページ等へ明示しています。日本での法的な根拠は、『消費者契約法』で、その範囲内で宿泊約款を定めて運用されていますが、個々の宿泊施設で決めることができるため、たとえば、宿泊3か月前からキャンセル料として宿泊料の99パーセント請求も可能と言えば可能です。まあ、実際は、そんな宿泊施設は存在しないと思いますが」とのこと。
ホテルグループ以外では、「日本ホテル協会」などに加盟していると統一のルールを設けることもあったり、「楽天トラベル」や「エクスペディア」などオンライン予約サイトでは、サイト統一のキャンセルポリシーが紹介ホテルへ適用されている。
今回A社が予約していたホテルは、中国人宿泊客の比率が高く、キャンセル時の客室を日本人客や他の外国人客で埋めることが難しいと考えて作成された宿泊約款だと思われる。インバウンドの中国人観光客に大きく依存するホテルにとっては死活問題であろうが、A社も来シーズンはこのホテルを利用しないと話しているので、双方にとってもっとよい落とし所を見つけることはできなかったのかと思ってしまう。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))
【プロフィール】5時から作家塾(R)
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。
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